まばたきをする体

予定の重み

自転車ででかけた子どもたちの居場所を息子のiPhoneの現在地から調べ地図上を青く光る丸が自宅に近づいてくるのを見守った。

飲み物を買いに出た子どもたちにすぐに帰るように伝え忘れていた。気づけばぎりぎりだ。コートを着込んで待ち構え、帰りつくなり捕まえて駅へ急ぐ。

マイナンバーカードを取りに役所へ行く。去年の11月ごろ予約した、今日がその日だ。

家族全員分の発行を申請して、受け取りは子どもでも本人が行かないといけない。交付のため日曜に開庁日が用意されていて年を越えて申し込んでおいた。

家族そろって役所に行くなんてそんな機会後にも先にもこれっきりじゃないか。子どもたちはマイナンバーカードなどには興味の持ちようがないわけで連れ出すのには申し訳なさもあるが、意味も解らず大人についていかねばならないことがあるのが子どもなのかなと思う。

日曜日の役所には案外人がいた。マイナンバーの交付以外にも今日はあれこれ受け付ける日のようでざわざわしている。

職員の人たちがみんなスーツじゃなくて私服で働いているのがすごくよかった。ごっちゃになると誰が職員で誰が用事で来てる区民なのかわかんないのが興奮する。好みだ。

少しは待つかと本を持って来ていたがスムーズに窓口に通され、おお、これでもう受け取れるんだワーイと思ったところでなんと証明書類が足りないことが分かった。自宅で(これはいらないよな)とわざわざ置いて行ったものが必要だった。自分よ!

職員の方が、ほんと申し訳ないんだけど一旦出直して持って来てもらえませんかと、来てくれたらすぐに対応しますと言ってくれて、私の準備不足が圧倒的にいけないのにこっちこそすみません……。

私、山本です。いらしたら山本を呼んでくださいと言われ、山本さんに一旦送り出してもらった。

子どもらの顔は確認したのであとはもう私だけ行けばいいということで、二人を引き連れ帰って靴も脱がずに書類を息子に渡してもらってすぐに山本さんの元へ戻る。

「山本さんをお願いします」というと、訳知りの者のようでいい気になった。書類を確認してもらって、はれてマイナンバーカード保有の者となった。これが噂に聞いていたマイナンバーカードか。

気持ちや荒ぶり駅前のパン屋でパンを暴れ買いした。

帰って子どもらとパンを食む。パン屋は「ドーナツの日」だった。ドーナツがいつもよりずいぶん安い。それで一人にひとつ買った。ものすごく甘くてみんなで甘い甘いとうれしいのに文句のように言いながら食べた。

娘が「『踊る大黒柱』ってあるね」と言うが無い。何のことか考えて「それは『踊る大捜査線』ではないか」ということになった。

食後すみやかにマイナポイントを申請し心の平穏がおとずれた。

ぼんやりしてから鶏肉を買ってきて鶏ハムを作る。

普段はルクルーゼの鍋に塩をたくさん入れたお湯を沸かしてその中に肉を入れて再沸騰させたのち冷めるまで放っておくやり方でやっているのだけど、製法は時代とともに進化しているという噂を聞いていて、ちょっと調べてみたら砂糖と塩を揉みこんで数日置いてから作る方法がメジャーになっているのだな。

すぐ食べたいのでやっぱりいつも通り塩湯を沸かして放った。

マイナンバーカードを受け取りに行ったのは、役所に行って受け取って帰ってきただけであり(トンマから2度行くことにはなったが)、まるで大したことはしていない。

のだけど、1カ月以上前から予約してあり、絶対に忘れないようにせねば、子どもらの予定も押さえねばと緊張していたのか完全にひと仕事終えた体感があった。

予定には重みがあり、それが重かったということだと思う。

そのせいか睡眠が深く安らかだった。

 

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