まばたきをする体

糊を買いに行こうくらいの誘い

生けた花束のバラが枯れていき悲しい。

花を飾る習慣がずっとなく、お祝い事でもらってありがたく飾るくらいなので花が枯れるのに慣れていない。枯れゆくところをどうすることもできず、あ~あ~あ~と見守って、で、これはもう捨てねばか~~、あ~~~~、となる。

バラだけ抜いた。ガーベラとカーネーションはもう少し持ちそう、抜いたバラは、なんかこうなってるところ見たことがある気がするなと雑な動機で輪ゴムで結って逆さに吊るした。

息子は最近村上春樹訳の「ライ麦畑でつかまえて」を読み終えたのが誇らしいようでちょいちょいイキッってくる。「こういうのって、なんていうの、ほらこう『洋楽』みたいな言い方ないのかな」というので、「え、なんだろう……『英米文学』……?」と答えると、キャッと喜んで「かっこい~!」言いながらどこかへ走っていって、行った先で娘に「This is 英米文学」と言って「あたしだってそれくらい読んだことあるけど」と言われていた。

去年の今日は息子が中学入試を受けに行った。あの日の緊張に比べると今日はすごい無緊張状態で、人生における重要な日とそうでもない日の落差はけっこう激しい。ああそうか、年をとるとその辺の落差で疲れたりするんだろうなと、若いころ年寄りと長く暮らしたのでなんとなく今になり合点した。

私は今日も在宅勤務。荷物の発送の必要があり、数が多いので集荷を頼むも現金がなく、帰ってきた息子に「金ないかい?」と聞くが、探してみると言って自室に行った息子が持って戻ったのは1ドル紙幣だった。

「これしかねえ~~」「これしかねえか~~」

集荷の時間が迫っており、慌ててATMでお金をおろした。いつも現金がない。困ることも多く普段から家にお金をおかねばとずっと思っているのにいつもこうだ。なぜかというと、家にお金があると使ってしまってなくなる。

仕事を終える頃娘も帰ってきて、お母さん糊買いに行こうと誘われた。学校で使っている水糊が切れたらしい。人からあまりどこかへ行こうと誘われることのない日々だから、すごくうれしい。糊を買いに行こうくらいの誘いがこんなにも尊い

娘は私の同伴をいいことにマスキングテープも2本入手し、さらに書店に寄って文庫本も欲しいというので買い、文房具と本はねだられると買ってやりたいものなので仕方がない。

それから晩の鍋料理の材料も買う。出際に息子に、カレーが食べたいから鍋にするならカレー鍋が良いと言われたが2軒まわってカレー鍋のつゆが売っておらず、私はつゆが売っていないと鍋ができない。

息子には悪いが味噌鍋の素を買って帰って冷蔵庫の野菜と言う野菜を全部鍋に入れて煮て食べた。うまいうまい。

食後は息子が塩飴を配るのでもらってみんなでなめる。

息子が駄ものの和菓子の好きな人で、それを知った実家の母が一袋くれたらしい。

舐めながら、このあいだの週末、ものすごく辛くて、辛いもの好きの私も一口しか食べられず、娘など麺1本5センチだけうっかりもらって食べたものだから辛さが引くまでに氷5個をなめなければならなくなったカップ焼きそばを、息子が猛然と食べ上げたことについて改めてみんなであれはすごかったと話し合った。

-----
古賀及子(こがちかこ)・まばたきをする体とは
お仕事のご連絡
Twitter @eatmorecakes
Instagram @eatmorecakes

この日記を本にして売っておりまして、販売所はこちらでーす。

大阪のシカクさん、下北沢の日記屋 月日さん、赤坂の双子のライオン堂さん、天王寺のスタンダードブックストアさんでも取り扱っていただいております~(在庫状況はお店さんへお問い合わせいただけるとうれしいです)。