起きた娘が皿の上のパンを見て「焼きおにぎりだと思ったのに」と残念そうにしていて、しかしそんなリクエスト聞いていない。
朝焼きおにぎりが食べたいなら夜のうちにそう言ってくれないと、心で願われても叶いやしないでしょうよと言うと、それはそうだとパンを食べていた。
娘は昨日バレエの稽古の帰りにスーパーで買った冷凍の焼きおにぎりをだいぶ気に入ったらしい。冷凍食品はおいしいからな。
さて、ついに子どもたちは作文を書いた。
今朝は娘が通っている作文教室で塾生の子たちが書いた小説を読む会が行われる。
この作文教室は近所のおじいさんが主催しているもので息子が小学3年生のときに知人のすすめで入会した。基本的に、作文はしない。どちらかというと物語や新聞を読む。あとは河原で草笛を吹いたり、馬に乗りに行ったり、山に登ったりする。
作文はいつ書くのかというのがこの会のチャーミングなところだったが、ついに書いたのだ。
会場には子とその親がたくさん集まっており、みんなの作品を読みあった。
親と子をシャッフルして小さなグループを作って読み合っていたところ、塾生の男の子がノートの落書きを消しゴムで消して、その消しカスを「これ、要る?」という。「要るってことあるのかな!?」と驚くと「黒くて細長くてつながってるから、もしかしたら要るかなと思って」と、これは僕にとっては良い消しカスだけどあなたの価値観でもよい消しカスですか? だったらあげるよ、ということを言っていたのだなと思うと気遣いからの高度なコミュニケーションだ。
作文はみんなとても上手に書けていてうなる。娘は肉付けまで手が回らずほとんどあらすじの状態で提出したが、それでも「起承転結がちゃんとある」などほめていただきほっとした。
終えて解散し、娘と帰る。途中娘から「バンドを組むとしたらどんな名前にする?」と聞かれたらうれしいことナンバーワンといっていい質問が飛び出し興奮した。
娘は「ティッペ」が良いと、ティッシュペーパーの略だそう。なにもかも意外で良い。
私は「たんけんぼうし」にしようかなと答えた。このあいだ娘が私のベージュのつばのある帽子をそう呼んで、いい響きだなと思ったから。
スーパーに寄ってスパゲティを買った。太麺でも早く茹でられるというやつをはじめて買ってみた。存在は知っていたが買ってパッケージで時短の理屈をはじめて知る。
断面が複雑な、風車のような形をしていてお湯にまんべんなく麺の面が当たるようになっているんだ。すごいな、こんなことをするのか。
帰って茹でると本当に太さのわりに本当にすぐに茹で上がり感心する。みんなで食べた。
午後は娘が引き続きWiiの鍛錬に入ったので私は近くで本を読む。しばらくして飽きたようなので誘って駅前の本屋へ「よつばと!」の最新刊を買いにでかけた。
髪の伸びすぎている息子には散髪に行くように言い置く。
駅までの道、娘に「20の扉」をしようと誘われた。一方があるものを思いうかべ、もう一方はそれを20個の質問で当てる、というもの。
まずは私が「ニンテンドーDS」を思い浮かべた。これはなかなかむつかしいんではないか。
「20個まで聞いてください。どうぞ」
「それは、こぶがありますか?」
こぶが……?
「あの、逆に聞くと、らくだだと思っていますか?」
「はい」
はい、じゃないでしょうよ。娘は笑った。からかい方、凝ってるなあ。リセットしてもういちどやったところ、すぐにDSは当てられてしまった。
本屋で「よつばと!」15巻と、あと本も何冊か買って帰る。途中、1000円カットの店をのぞいた娘が「お兄ちゃんいるわ」というのでひと安心。
したのだが、家に帰ると家にも兄はいた。
1000円カットの店の方は別人だったらしい。行くようにせきたてて、娘と交代で「よつばと!」を読んだ。
先に読んだ娘に「これはすごい巻だよ……」と言われ渡されたが、確かに、まったくすごい巻だった。
頭をさっぱりさせて帰った息子にも「すごい巻だから」と渡し、すると息子も「なるほどすごい巻だ」と読み終えていた。
こうして週末は終わる。
本屋で買った本を読んでいたら突然ガクッと前に頭が落ちて驚いた。眠いなんてまったく思っていなかったのに。
そうだったのかという気持ちで早めに寝た。
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