まばたきをする体

ふんわりではなくふっくらしている顎

今日娘はアフリカのルワンダについて話を聞く会に出ることになっている。少し離れたまちの公民館へ自転車で行くためいつもの土曜日よりすこし早く起こした。

長くルワンダに暮らした方が国の概要を教えてくれるのだそうだ。時間内に朝食が食べ終わらず途中で抜けるようにして出かけていった。

息子は自宅で迫る中間テストの勉強をしている。先日テスト範囲が書かれたプリントをもらってきて机の前に貼っていた。

私は今の息子とおなじくらいのころほとんど勉強をせずに寝て暮らしていたが、こうしてプリントを見るとよく当時の私はこれを見てプレッシャーを感じず寝ていられたものだな。

まったく何もしなかったというわけではなく覚えねばならない漢字や英単語を大きく紙に書いて枕元に貼って寝ていた。それでなぜ覚えられると思ったのだろう。

息子は英語に取り組んでいる。

「This is big apple.」と読み上げて書き取り、それから「どんぐらいでかいんだろう」ともらしていた。

LINEが届いて、ルワンダの会に参加した近所の友人からだった。娘が帰宅の途中に蜂に出くわし避けようとしたところ転倒して顎を切ったという。ややや!

心配して待っていると友人が顎に絆創膏を貼って止血しはげまして連れ帰ってくれた。ありがたい……。

しょんぼりした娘のあたまをなぜると娘は泣き出し「痛いよう、痛いよう」といった。あちこち確認すると打ち身はないようだが顎だけでなく肩と手足をすりむいており、挫傷の薬をもらいに皮膚科に連れて行くことにした。

病院では顎をみた先生が「あれ!」と思った以上に大きなリアクションをして、すぐに洗いましょうとベッドに寝かせ「あの太い注射持ってきて」という。

聞いた娘が白目になり「おおおおおおおおおお」と地鳴りのような低い声を出した。

娘は注射が苦手だ。

地鳴りに気づいた看護師さんが「針のついていない注射だよ、大丈夫だよ」とフォローしてくれ、出てきたのは洗浄用の水を入れる注射(シリンジ、というやつか)で娘は鳴りやんだ。

先生と看護師さんでガーゼや薬をせっせと受け渡ししての処置があり顎は守られ、病院に来ておいてよかった。

帰り道、マスクで顎はおおわれてはいるが、娘は「顎がガーゼでふくらんで、マスクがふっくらしてる」と言っていた。ガーゼがやわらかく感触もふっくらするのだろう。「パンみたいだね」と言い合った。

帰ると息子は今度は漢字の勉強をしていた。

むつかしい漢字が多い。ノートに「恭しい」と何度も書いてあった。

「顎関節ってお母さん書ける? テストに出るらしいんだけど」と言われ、絶対に書けない。「書けない」「今後おれ生きててアゴって漢字で書く機会あるのかな」「書初めで書くといいよ」

午後は夕方まで時間があり久しぶりにこれは暇だなという時間帯だった。疲れていたので少し寝て、それからキャラメルポップコーンを作ったらポップコーンは焦げたしキャラメルコーティングは結晶化した(知らなかったのだが、キャラメルポップコーン界には、コーティングが結晶化するという失敗パターンがある)。でもおいしくて、アニメの「日常」を観て笑いながらみんなでぱくぱく食べて甘味で腹がいっぱいになるやつになった。

夕方、娘をバレエの稽古に送る。傷はあるが稽古は行ってよしと病院で言われ、娘は最初「顎がふっくらしてるからみんなが驚かないか心配」とひるんでいたが、そのうちどうでもよくなったようだった。

稽古のあいだ、あちこちで用事をすませた。カルディに行ってパエリアの素を買った。母からぜひとすすめられていたものだ。カルディは行っても何を買っていいかわからずにいたが、最近は入場制限がされていて、すると空いた店内がゆっくり見られて欲しいものが見えるようになった。

稽古を終えた娘に「顎がふんわりしてるの大丈夫だった?」と聞くと「ぜんぜん大丈夫だった」とのことでよかった。それから「ふんわり、じゃなくて、ふっくらだよ」と言われ、パンみたいな言い方と覚えていたので間違えた。

なんとなく発泡酒じゃないちゃんとしたビールを買って帰って夜。ふろ上がりに開けて飲みはじめるも友人から新しい仕事の話がとどき興奮でカーッと雑な飲み方になった。

 

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