まばたきをする体

ラーメンは正解で良いだろう

起きて、しまった何もない。生米しかない。いや、生米とあと餅もある。冷凍の焼きおにぎりと大判焼きもある。なるほどなるほどと朝ごはんの支度。

食パンがないと朝は焦る。

購買行為において、私がいちばんそうでもないなと思うのが、買う→食べる→買う、これを繰り返すことで、だから食パンを買っては食べするのはあまり本意ではない。

希望としては、買って食べたら終わりでありたい。次はまた別の地平と脳で買って食べたい。

買ってなくなったからまた買うのではおもしろくない。

でもやっぱり、いつもの食パンがないのは不便で、それはもうただ単純に不便だった。

焼きおにぎりと大判焼きをレンジであたためて、足りなさそうだったので餅も焼いた。作り置きの総菜とあわせて息子を起こし、食べた。

娘はまた乳歯が抜けそうになっている。先日もそうして1本奥歯が抜けたが、今度は逆サイドで、前回と全く同様に完全にぶらぶらするところまでいっていてもうあとちょっとだ。

無理になんとかすればすぐにでも抜ける(というかもうほとんど糸が切れるくらいのつながり方なんだけど)ところを娘は怖がって自然に抜けるときを待っている。

「歯茎に押し付けてぐっと装着する、そうすると舌でさわらない限りはぐらぐらしない」と、歯茎に抜けない歯をしっかりはめ込んで学校へ行った。

私は今日も在宅勤務。集中してやーやーやっているとやぶからぼうに息子が帰宅した。早くない!?

聞けば今日から期末テストで終了次第下校なんだそうだ。

えー!

家で昼ご飯を食べるなんて聞いてないから衝撃だけれども、今日からテストというのがその数倍衝撃だ。

知らなかったので「明日からテストなんでしょう? 勉強大丈夫?」的な声掛けが一切できなかった。それどころかせかして散髪にやるなどしてしまった。

息子は大丈夫だからとスパゲティを茹でて食べながら居間でネットフリックスで海外ドラマを観はじめた。

子らの勉強の進捗はもはやまったく私には知れるものではないので何とも言い難い。

私も仕事をすすめた。集中してやりこみ、ハッと気づくと息子はまだ観ている。2時間くらい経っていた。

「明日もテストなんでしょう?勉強大丈夫!」渾身の声掛け。

息子は自室へ引っ込んだ。

午後、仕事を終えて買い物へ行き、しっかりと明日の食パンを買う。うちでは息子が6枚切り、私と娘が8枚切り派なので2斤。

2斤も買うとエコバッグの大半が埋まる。パンにかぎらず食料はいつもかさばる。よいしょいよしょと買って帰って食べてはまた買いに出る。全部胃に入ってるんだよな。

食べたら無くなることについて、もうちょっと重要に思っておきたい。

帰ると息子は居間の納戸の扉の裏にかけてある、新聞屋さんがくれたカレンダーの2月をめくってちぎり裏に水洗トイレの絵を描いた。トイレのポスターが出来上がっていく。

描き上げて顔をあげ息子は「テストのときに、手の甲に文字を書いたらカンニングになると思う?」といった。

お? お、おお、それはまずかろうよ。

「凡ミス注意」と書いておきたいんだそうだ。凡ミスさえなくなれば俺はもっといけるはず、ということらしい。そうしてトイレのポスターをくれた。大事にしよう、すみに日付を書いた。

塾に行っていた娘が帰宅し「今日の給食はなんでしょうか」と聞くので息子と私で「カレー」「焼き魚」「オムライス」などと答えていく。息子が「ラーメン」と言うが不正解で、正解は「味噌ラーメン」だった。

息子はラーメンは正解でよいだろうと抗議していた。

抗議はあいまいなまま晩ご飯を食べて、夜は最近凝っている娘が「20の扉」(一方がなにかを思い浮かべ、もう一方が20個の質問でそれを当てるあそび)をしようと挑んできたので受ける。

なんでもいい、適当なもの、適当なもの、と考えて、答えを「三輪車」にした。

昨日あるきっかけで父方の祖父のことを思い出していた。幼児の私は黄色が好きで、それで祖父は赤い三輪車を黄色く塗りなおしてくれたと聞いたことがあった。

娘が幼児だったころ、あたりでは三輪車ではなくストライダーというペダルのない2輪車が大流行していて、それで娘は三輪車に乗らなかった。息子もそうだったか。

乗ったことはほぼない娘だが案外楽に当てた。

今日も眠くて早々に寝る。くるぞくるぞ、眠りがくる、寝入るぞ寝入るぞ……というころで「おかあさん」と小さく呼ぶ声がする。夢だな。

「おかあさん」

夢じゃなかった。

「歯が抜けた」

娘だった。

おー、おめでとう、小皿に乗せてシンクに置いといてと言って目を閉じたら一瞬で寝た。

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