まばたきをする体

夜中に目を覚ましたいからもう寝る

今日で定期テストが終わる息子が、帰ってきたら寝る、とことん寝るぞとふがふがしているので「そんなに寝ずに勉強してたんだ」と嫌味ではなくて素直に驚いた。「いや、そんなに頑張ってはいない」とのこと。

気づかれというか、プレッシャーもあるだろうし、なにしろ疲れはしたんだろう。

子どもらは学校へ、私も自宅から出たり入ったりしながら仕事の日。

夕方、私が不在のうちに近所の友人がお下がりの服を玄関先に置いて行ってくれた。さらに用事で近くまで来た母がたくさんもらったからとシャインマスカットを3房、同じようにくれた。

急激に笠地蔵化した玄関。すごい。ありがたい。

帰宅した娘は早速お下がりを全部広げて試着して、いちばん気に入ったらしいTシャツをそのまま着て脱がなかった。

うちの娘の場合、こういうときはさらっと軽く「へえ、かわいいね、よかったねえ」と言うくらいにしてあとは深く声をかけないのがコツだ。

「えっ、試着じゃなくてもう着るの」とか「よほど気にいったんだね」などというと恥ずかしがってすぐに脱いでしまう。心のなかで(試着かと思ったらもう着た! よほど気にいったんだな……)と思って、あとはちょいちょい見守る。ふふふ。

ふと、電話に着信がついていたのに気づいた。見知らぬ番号で、検索すると息子の通う中学校だ。何かあったか。かけ返すと、部活で軽いけがをしたので途中で抜けていま帰しました、念のためお知らせしました、とのこと。

それから、息子さんはテストをよく頑張っていました、それに、いつも書く文章がゆかいで新鮮ですとおほめいただく。

お、お、おおお……。感激で電話口で「せんせえぇ~~」ともれた。

こんなうれしいことない。怪我なんか完全にどうでもよくなった。驚くほどどうでもよくなってしまい反省した。

怪我でテンションが底辺息子が帰宅してなお私の盛り上がりは冷めなかった。心とはこういうものか。

息子は出血があったらしくびっくりしたとのこと。晩ご飯はどうしよう、食欲はあるかと聞くと「食欲という概念がいまおれにはない」という返事でよくわからない。なんなのだ。概念はあれ。

それからやりのこしていた集中系の作業をして、途中息子に炊飯を頼んで後からなにか買いに出ようと思うもなかなか終わらず、そこへ娘に「晩ごはんまだ」と聞かれたのでバーンと爆発し

「出前だー!」

と急な出前が発動した。

そば屋の出前のメニューを開き、全員で見る。

平日たてこんで出前をとるのはもしかしたら初めてじゃないか。いつか頼みたいとポスティングされたメニューをとっておいてよかった。

娘は悩むことなく「カツカレー」と言い放った。息子は山菜うどん、私は鳥南蛮そばにした。電話で注文する。

何時くらいに届くか聞かなかったので、何時くらいに届くか分からない。すぐ来るのかな、どうなんだろう。話していたら来た。早い!

ピーロリーロリーロリーロピーロリーロリー

出前の到着とほぼ同時に息子に頼んだ炊飯予約でご飯が炊けた。

蕎麦屋さんはクラシックな出前のバイクで料理を届けてくれた。サスペンションで出前の料理をぶらぶらさせるやつ、あれ、本当にかっこいい。

ご飯を小分けにして冷凍して、届いた料理をみんなで食べた。

そばはどんぶりにピッチピチにラップがしてある。

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ああ……そうだ。子どもの頃、母の実家に遊びに行くと商売の帳面を取るので始終いそがしい祖母はよく中華料理屋からチャーハンやラーメンの出前をとった。ラーメン、こうやってラップで封じて届いてた。あれ好きだったな。

配達のおじさんが「食べ終わったら洗わず表に出しといてくださいね、どうせ洗うんですから、そのままでいいんですから」と念を押して帰って行ったをなんとなく覚えている。

もちろん洗って器は出す、でも「洗わないで出しといてくださいね」「はいはいそうさせてもらうわ、ありがとうね」という、そういうやりとりが大人にはあるんだなと思った。

食べていると開けた窓から風が入り「おお、いま秋の風感じたな」と息子が言う。「私も!」

カツカレーなどハイボリュームなもの、娘は食べ切るだろうか(そもそもこの人、カツカレー食べたことあったっけ)と思ったがいつも最後に食べ終わるところ今日は一番に食べ終わった。

息子は「おどろくべきうまさでござった」と感激していた。

皿はそれぞれ洗ってお盆に乗せて、外に出しておくとしばらくしてもう取りに来た。いろいろ早い。

食後、娘は機嫌よく唇をぶるぶるいわせて歌を歌って、それから最近ちょこちょこ観ているらしい三谷幸喜の「誰かが、見ている」を観はじめた。

息子が「もう寝ようかな」と出ていくので「ええまだ20時半だよ、こんなに早く寝たら夜中に目が覚めちゃうんじゃない」と言うと「夜中に目を覚ましたいから寝る」ということだった。

 

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