まばたきをする体

ピザが食べ足りないのは絶対に嫌だ

アイスの、ピノじゃないんだけどピノみたいな小さくてチョコレートコーティングされたやつを昨日買って、小さいし味が3種類あるし、3つ食べちゃお、と思い手に持っていると朝食をとる娘が

「なに、3つ食べんのそれ」

と言った。

「そんなに食べたらなくなっちゃうよ!」と糾弾するのでも「お母さんが3つ食べるなら私も食べたい!」と所望するのでもない、純粋に心から沸き上がった

「3つ食べんのそれ」

という疑問の声だった。迫力ある純粋さがおそろしく「あ、いや、やっぱひとつにしておく」と2つ冷蔵庫にしまった。

子どもらは学校へ行き、今日は私も出社の日。電車に乗るし事務所では人とスペースを共有するし、そなえて昨日は念入りに髪の毛を洗い、朝はしっかりお化粧もした。

在宅勤務でも仕事の内容は変わらないしクオリティも下げずにやっている自負があるが、以前は仕事にプラスしてこの身支度を毎日していたのだと思うとすごい。

やいやいやって、夕方息子の塾へ受講料を私に行く。支払いついでに先生に息子の態度をよくほめていただき、来年度の中2は英語に今後のキーになる単元がありますので頑張りましょうとはげましてももらった。

先生、私はその中学2年生のころ全く英語の授業についていけなくなり(数学もだけど)100点満点の定期テストで5点を取ったことがあるのです。息子にはその血が流れております。

ほがらかな先生なものだから胸を借りてつい言ったらウケた。

帰りに甘いおもちとお茶をいただく。このもちにはこのお茶が良く合うのです、ということだった。うれしい。先生は甘いものがお好きのようだ。

帰ると息子はDSで麻雀ゲームをしていた。一緒にもちを食べた。

娘も帰宅し午後はスーパーで安売りだった出来合いのピザに、余っていたチーズを足して焼く。

具のさみしい安いピザはチーズを足すと頼もしくなる。

焼けたところから食べる方式にして、1枚目を3人で分けて食べていると娘が「これって何枚あるの」といって「あと2枚あるよ」というとほっとしていた。

「もしこの1枚だけだったら、絶対に嫌だなと思った」

とのこと。ああ、これはもう本当に絶対に嫌なんだろうなという説得力があった。娘は調子よくふざけた人だが、真剣なときの目は燃える。

ピザが食べ足らないのは絶対に嫌なものだが、ここまで本気になっていいのだなと自由な信念を感じた。

食後は息子のやり途中の麻雀ゲームを引き継いだ。開始早々違和感がある。麻雀なので自分以外のほかの3人は人間じゃないやつ(COM戦というんですかね、CPU戦?)なんだけど、3人が牌を場に捨てるスピードがこれまでより早い。

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さらにキャラクターのセリフも出ない。

聞くともたつくのが嫌だから設定を変えたんだそうだ。

む……息子が。

いつもおなかをすかせ抱いてもおんぶしてもベビーカーに乗せても外に連れだしても泣き止まず、授乳時しか落ち着きのなかったあの息子が、麻雀ゲームをはじめて半日で設定をいじっている。

成長。

落涙。

我、落涙す。

しかし私はもうちょいゆっくりやりたいので打牌のスピードはもとにもどさせてもらった。セリフはたしかに煽られて悲しくなる(ちょっとポンしただけですぐにやいやい言うし、リーチするときとかわーわーうるさい)のでそのまま表示オフにした。

夜はNetflixで「監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影」を観た。

SNSの中毒性とか、GAFAのビジネスモデルではユーザそのものが商品であるとか、おう、なんか聞いたことあるぞ! ということを、元GoogleとかFacebookの人とかが話していくやつ。

この人Googleにいたのか、この人はInstagramに、ええのう~! かっこいいですの~~! よほど優秀なのでしょうのう~~~、などという目で見てしまいよくない私の性根があらわになった。

後半、情報のコントロールによって左右が分断するのに合わせ、人がターゲティングで陰謀論漬けにされる様子みたいなものが描かれて、いま一番怖いことは「内戦」だとの話しがあった。

2010年に「これからの『正義』の話をしよう」が大流行したとき、正義って結局どういうところに落ち着いたんだっけ、最近ちょうど正義と倫理を軽視しすぎてバックラッシュおきたみたいな状況を見たこともあって、映画もずっと正座で観ていた。

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