まばたきをする体

手に持ったものすべてを破壊する

山に住む子らの父は最近、田畑を耕すほかにお茶工場でも働いているらしい。

先日野菜を送ってくれたときに、新茶が売り出されましたので送りますと小さなパックが入っていた。

普段緑茶をほとんど飲まないのでネットでお茶の淹れ方を見てやってみた。見たことのあるお茶の葉とは違い、シャーペンの芯みたいな様子でへえと思う。お湯をそそぐと今度は海藻みたいになった。

今日は子どもら二人とも通学の日。娘は出かける予定に対し危機感なくのんびりするほうで私が声をかけないとだいたいソファに寝そべってマンガを読んでいる。

時間になっても動く様子がないので声をかけて行かせた。

一方の息子は家を出る予定時間の15分前くらいからそわそわし出し、出て行ったかと思ったら帰って来て「ちょっと早すぎた」と玄関に座って時間をつぶしてまた出て行った。

不在になった娘の机の上にゴミのようなものが置いてあり、見ると噛みちぎられたアイスの棒だ。

f:id:mabatakixxx:20200606121408j:plain

娘はデフォルトで「手に持ったものすべてを破壊する」機能を搭載して生まれ、これまでの人生をかけて少しずつこの世には壊してはいけないものがあることを学んできた。それで概ねのものは壊さなくなったが、壊しても大丈夫と見るととことんやる。

昼にはもう子どもたちは帰宅、スパゲティを茹でた。

が、途中でタイマーのかけ忘れに気づき、どれくらいの時間から茹で始めたかなんの手掛かりもない。

適当にやわらかくなったところでよしとした。美味しく食べられればそれでいいわけだが、ルールを守らず作ったことに未達成感がある。

食後にあずきバーを食べた息子の歯が抜けたので受け取って洗って干した。

午後は自宅でそれぞれに仕事をするなど取り組んで、私もリモートの打ち合わせに出た。同僚たちと「今日なにしてた?」みたいな話をする時間があり、それぞれが作業の成果を報告し合うがひとり「そわそわしてました」といって、そうそう、ビジネスってほんと、そわそわする日があるんだよなあ。

料理の時間がなく晩ご飯は商店街のお惣菜屋さんで並ぶ料理からこれはなんだろうなと思うものを買ってきた。パッケージには「揚げ団子(小海老と里芋)」と書いてある。

ひらべったい団子らしきもののまわりに薄い白い衣が、そして透明の餡がかかっている。

温め返して子どもたちの皿につけると息子が「なんだいこれは」と言って、「揚げ団子(小海老と里芋)」だってと説明する。しばらくして息子とのやり取りを聞いていなかった娘が「なにこれ」というのでまた教えた。美味しかった。海老が好きだ。

それから、息子が「早く放課後教室に置かれたノートが風でぱらぱら開いて、閉じた表紙がタイトルになりたいなあ……」とため息をつくと、娘もまったくだとうなずき「このあいだ公文で換気で開けた窓からの風でプリントがひらひら舞ったのは見たよ」と励ましていた。

今日も息子の「ゼルダの伝説」を応援する。サボテンの皮を斬撃でむいていた。

 

この日記を本にして売っております(刷り増して販売期間を延長しました……!)。完売していたエッセイ本も増刷して在庫反映しました! なにとぞよろしくおねがいいたします。

kogachikako.booth.pm

 ------

古賀及子(こがちかこ)・まばたきをする体とは
お仕事のご連絡
Twitter @eatmorecakes
Instagram @eatmorecakes