まばたきをする体

現実がドラマになり切らないのは生きてる人がみんな主役だからだ

先日下のむすめが腕の手術をうけた。

5月に骨折したときの手術で固定のためにいれた釘を抜く手術だ。

5月に続いて短期間での2度目の手術だったので流れはだいたいわかっており、非日常のできごとではあったがとまどうこともなく、まわりがよく見えた。

それで思ったのは、生きているひとはみな自分の人生の主役なのだなということだ。

入院! むすめが! とおおげさな気持ちになっていたが、だれもむすめを主役にしてくれないのだ。

なんだかそれらしいことを言うようで恥ずかしいが、現実社会では誰もが自分の人生の主役だろう。

生きてる人は全員「自分」だ。

自分の人生を生きている。自分物語の主役だろう。

なにがいいたいかというと、だから現実はドラマチックにならないのだ。

ドラマには主役がいて、わき役がいる。わき役はわき役に徹してくれる。入院するむすめという主人公がいたら、まわりの人たちはキャラクターを抑えめにしてくれるはずだ。

が、現実はそうではないのだ。

抜釘手術をおえて酸素マスクをつけた娘が麻酔が切れかけてもうろうとした状態で病室に帰ってきた。

むすめ……! がんばったね……! 涙ぐむ私。「無事に終わりました」と笑顔の外科医。明日退院して大丈夫です、また来週外来にいらしてください。はい、わかりました。予約を取りましょう、1週間後の9時はいかがですか。はい、すぐにメモします!

読んでいた本のしおりがわりにはさんであったレシートにとっさにメモしようとする。と、レシートの明細が目に入った「暴君ハバネロ 108円」。

息子だ。

あいつ、あたしに内緒で暴君ハバネロ食ってたのか。

 

……。

違うんだ、暴君ハバネロはいいんだ、いま主役は手術を終えたむすめなのだ。

しおりの裏じゃなくてPC立ち上げて入力しよう。1週間後の9時ですね! Windows10を立ち上げる。待ち受け画面が五重の塔だった。

五重の塔か。

京都の東寺かな?

 

じゃないよ!

いまMicrosoftでWindows10の待ち受け画面作る仕事してる人のこと考えてる場合じゃないんだよ!

むすめの、むすめの手術が終わったんだよ!

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