まばたきをする体

オタクじゃなければなんなんだ

朝、背中側の首の付け根が痛いのに気づいてヒッとなる。

なんらかの症状か!

前日にはなかった不調が目が覚めて朝に急にあらわれることはよくあり、本当におそろしい。

身構えたが、そうだ、昨日寝る前に本棚によっかかってスマホを眺めていた、棚板がちょうど背骨に当たっていたんだ。思い出した。

それは仕方がないと、原因がわかって一気に気楽になった。

子どもたちは学校へ行き、しかし今日で二人とも学校が終わるんだそうだ。あるなあるな……と思いながら見て見ぬふりをしていた春休みがやってくる。昼ご飯の用意の必要な春休みが……。

今日の昼は麺、絶対に麺、手はかけないぞという気持ちを新たに私もいったん会社へ行き昼休みのうちに戻る。

いい天気ですね。桜が知らない間にすっかり咲いていた。

去年もそうだったけど、今年の桜も宴会が紐づかないのでとくに楽しいものではない。楽しさがなくなるとあとは美しいなと愛でるくらいになり、ただ愛でるとなると桜って、どちらかというと恐ろしいものだ。「桜の森の満開の下」みたいなクレイジーなイメージ。めちゃくちゃ花だし、幹からもダイレクトに咲いているのが美しがらせようというもの以上の執念を感じる。

家に戻ると子らも次々帰ってきて、するとわたしは辛抱たまらず向こうから出てくる前に通信簿をせがんだ。

二人ともこれまでと大差のない仕上がりで、大きな落胆も喜びもなく心の静かな時間だった。息子が小学校に上がり学校から通信簿をもらうようになってもう7年目だけど、待ってましたと開くわりには通信簿に心が大きく動いたことはない。思えば自分のころもそうだった。

我々は淡々と同じ成績をかさね学生生活を終えるタイプなのかもしれない。

スパゲティをゆでてナポリタンにし順次食べて私は午後も仕事。子どもらはごろごろしてから習い事やらにそれぞれ出かけていた。

仕事を終え夕方買い物に出るところで息子にバナナを買ってきてくれと頼まれる。絶妙に母が断らないラインの食べたいものを申し込んできた。ちょうど娘が帰ってきたので買い物についてくるかと誘うが断られ、ひとりとぼとぼ向かって言われるがままにバナナを買った。

レジで会計している人が白くて長いシャツワンピースを着ており、すそが黒くすれている。私も今朝、春だからと同じような白くて長いシャツワンピースを出して、まったく同じようにすそが黒くなっているのに気づいた。自転車の汚れだろう。見つけたときはあちゃーと思ったが、仲間がいて一気に心が強くなった。

晩ご飯を食べて食後、娘はテレビでアニメソングの特番を観ていた。大好きな「スラムダンク」が出てきて興奮の様子。

推しコンテンツが超スーパー大人気コンテンツだとこうして露出が多くて喜ぶチャンスも多いんだな。マイナーなものを愛すのもとてもとても楽しいけどあちこちで遭遇するよろこびはほとんどない。

しかしなんだ、アニメが本当に人気の世の中だ。番組ではタレントさんたちが深夜のアニメについて「すごい良いですよね!」などと楽しそうに話していた。

こういうとき、性根の悪い私はいつもアニメが好きでからかわれていた若いころを思い出す。当時はアニメもマンガも愛好するとオタッキーだとかわかわれ、ではからかっていたみんななにを好んでいたんだろう。

競馬とかスポーツにのめりこむクラスメイトはいた。高校の頃の一番の友人は洗車とオリックス・バファローズとグッチが好きだった。といってもファッションとか美容もそれほどはもてはやされていなかったように思う。ゲームも。すべてのカルチャーと距離があり、ただ自分の人生と知り合いの人生を楽しむ人が多かった。それは今でもそういうものか。

それからコンビニに同人誌の発送にでかけた。夜の桜はいよいよ迫力がある。おっ!これは怖いなと思い歩き、たぶんその影響で数メートル後ろの誰かの足音にも恐れを感じたが、足音はすぐに私とは別の道へ歩いて行った。

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古賀及子(こがちかこ)・まばたきをする体とは
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