まばたきをする体

不在の17:42にアラームをならす

長い休みがあける備えのために不必要に早く起きた。

年末年始の休みは日々だいたいのんびり寝ており、寝すぎた日もあった。また明日から平気で朝早く起きれるとは思えず、練習のための早起きだ。

起きれば起きれるもので、私が起きた音で息子も起きてきた。

朝ごはんを食べながら息子が「今日17:42にアラームがなるから」という。「なんで?」「いや、なんとなく、かけた」「そうなんだ」

郵便ポストを確かめると、娘が友達に出した年賀状が戻って来ていた。住所を書き間違えたようだ。

起きた娘の朝食と着替えが終わるのを待って、年賀状は直に郵便受けに入れに行くことにした。子どもの友達というのはたいてい近所に住んでいる。

その友達は昨年ペットのハムスターを亡くした。さみしさにハムスターのグッズを集めているそうで、娘はハムスターの柄の入った年賀状を買っていた。

郵便受けに入れ、帰りに娘が以前クラスでおいしいと評判になっているといっていたパン屋に寄った。留守番の息子からカレーパンとあんパンを買ってきてほしいと言われている。小さな店からは人があふれていた。おお、人気なんだな。

ちらと覗くと、あっ! なるほどそうか、どうもパン屋ではなくさらにベーカリーでもなくブーランジェリー的なお店のようだった。

きっととても美味しいのだろうが、カレーパンやあんパンはなさそうだ。娘に、残念だけどまたにしない? と相談すると、評判を流した子が転校しちゃっていまは評判ではないから良いよ、ということだった。

近くのパン屋に行って、カレーパンとあんぱんと、娘と私の分もそれ的な総菜パンを買った。

帰途、母から電話があり、近くまで寄ったから家に行ったけど、あなたいなかったから電話したよ、とのこと。用は特にないそうだ。

帰ってみんなでパンを食べた。

午後は息子は塾へ行き、私は娘と掃除や片づけをしたり本を読んだりして暇をつぶした。つぶしきれず、隣町へ行きタピオカミルクティーも買った。

タピオカミルクティーを飲んだことがないと息子が言っていて、ならば買ってくるよという話になっていた。

息子は夜にならないと帰ってこないので氷抜きを選ぶ。「氷抜きは100円増しになります」「そうなんですね、わかりました」「液量が多くなるので頂戴してます」タピオカ屋さんのような楽しい場所で「液量」というガチっとしたワードが出てきて興奮。

買ったところで「1時間ほどでパールがかたくなりますのでお気を付けください」と言われ、そうか! 息子が帰ってくる頃にはパールはかたくなるのだな! と思った。知らないこと、それに出会ったことのない状況がいろいろある。急がないとパールが固くなるなんてはじめてだ。

娘と私にも1杯買ってあり、二人でまだ柔らかいタピオカを吸った。

帰って晩ご飯の支度をしていると、なにかどこからか聞きなれない音がする。

ファーン、ファーン、ファーン

え、なに? 電話? 娘と音の出所を探すと、息子のタブレットのアラームだった。17:42だ。息子はいない。

夜になり自分の不在の時間にアラームをかけた息子は帰宅した。みんなでご飯を食べて、息子はタピオカミルクティーを飲んだ。腹がいっぱいになるな、といっていた。少しもらったが、タピオカが固いようには感じなかった。

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