まばたきをする体

気安い友人や家族だけが目撃する

GoogleHomeに天気を聞いたときに「今日の東京は晴れです」と答えるのがおもしろくて、それで真似をしている間になんだかだんだんどんどんおかしな演出がついてきて、やがて鼻にかけた裏声で「今日の東京は、晴れ~!」と言うのが私のなかで大流行したころがあった。

グーグーがんもみたいな感じの声で言う。あれいったい何だったんだ。

友人とやりとりをしていて急に思い出したらしく「今日の東京は、晴れ~!」ってあれなんだったのと聞かれ、完全に忘れていたのを思い出した。何だったんだろうね……。

学校に行く息子に向かって久しぶりに「今日の東京は、晴れ~!」と言ったところ、「……! ……なんだっけ?! それ……!」と覚えていてくれた。

一体何だったのか。考えるが、なんとこれね、驚くべきことに何でもないんですよ。

100%テンションだけ、意味はまったくなくただ純然たる生から、脊髄から出るみたいな言動があって、気安い友人や家族だけが目撃する。どこにも発表されない意味の分からない人間の感じ。「今日の東京は、晴れ~!」です。

娘も学校へ行った。ひとりの静かな昼なのででかくて辛いカップ麺を買ってきて食べた。

でかくてからいカップ麺を食べてしまったからには頑張るしかない。午後もよしよしと次々に作業を進め終え、するともう子どもたちが帰ってきた。

夜は晩ご飯を食べながら、娘が担任の先生について話を聞かせてくれた。息子もこの間まで同じ小学校に通っていたので知っている先生のはずで、思い出そうとしている。どんな雰囲気の人だっけ、眼鏡かけてる? 元気な感じ?

それから「その先生の名前を英語の名前にするとどういう感じがしっくりくる?」と聞き、意外なヒントの求め方をするのだな。

この方法はかなり雰囲気が伝わると息子は言っていた。

それで思い出したが海外ドラマの「フレンズ」を最初に観たときに、その文化圏で育ったわけでは全くないにもかかわらず、フィービー(という登場人物がいる)のあまりのフィービーっぽさに感心した覚えがある。レイチェルもレイチェルっぽいし、モニカもモニカっぽい。後付けでそう感じるのもあろうとは思うけど、息子にも同じような実感があるのかもしれない。

それから私は二人に、昼にでかくてからいカップ麺を食べたことを告白した。

「そんなことしていいの…!?」と娘。「ずるい!」と息子。だから午後は仕事を頑張ったのだと言い訳をした。

食後、娘は作文教室の先生に電話をかけた。今週、娘は何度も先生に電話をしている。明日の土曜の午前に行われる時事問題の発表会の打ち合わせをしているようだ。

娘は完全に準備をさぼって私も面倒を見ないので、これはまずいと思った先生が定期的に電話をかけさせ進捗を報告するようにしむけてくれたらしい。

電話を切ってからそれなりに発表の文章をとりまとめて、最終的には自信ありげな様子だった。

しかし明日、お母さんは発表会には来ないでほしいと言われている。

発表会にきたらきっと感激して「すごい!」「がんばったね!」「えらいよ!!」と大きな声を出すだろうから恥ずかしいとのことで、なるほど私も感動を押さえる自信がない。言うことを聞いて家で横になり寝ていることにした。

実は早起きして出かけるのがおっくうなのでちょっとラッキーとも思った。子どもに夢中になるイメージはあるが、寝ていたいイメージもあって、親の心もいろいろあるものよのと思う。

蒸し暑い夜で寝入るのに難儀した。

 

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