まばたきをする体

全員の身長が近いとき

息子が昨日干したサッカーのすねあてをかいでいる。「うん……におわない」「おお、よかったね」「しかし……おれの嗅覚が弱いだけかもしれない」

そういって私にもかぐようにうながすが、嗅覚に自信がないのは私のほうだ。

長く鼻炎もちとして生きてきて、鼻がよくない。たまに極端に嗅覚が弱まることがあり、もう10年くらい前の話にはなるがガス漏れに気づかなかったことがあった。

まだ寝ている娘にかいでもらおうということになった。この家では鼻に関しては娘が一番信用されている。

今日は午後、息子のスパイクを買いに行くことにしている。バスか電車かで迷い、バスは本数が少なくバス停で待つのが暑そうなので電車にした。「どんくらいで着くの?」「え?」「どんくらい電車に乗るの?」「ああ、20分くらいかな」「……どんくらい……って don't cry っぽくない?」本当だ。

それから朝ごはんを二人で食べて、寝坊の娘もそのうち起きてきたが私たちはすねあてをかがせることを完全に忘れてしまっていた。

午前中はあちこち床を掃除した。娘が新聞を読んで、掃除をする間ずっとあれこれ気づいたことを報告してくれる。「おいしそうな料理が載ってるよ」「コンビニの店員さんになりたい小学生の作文が載ってる」「谷川俊太郎さんが出てるよ」「黒生姜ってなんだろう、多分黒い生姜だね」など。こうして発信が強いことで娘が健康で元気だというのが伝わる。

実それから家の両親が娘に誕生日プレゼントを持ってやってきてくれた。本当は山小屋で祝う予定だったのを、感染対策のため今年はよした。

プレゼントは、メロンと桃とタオルだった。「赤ちゃんに使うタオルらしいんだけどな」と父が言い、子供向けの商品をよしとしない娘は「おや」という顔をしたが、開けたらクマのかわいいやつで盛り上がった。

両親は家に上がらず帰っていき、娘と私でぬいぐるみに布団代わりにタオルをかけた。

「こんないいタオルは湯上りには使えないな」と私が言うと娘も「お昼寝タオルだよね」といって、良いタオルは濡らさず使うものという印象が私たちにはある。

昼はうどんを食べて午後から予定通りスパイクを買いに、暇の娘もつれて全員で出た。

3人で歩いて、いまもしかしたら私たちの発育曲線上いちばん、全員の身長が近いときなんじゃないか。ちょうど息子は私を抜かんというくらい、娘も小4にしては大きいほうで兄に迫っている。

買い物を終えるとのどが渇いた。空いているエクセルシオールを見つけて飛び込んで子どもたちはレモネードを、私はくせでアイスコーヒーを頼んだが、私は飲みながらずっとレモネードが羨ましかった。

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普段はさっと飲み終えてすぐに店を出たがる子どもたちだけど、今日はじっくりレモネードを味わっていた。子どもをつれて喫茶店に行くのはなかなか贅沢であり、とても満足して堪能した。

帰ったらもう夕方で、普通の夏休みだといかにあちこちに行き、いかにエンジョイしたかのプレッシャーを自分に課してしまうところがあるが、今年はそれがない。こうして淡々とやりすごすのは行きがかり上とはいえ贅沢なことでもあるなと思った。

 

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