まばたきをする体

ぷ。 ←ボウリングで球を転がす人

朝は満を持してのカステラ。

山に暮らす子らの父からの仕送り荷物に入っていた。そもそも切れ端の詰め合わせのうえ、ほかの荷物に押されてつぶれているのがいよいよおいしそう。

子どもたちから食べていいかどうかこの数日ずっと聞かれ続けていたが、こういう重ためのお菓子を2切れ、3切れと多めに朝ご飯として食べるのが私の流儀であり、機が熟すのを待った。

食べてうまいうまい。子どもたちもそれぞれに手ごたえを得ていたようだった。

人々が学校へ散り、私も在宅勤務。

適当に昼をすませて午後は事務所へ行き、久しぶりに午後いっぱい会社で働いた。退勤処理をして会社を出ると、おお! 仕事が終わって帰るな! という久しぶりの感じ。

感染対策で在宅勤務が続き退勤というのは頭でする(よし、仕事は終わりと頭で思うのみ)ものになっていたが、久しぶりに体で退勤した。

帰りにスーパーに寄って足りないものを買いだす。小学生くらいの女の子たちがスナック菓子を選んでおり、グラムあたりの値段をめちゃくちゃ厳しく計算し比較ていて頼もしかった。

雨が降ってきた。急いで帰り洗濯を入れた。

この家には「オタタ」といいう作業がある。学生のころ服屋でバイトしていて、その店が採用していた、お客を待つ基本動作が「オタタミ」だった。服を広げてはたたむ。きれいにたたんであっても、ひろげてたたむ。自然に働いている感じを出し、やってきて品定めをするお客さんにそれとなく近づきトークで購入をおすすめする戦術だ。

家族のそれぞれが自分の洗濯物を自分でたたむことにして、最初のころ服屋の言葉を思い出し「オタタミしてね」と子どもたちに声をかけていたが、それがそのうち「オタタ」になった。

子らにオタタの声がけを今日もした。

服屋で働いていていちばん驚いたのは、正月の福袋の紙袋を、前年は本部の渋い婦人服ブランドのものだったのをちゃんとその店の横文字のロゴ入り袋にしたところ3倍売れたことか。さもありなんとは思うが、中は同じなのだ。

「さもありなん」に「でも中は同じ」の衝撃が勝ったのを覚えている。

3倍売れた年、入ってた服がちいさすぎて着られないとクレームが入り、むかついたらしき店長が実際着て「はいりますけど」と応戦していたのを今もたまに思い出す。そりゃ同じサイズ表記であれ はいる人とはいらん人がいるわな。

結局返品に応じて、ただ福袋は返品不可商品だったのでレジが打てず、店長が自腹で買い取るかたちで返金をして、すぐに店頭に出して売ってお金を回収していた。

音楽に興味のないメンバーが働いていたのでユーロビートみたいな1枚のCDをめちゃくちゃにローテーションしまくっていて、そのなかの1曲に女のあえぎ声みたいなのがちょっと入ってる曲があって接客時にかかると照れた。

急に思い出して調べたが、当時数店あったはずのその名前の店はもうどこにもなくて、本部の渋い婦人服ブランドもなく、ただおおもとの会社は存在して今は別の3つブランドを運営していた。

よく見たらそのうちの一つのブランドの服を持っている。あの服そうだったのか。

晩は適当に食べて、夜息子がボウリングで球を投げる格好を急にして、レシートの裏に「ぷ。」と書いた。

いつだったか、息子がどこかで見たのか「ぷ。」がボウリングの投球の様子のようだと教えてもらって味わったことがあったが(※追記「トリビアの泉」で取り上げられたものと教えてもらいました!)、それを久しぶりにまた二人で見た。

「投げてるな」「投げてるよね」

レシートの写真をスマホで撮ると、息子も撮っていた。

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