まばたきをする体

純粋なから揚げの行列

今日からサッカー部の練習がある息子に、スパイクを入れる袋がなにかないか聞かれた。

シューズケースみたいな立派なものはなにもなく、納戸をあさっていると薄いおうどいろの袋が出てきた。これがどうにもこうにも、袋としかいいようのない袋だ。

「袋だね」「袋だ」「なに? これ」「いや、だから袋なんだと思うんだけど……」

あまりに袋すぎて笑ってしまった。西洋の昔話でこびとたちがかつぐやつだ。

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ちょうどよさそうなものが他にないので、息子は買ったばかりのかっこいいスパイクを袋に入れた。

それから、サッカーボールも必要で買わねばとのこと。サイズの規格とかあるの? サッカーボールならなんでもいいんだろうかと聞くと「ええと……5玉? 5号玉?」「なんか花火みたいだな」(調べると、“号”というのがサッカーボールのサイズの単位らしい)。

息子はでかけ、夏休みの娘は今日もひとりで朝寝を堪能している。私は朝起きて夜寝るのが好きで、昼夜が逆転したことがこれまで一度もないが、娘のような人はこうしてどんどん起床時間がずれていくのだろう。

起床時間がずれていって昼夜が逆転する、そういう人は信頼する友人知人にもとても多いし、悪いことではないのだろうな。

とはいえ、私や兄と行動時間がずれずれになると家庭運用がめんどうなのでまだ朝といえる時間には起こした。

私は仕事をし、娘はねそべって漫画や本を読みたまに宿題などをしている。せめてどこかへ連れていかねばと昼休みにコンビニに連れて行った。

おいしいものが売っているし、スーパーなどに比べれば単価も高いし、私はコンビニのことをちょっといい場所だと思っているところがある。

向かう途中、娘が何人か仲の良い友達のことを話しなかに「3人の仲良しグループで」という表現があった。小学生のころ、たくさんいる同級生からどうやって数人に限定して仲の良さを構築したのか私はすっかり忘れてしまっていて、娘に聞いてみた。

「はじめて会う子がたくさんいたら、ひとりひとり、少しずつ話していく」とう。そうするうちに、仲の良い子がだんだんわかっていって、でも特に「今日から友達ね!」みたいな約束はなくて、ただ、だんだんまとまっていく。ああそうだ、なんかそんな感じだったな。とても繊細なまとまりだ。

コンビニで私も娘も同じ、いろいろな具の挟まったサンドイッチを選んだ。普通のサンドイッチなのだけど「関東限定!」と書いてあり、その限定感の意外さに笑う。写真を撮りそびれてあとで後悔した。ポテトサラダとハムとたまごとコロッケサンドが入っていて、娘にどれが一番好き? と聞くとコロッケサンドとのことで、私もだよ~、わいわい。

午後も娘は家で適当に過ごしている。本があれこれあるのでとりあえず読んでしまおうということのようだ。私はリモートの会議に出るなどして、終わるころ息子も帰宅。

なんとなく思い立ち、夜は自転車で隣町のから揚げのテイクアウト専門店に行った。

から揚げの専門店というと近所にはこの店しかなく、夕方はいつも繁盛している。とくべつなにか味わいが素晴らしいとか変わっているとかいうことのない普通の店で、だから行列を見るといつも、きっと人はこの店に並んでいるというよりも、から揚げという食べ物そのものに並んでいるのだよなと思う。

大忙しの様相だが店員さんの愛想がよくて、たくさん買って、帰ってみんなでうまいうまいと食べた。

息子が勉強する寝室と居間にはクーラーがついているが、片方のクーラーのリモコンが故障してうちではリモコンが2部屋共用だ。

息子がミュージカル形式で明るく「母上~クーラーの~リモコンを~貸して、貸していただけませぬか~」と歌いあげたので、私は暗い感じのリズムに転調させて「息子よ、息子よ、ならぬ、ならぬ~」などと歌って遊んだ。リモコンは渡した。

息子の冷やした寝室で娘は毛布にくるまって漫画を読んでいた。「暑くてもクーラーですずしくて毛布にくるまるのが気持ちいい」といっていて、娘の人生は本当に祝福されているなと思った。

 

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