まばたきをする体

子どもが子どもの世界の情報を交換している

明太子をもらったので朝はパンではなくご飯をと思っていて、そのことを忘れていたわけでもないのに体が勝手に今日もパンを焼いてしまった。

どうしても頭を使いたくない、いつもの通りにやりたいと手足が動いたようだ。ルーチンワーク強い。

パンに明太子を塗る方向性もあろうが、こうなってしまうと本当にぜんぶいつもの通りにしたくなってハムとチーズと茹で卵と完璧に日々と同じようにセットした。

早起きの息子とふたり食べながら途中で娘を起こすも起きてこず、二人食べ終わってからまた起こしてやっと起きてきて時差朝食もまたいつもの通りだった。

食べながら妹が兄に「嫌いな音ってどんな音?」と聞いている。「発泡スチロールをひっかいたときみたいな音のこと?」「そうそう」「それなら黒板のキー!とかかな」

そういうキー! のやつのなかで一番嫌なのを見つけたんだと娘は言う。道に消火器が入ってる赤い箱が立ってるじゃん? あれに手をついてそのままキュッと手をすべらせたときすごく嫌な音がする。

兄は「そうなんだ~」と言っていた。

子どもが子どもの世界の情報を交換している。

私は大人なので横から「消火器の箱を不必要にさわっちゃだめでしょうがよ」ととがめると「だって友達がさわっちゃったんだもん!」と言っていた。

わいわい子らはそれぞれ学校に行って私は仕事。打ち合わせがあって出かけたら靴が壊れていた。歩いているうちに気づいた。

同じ靴を2足もっていて、一方は壊れていて、もう一方は壊れていない。一足壊れたので新たに全く同じものを買ったが古い方を捨てなかったのだ。

なるほど……もったいながって処分の作業をおこたるとこういうことがあるのだなと壊れた靴で歩きながら思った。

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新宿に行く用事があり地下街のサブナードを抜けた。新宿駅から入って西武新宿まで行けることを久しぶりに思い出した。20年以上前ここにロビンというスパゲティの店があってに当時好きだった人に連れてきてもらったのを思い出した。

大盛りを難なく食べたところ驚かれ、後日ほかの友人に「古賀さんロビンの大盛り楽勝だったよ」と嬉しそうに伝えていて、それでこいつは見込みがあると思ってもらえたのかそれからしばらく付き合った。

そうだ、そのあとに好きになった人も麺類の好きな人で、当時東池袋にあった大勝軒に連れて行ってもらい、表に並んでいるお客に注文をとる店員さんに「この体のどこに大盛り入るの」と言われたことが(当時私は痩せていた)彼を喜ばせてそのあと付き合ったのだった。

よく食べることにより相手を喜ばせそして付き合う流れ、健啖家の方には多いのではないか。私はいまではすっかり胃が小さくなり外食はなにもかも量を多く感じるようになってしまいました。そんなことをサブナードで考えた。

打合せを終え、帰りの電車で金銭トラブルを弁護士を入れずに解決した話をしている人がいて聞こえてしまった。「結局1本払ったって言ってました。1本て100万か1000万かわかんないんすけど」

現金の単位を1本とあらわすのは90年代に放送されていた「マジカル頭脳パワー」というクイズ番組の推理ドラマ形式のクイズ「マジカルミステリー劇場」で聞いた以来だ。そこでは1本は1000万と言っていたが、100万を指す場合もあるのだな。

駅からの帰り道、おじいさんがこいでいる自転車のうしろのかごにパブロンの箱がなににもつつまれず入っていて風情を感じる。

外に出るといろいろ思い出すし家では見られないものが見られる。

帰ると子どもたちはもう帰っていた。指令のとおり息子はご飯を炊いておいてくれた。

ゼルダの伝説」をやろうと誘ったが、帰宅後すぐに遊んだから今日はあとはもう宿題をやらねばならないのだと断られてしまい、宿題を先にやっといてくれればよかったのに! とキーキーした。

 

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