まばたきをする体

朝ごはんがいま動き出す

朝はラジオのニュースに相槌を打っている。「そうなの?」「えー」「そんなあ」など。息子が一緒に朝ごはんを食べるので聞いているが何も言わない。

子どもたちは学校に行き私は在宅で仕事。昼過ぎには娘が帰ってきた。私は夕方まで仕事があるのでそのまま続けて、娘は居間でマンガを読んでいたと思ったが、仕事に集中するうちにどこかへ行っていて、探すと寝室に移動して読んでいた。

娘がこうだし、息子もよく、あっちこっち移動して本を読む。居間とか台所とか寝室とかぐるぐる回る。

夕方、見知らぬ番号から電話がかかってきて、取ると宅配便の者ですが、という。

「昼に宅配ロッカーからお荷物を出されたと思うんですが、そのうちの2つの伝票番号が同じなんです……あ…いや……! 違ってました! 大丈夫でした! めちゃめちゃ番号が似てて! パニックになっちゃってました! 電話をかけたら急に落ち着いて番号が良く見えました」

おおお、よ、よかった。「電話をかけたら急に落ち着いて」というの、なんだかすごく気持ちが分かる。

同人誌を手発送している関係で、春からずいぶん宅配ロッカーのお世話になった。配達員さんと全く接触のない発送方法だったけど、はじめて「いつも頼りにしています」と伝えられた。ラッキーだ。

娘が塾に行って、すると息子が帰ってきた。

委員総会という、各クラスの学級委員とか各委員会の委員長とか部活の部長が集まる会に出た……! とのこと。息子は何を思ったか今年急に学級委員に立候補した。今までずっとそういうのを避けてきたので意外だった。

息子は中学に入って学校のことをよくしゃべるようになった。小学校の頃は何も話さず、だから私は息子の小学校生活のことをまるで知らない。

おそらく、小学校は入学時にかなり幼く、小学校生活を「そういう当たり前のもの」として受け取りながら次第に成長したのではないか。

中学校に上がって急にあれこれが変わった。小学校の入学時よりも差異を感じ口頭で表現できるようになったのでは……と思うがどうだろう。

「来月は生徒総会ってやつがあるんだよ」と言っていて、単純に中学校の行事が大人風なので興奮しているのかもしれない。

ジャガイモをいただいたのと豚肉が安かったので間違いなく肉じゃがの日だ。作って食べながら、娘がセミの声をきいて「セミってなんでセミって言う名前なんだろう」といった。

それを言い出すとすべてが「なんでだろう」になるぞと息子がいなした。あとでネットで調べようと言ったが忘れて調べなかった。

食後、娘は息子に、今度は「自然で何が好き?」と質問していた。「自然でって、どういうこと?」「木とか虫とか川とか空とか星とか」「どういう質問なんだよ……じゃあ、空」「私は星!」

最近入浴時に小さなメラミンスポンジを持って入ってあちこち掃除するのが私のなかで大ヒットしている。あちこちきれいになるのでとても楽しい。

夜は短編集なのに甘んじて読みかけにしていたロベルト・ボラーニョの「通話」の続きを満を持して読んだ。

誰かの謎の人生が謎に始まり謎のまま終わるなか、たまに現実にもそういえばあるなぁみたいなことが書いてある。

元カノの大変な事実を公衆電話で知らされた直後、浮浪者が1メートルくらいの近さに立っていて自分を見ているのに気づく。おわっ!ってなってるつかの間、彼女のこと完全に忘れてた、とか。

寝る前に息子に明日の朝ごはんは何かと聞かれた。いつも通りパンだよというと、「明日はご飯にしよう」という。

「……ご飯に!?」「そう。おれは久しぶりの卵かけごはんにする」「じゃあ、私は明太子ご飯…!」息子が炊飯予約した。

日々の思考停止の朝ごはんを息子が動かした。

 

 この日記を本にして売っております(刷り増して販売期間を延長しました……!)。完売していたエッセイ本も増刷して在庫反映しました! なにとぞよろしくおねがいいたします。

大阪のシカクさん、下北沢の日記屋 月日さん、赤坂の双子のライオン堂さんでも取り扱っていただいております~。

 

 ------

古賀及子(こがちかこ)・まばたきをする体とは
お仕事のご連絡
Twitter @eatmorecakes
Instagram @eatmorecakes