まばたきをする体

心を揺さぶらない映画を見きわめる

パンにピーナツバターとあんこをぬって食べた。

子どもの頃、マンションの下の階に同い年の友達が住んでいてたまに泊まりに行かせてもらった。朝はヤマザキの6枚切りの食パンを軽く焼いて、半分にいちごジャムを、もう半分にピーナツバターをぬったものだった。

その頃私のうちは母が自然食品にはまって毎日全粒粉のパンを食べていて、これはナイフで切っても断面がぼろぼろする。食感もふわふわではなくごりごりしたもので、サワーパンのような酸味があった。いまだったら喜んで食べるが子どもの私はこれが好きではなくて、下の家のパンはおいしいけどうちのはおいしくないと思っていた。

日々食べる家のパンを「普通」だと思えず、なんだかこれはちょっと違うなと感じていたのをよく覚えている。

息子はあんこがこれでもう最後だとぬぐった。見るとまだ残っていて私はさらにぬぐい切った。「きみは貴族か」と息子をちゃかした。

娘は去年くらいから熱心に息子のお下がりを着ている。今日も去年まで兄が着ていたパーカーを着て学校へ行くので、私は心底うれしい。買った服が……有効活用されている……! 快感すらある。

子どもたちが出かけていき、私は午前中に予約してあった病院へ行って子宮頸がんの検査を受けた。何度もひっかかり続け、手術も見越して大きな病院に転院になってからの検査1回目……。ここで大逆転の異常なしをもぎとりたい!

もぎとりたい! という気持ちは奮い立つが検査時になにか努力できるようなこともなく淡々と受診し検査もしてもらった。先生は優しいし、看護師さんがみんな気さくで頼もしい感じの病院で良い。きまった白衣がないらしく、みんないろんな白衣とか手術着を着て仕事しているのもすごく良い。

お産もやっている病院で、いま退院するところなのか健診に来たのか小さな赤ちゃんを何人も見かけてありがたかった。赤ちゃんは輝いている。竹取物語で竹からかぐや姫が登場するときにパーっと光るような描き方をするけど、竹から生まれなくても赤ちゃんは発光している。

甘い物でも食べようかのうと翁の気持ちでコンビニによるがピンとこず、帰ってレトルトカレーを食べて元気が湧きいずり、午後は仕事。

終えて鶏肉が中途半端に余っているので炊き込みご飯を、出汁メーカーのサイトにそって忠実に作った。これはだいぶ具の多いレシピだなと思ったけど、炊けたところを見たらちょうど良く、これが忠実に作るということか! と思わされる。3合分作ってみんなでわしわし食べた。

夜はネットフリックスでミステリー映画の「ナイブズ・アウト」を観る。

心をゆさぶるドラマが苦手なことから、どうでもいい感じの映画が大好きで、そういう映画を見極める能力が私は結構高い。

 

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