まばたきをする体

塩で召し上がるのは後ろめたい

居間のテーブルの上に息子の作文らしきものが置いてあり、出してあるということは読んでも差し支えなかろうと目を通すと、過去ぬれぎぬを着させられ悔しくて自室で隠れて泣いたことが書いてあった。

それを通じ、自分と同じような誤解をうけた主人公が誤解をとくために奔走する顛末をえがいたこの小説を推薦しますと。読書推薦文らしい。

起きてきた息子に「これを読んだのだが……ぬれぎぬを着させられて泣いたことがあるのかい?」と聞いたところ「ない」ということだった。

子どもたちは学校へ行き、私は午前は町会の用事で出たりひっこんだりする。昼は友人と評判のとんかつ屋の弁当を入手し公園で食べた。

塩がついている。おお、塩で召し上がれるやつだ。色めき立った私を見て友人は擁護するように「塩で食べるのはうまいと思う」と言った。

「塩でお召し上がりください」という表現がクリシェとなってしまった結果どこか塩で召し上がるのが後ろめたいことになった現状があるが、実際塩で召し上がるのはうまいだろう、ということが言いたいのかなと感じ同意した。

ああ、そして、名店のとんかつ、うまかった……。

うまいうまいそれだけ言って食べた。塩にあわせてソースもついていたのでソース味も食べた。どっちもうまいな……。

あとでちらと友人の弁当がらをみるとからしに手がついておらず、もしやからしは使わないほうがおいしく食べられたのかな! と自信がなくなったけどそこは聞かなかった。

満腹ぎりぎりで食べきり、友人の持ってきてくれたみかんを分けながら、もはや私たちにはこれ1人前はいらないかもしれないね……と話した。我々は食が細い。

弁当を買うときに友人に、ひとり一つは多いかもしれないから半分つにしないかと提案しようと思ったが、二人で店頭におしかけひとつ買うのではお店の方に申し訳なくとっさにふたつくださいと言ったのだ、それを打ち明けると「そうだったの!」ということで、素直に相談してもよかったかもしれない。

帰って午後は打ち合わせなど仕事。明日が地味な仮装のハロウィン(町で見かける業務中の人をはじめとし、知っている人、もの、状況などいわゆる一般的なパーティーグッズ的仮装とは違う仮装を楽しむイベントですな)の日で、もうずっとなんの仮装をするかが定まらずよぼよぼしているが腹を決めた。

学校から帰ってきた娘が左はできるけど右のウィンクができないというので教えるがやはりできないようだった。

夜は子らの父がカブの葉と大根の葉でお好み焼きを作ってくれて食べる。食べながら娘が父に聞いた。

「『スラムダンク』好き?」「うん、好きだよ」「村雨って知ってる?」「村雨……?」

娘は最近「スラムダンク」が好きすぎて主要メンバーでない登場人物の名前をいかに知っているか人を試してくる。

それから仕事でチャットであれこれ話した。いま40代の私よりひと世代ふた世代下はコミュニケーションのリズムをとるのが上手で優しいひとが多い気がするが気のせいか。

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