まばたきをする体

濡れた髪は肌に針みたいに刺さる

可燃ごみ古紙回収の日で、生ごみをまとめた袋とたばねた新聞と段ボールを玄関に出した。

学校へ行かんとする子らに、分担して持って行ってくれないか頼んだ。

「新聞か、きったねえゴミどちらかなんだけども」生ごみの袋からは、誰かが食べて袋に入れずそのままゴミ箱に放ったバナナの皮がすけて見えていた。

「きったねえゴミは……嫌だな」娘が言い、息子も「おれも、きったねえゴミは嫌だ」。でも私は「きったねえゴミは軽いよ」とすすめた。「でも、きったねえゴミはなあ」「きったねえゴミだから……」

きったねえゴミ、と言いたいだけの人たちの集まりになった。

結局娘が新聞を、息子がダンボールと生ごみを持って行ってくれて、私は今日も在宅で仕事。昼ごはんに昨日作ったとりそぼろの余りでそぼろ丼にしたらおなかがいっぱいになり苦しむ。私の胃は小さい。

午後も仕事をしてから夕方になる前に渋谷へ。東京カルチャーカルチャーで行われる「今年の新語発表会2020 meets 国語辞典ナイト」に司会で出た。

毎年楽しみにしているイベントが今年も、座席を減らしながらお客さんを入れて開催された。以前はみんなでとりわけていた開演前のまかないご飯は今回は個別のワンプレートになって、それぞれ距離を取って食べた。みそ汁のお椀でコンソメのスープがついてきたのが家みたいで良い。

登壇者は透明のアクリル板で仕切りをして、プレゼン用のPCは極力使いまわさず回す場合は消毒してからといろいろ対策がされていた。他の登壇者の方のほうを見てしゃべろうとするとアクリル板に自分の顔が反射され写って自分と目が合うのでたまに困った。

このイベントはいつも体感3分くらいで2時間たってしまうのでびっくりする。名残惜しさにうえうえ声を出しながら、終演とともに、帰るお客さんたちにまざって早々に会場を出た。

帰り際に主催の三省堂の方が追いかけて声をかけてくれて、来年の手帳を渡してくれた。やった、来場のお客さんにも配ってたやつだ。う……うれしい! 飛び乗った22時前の電車は空いていた。

家では子どもたちとともに実家の父が留守番してくれていて、バトンタッチで父帰る。父は実家の庭でとれたポンカンをたくさん持って来てくれていた。娘が「今日でもう2個食べたよ」と言って、うちの人たちはなんでもよく食べる。

晩は父が吉野家で牛丼を買ってきてくれたそうだ。「使いきれないくらい紅ショウガと七味が入ってたんだけど」とシンクに残った小袋を指して息子がうろたえており、おお、別の料理で使うからぜんぜん大丈夫だ! と安心させた。

それから、地理の問題を息子に出した。明日からの定期テストで自分ひとりでは暗記問題の確認に自信がないから問題を出してほしいと言われた。渡されたノートから適当に問題を作って出す。

問題の答え、なにひとつ私は知らない。

世界のことを息子ががんがんに吸収しているのが伝わりふるえた。これが、中学生が勉強するということか。こんなことを覚えるのか、地中海性気候や西岸海洋性気候下で行われる酪農や農業の特徴なんて私はもはや一生知るタイミングないよ。

娘が息子のお下がりのパーカーとスウェットのズボンを寝巻にしていてはちゃめちゃに似合うのでヒューヒューひやかす。娘はそのまま照れも喜びもせず洗った髪のまま寝床に横になったので注意して髪を乾かさせた。

息子は息子で風呂上がりに半ズボンと、ズボンのかわりにすねを温めるためか赤と紺のボーダーの長靴下をはいて登場して、「この格好へんだね」と自分でいうので「ほんとだ、へんだ」と同意した。

それから頭を振って髪をばさばささせて、濡れた髪は肌に針みたいに刺さると言っていた。

イベントでもらった手帳を封筒から出したら国語辞典のデザインでかわいくて、ほくほく寝た。

 

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