まばたきをする体

ちゃんとしたファンの人が使う言葉

PCのファンの音がとまり、IHコンロのファンの音もとまり、すると一気に静かになった。うるさく感じていたわけでもなかった音がやむ、そのときの感じが好きで興奮する。

A うるさい状態 → B うるさくない状態 → C 静かな状態

音の状態にこの3か所があるとして、B点からC点に変わるとき。つけていたラジオを切った瞬間とか電話を切ったあともそう。

C→Aも結構良い。ちいさなクラブの重い扉を開けたときのやつ。
C→Bもいい。エレベータを降りて人のいるフロアに出たときとか。

音量が変わる瞬間がいつもドラマチックで良いものなのかなと思った。

春休みの入った子どもら、息子は朝から部活へ行った。骨を折っててやることがあるのかと聞くと、劇をするからとのこと。サッカー部が劇を。

3月で卒業する先輩を送る会があるんだそうだ。そういえば学校という場は体育会系の人が劇をやるな。

娘は午前中用がなくゆっくり寝ているので時をみはからい起こす。私は在宅勤務。

昼は私も娘も各自好きに食べ、午後リモートで打ち合わせなどしているうちに娘は作文教室へ行った。

娘は国語がらみの習い事に、冷静になって考えてみたらなんと3つも通っていて、整理して必要なものだけを取ろうと話したところ作文教室は手放したくないということだった。

ただそうして考えるとこの作文教室は名前のわりに作文はあまり書かず、では何をするかというと土曜日にみんなでプールに行って、年に一度山に登り、乗馬に行き、あとはたまに川に草笛を吹きに行く。作文教室という名前から、国語の習い事とは思わないほうがいいかもしれない。

もう4月になる、習い事のことをいよいよ決めないと。

仕事を終えるころ娘が帰ってきて、「うちってテレビを録画できないよね」と、そのことについてはじめて聞かれた。

録画用のHDDが壊れ、新しいものを買うもテレビ用ではないHDDを買ってしまって私は拗ねて、返品してからこの家はテレビが録画できないままなんだった。困ることもなくやってきた。

娘は「ヒロアカの5期がはじまるけど……放送の時間バレエがあるから……」といって、それは……それは大問題だな!!!

まず娘からアニメのタイトルにあわせ「5期」という言葉が出たのに驚いた。あれはちゃんとしたファンの人が使う言葉だろう。娘がそんなファン用語を使えるなんて感激する。めちゃくちゃに成長を感じる。

大丈夫、明日の午前中に電器屋にHDDを買いに行くよ! 勇んで請け負った。

一応念のため、配信はないのか調べたら、Amazonプライムで新作もいきなり配信されるとある。えっ、じゃあうちプライム入ってるし録画しなくてもいいのか。

HDDなしの生活が続くことになった。

よかったよかったと、それから晩ご飯を食べながら観たニュースで東京では桜が満開ですと流れた。

娘が「画面に桜とか花が映ったときにキャスターの人がにっこりするやつ好き」と言っていて、好きだなと思った物事を即座に言葉にできる力があるのだなと感心した。ちょっとした「好きさ」みたいなものは感じていてもなかなか言語化するところまでいけない。

それから食後「アイスは昼食べちゃったから今日はもう食べられないな」と娘。この家にはアイスはひとり一日1本までルールがありちゃんと守っている。私も昼食べたからもう今日はもうだめだーと返した。

部活の後塾へ行った息子も帰ってきてご飯を食べ、この人も「アイスは朝食べちゃったんだよな」と言った。

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オタクじゃなければなんなんだ

朝、背中側の首の付け根が痛いのに気づいてヒッとなる。

なんらかの症状か!

前日にはなかった不調が目が覚めて朝に急にあらわれることはよくあり、本当におそろしい。

身構えたが、そうだ、昨日寝る前に本棚によっかかってスマホを眺めていた、棚板がちょうど背骨に当たっていたんだ。思い出した。

それは仕方がないと、原因がわかって一気に気楽になった。

子どもたちは学校へ行き、しかし今日で二人とも学校が終わるんだそうだ。あるなあるな……と思いながら見て見ぬふりをしていた春休みがやってくる。昼ご飯の用意の必要な春休みが……。

今日の昼は麺、絶対に麺、手はかけないぞという気持ちを新たに私もいったん会社へ行き昼休みのうちに戻る。

いい天気ですね。桜が知らない間にすっかり咲いていた。

去年もそうだったけど、今年の桜も宴会が紐づかないのでとくに楽しいものではない。楽しさがなくなるとあとは美しいなと愛でるくらいになり、ただ愛でるとなると桜って、どちらかというと恐ろしいものだ。「桜の森の満開の下」みたいなクレイジーなイメージ。めちゃくちゃ花だし、幹からもダイレクトに咲いているのが美しがらせようというもの以上の執念を感じる。

家に戻ると子らも次々帰ってきて、するとわたしは辛抱たまらず向こうから出てくる前に通信簿をせがんだ。

二人ともこれまでと大差のない仕上がりで、大きな落胆も喜びもなく心の静かな時間だった。息子が小学校に上がり学校から通信簿をもらうようになってもう7年目だけど、待ってましたと開くわりには通信簿に心が大きく動いたことはない。思えば自分のころもそうだった。

我々は淡々と同じ成績をかさね学生生活を終えるタイプなのかもしれない。

スパゲティをゆでてナポリタンにし順次食べて私は午後も仕事。子どもらはごろごろしてから習い事やらにそれぞれ出かけていた。

仕事を終え夕方買い物に出るところで息子にバナナを買ってきてくれと頼まれる。絶妙に母が断らないラインの食べたいものを申し込んできた。ちょうど娘が帰ってきたので買い物についてくるかと誘うが断られ、ひとりとぼとぼ向かって言われるがままにバナナを買った。

レジで会計している人が白くて長いシャツワンピースを着ており、すそが黒くすれている。私も今朝、春だからと同じような白くて長いシャツワンピースを出して、まったく同じようにすそが黒くなっているのに気づいた。自転車の汚れだろう。見つけたときはあちゃーと思ったが、仲間がいて一気に心が強くなった。

晩ご飯を食べて食後、娘はテレビでアニメソングの特番を観ていた。大好きな「スラムダンク」が出てきて興奮の様子。

推しコンテンツが超スーパー大人気コンテンツだとこうして露出が多くて喜ぶチャンスも多いんだな。マイナーなものを愛すのもとてもとても楽しいけどあちこちで遭遇するよろこびはほとんどない。

しかしなんだ、アニメが本当に人気の世の中だ。番組ではタレントさんたちが深夜のアニメについて「すごい良いですよね!」などと楽しそうに話していた。

こういうとき、性根の悪い私はいつもアニメが好きでからかわれていた若いころを思い出す。当時はアニメもマンガも愛好するとオタッキーだとかわかわれ、ではからかっていたみんななにを好んでいたんだろう。

競馬とかスポーツにのめりこむクラスメイトはいた。高校の頃の一番の友人は洗車とオリックス・バファローズとグッチが好きだった。といってもファッションとか美容もそれほどはもてはやされていなかったように思う。ゲームも。すべてのカルチャーと距離があり、ただ自分の人生と知り合いの人生を楽しむ人が多かった。それは今でもそういうものか。

それからコンビニに同人誌の発送にでかけた。夜の桜はいよいよ迫力がある。おっ!これは怖いなと思い歩き、たぶんその影響で数メートル後ろの誰かの足音にも恐れを感じたが、足音はすぐに私とは別の道へ歩いて行った。

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骨のお相伴

階段をのぼる、目の前の、のぼりつく予定の床になんか落ちている。

指から抜けて転がるうちにほこりがたくさんついたばんそうこうかな、 拾い上げて裏返したら腹があり死んだ蛾だった。うおっ。

いそいで床に置きなおしティッシュでつまんで葬った。

このあいだ買い物から帰ってくると息子がキャーキャー言っていた。蛾がいたんだ! 帽子のなかにつかまえたんだ! でもどうしたらいいかわからない!

私もどうしたらいいかわからなくて、夕方で急いで晩ご飯を作らねばという時間だし、後で考えようと言って忘れていた、その蛾かな。蛾を閉じ込めたと聞いた帽子をひらくと何もなかった。

子どもらは学校へいき、私は今日も在宅勤務、途中で買い出しの用があり電車に乗った。

暑くて車内で上着を脱いだら持っていたスマホを落としてしまい、春とか秋、温度調節で上着の脱ぎ着をするときよく手をすべらせて物を落とすんだ。春ですな。

昼に山に暮らす子らの父から牛丼の素のレトルトパックと干し芋とお餅と柿の種がレターパックでとどいてほくほくになる。すぐに干し芋を焼いて食べた。子どもたちも帰ってきて次々食べていきたくさんあったのにもうだいぶ無い。

仕事を終えて、なんだかこのところ頭がもやもやしているの、やっぱりちゃんと向き合って解決しよう! という気持ちになった。

問題は娘の来年度からの習い事だ。私は勉強を教えるのが苦手なのでなんとか娘に納得してもらい塾に勉強を見てもらいたいと思っているのだけど、あれこれ提案しながら娘のやりたいままにしているうちにいまやたら国語ばっかり習っている格好になっている。

国語……もしかして4教科のなかで一番ならわなくても家で本を読んだり漢字ドリルをするなりでなんとかなってしまう教科なのでは……。

このうっすらとした困りをなんとか解消したい。が、買い物に出かけながら曜日の都合と塾のカリキュラムや娘の意向がうまく頭のなかで調整できないまままた結局もやもやが続いた。

帰ってきて、買うべき料理酒を忘れたのに気が付き、もやもやしてるものだからぼんやりもしていた。まあいいかなくてもと、炊飯器で作るチキンライスの用意にかかると米がない。

ぜんぜんだめだ!

料理酒はなくてもいいけど米は難しい。子どもたちに言うとパンで、餅で、良くない? とのことなのだけど、悪いことに今日は食材から気持ちから態勢が全力でチキンライスだ。

急いで米を買いに出た。ついでに料理酒も買う。米だけのために出直すのではないのが救いだった。

米の甲斐ありチキンライスは上手にできた。みんな腹いっぱい食べた。

さっきスーパーでパッケージでカルシウムを推し出しているせんべいを買った。息子が先日骨折した。骨をどんどん良くしてもらわないといけない。

これ、骨のやつだからと息子に渡し、みたところおいしそうだからと娘も欲しがって、結局私もどんな味なのかと興味がわき、娘と私は骨のお相伴だった。

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夜は娘が観ていた東大生が頑張ってクイズを解くテレビを観る。息子も部屋にとどまった。

都道府県をお答えください」とテレビが言った瞬間に問題がまだ始まっていないのに息子が「大阪」というので私は「正解」と言うが答えは広島県だった。

「曲名をお答えください」とテレビが言った瞬間に問題がまだ始まっていないのに娘が「白日」というので私は「正解」と言い、すると本当に「白日」が正解だったので沸く。

娘はこれ前にも同じのやってたやつと白状していた。

娘の爪が伸びているので観ながら切るように爪切りを渡すと、兄に切った爪を見せ「要る?」と聞いている。

さては分厚くて大きい立派な爪が切れたんだな。兄が「いらねえよ」とつれなくしているので、どら、立派な爪かい? お母さんがもらおうか? というと、息子は「そう思うでしょう? でも普通の爪なんだよ」。

めちゃめちゃ普通のただの切った爪で、娘は笑っていた。

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骨は2秒プロに見せる

夜中物音がする。

寝たまま(物音がするな)と気付くだけ気付いていて、徐々に目が覚めて(なんだろう)という気持ちにやっとなった。それからまた「どうした?」と声がでるまでしばらくかかってしまい、物音をさせた人は去ったあとだった。

それからしばらく目が覚めてしまいごろごろする。でもこういうとき寝られなくて朝になってしまったということが私にはなくて、だいたい起きるべき時間の1時間くらい前にすっと寝る。寝つけるのはありがたいことだけど、起きるつらさがいつもと変わらないのが悔しい。

夜中の音は息子が保冷剤を代えにきた音だった。起きた息子に聞いた。昨日手首の骨を折って息子は整形外科でギプスをはめてもらった。腫れて熱を持つから冷やすように言われ、少しずきずきするので冷やしたそうだ。

良くなる筋道が見えたのでもはや息子自身も私もまったく怪我を心配しておらず、ただ、生活の上の不便だけが残った感じ。利き手が助かったのでうまい具合にパンにはちみつをぬっていた。

娘は兄の怪我にはまったく気にかけるようなところがない。そもそもうちの兄妹は家族への人情に乏しいところがある。

子らは出かけていき、私は会社へ。業務移管というので会社を業務ごと移ることになって引っ越しの作業をした。私は普段ウェブメディアの編集を仕事にしていて、それで記事を作るのに買ったものがロッカーからあれこれ出てくるものだから次々引っ越しの段ボールに詰めた。

ああ、般若のステンドグラスだ。

これも丁寧に梱包し次の会社への荷物に入れた。久しぶりに出てきて眺めたが本当に良いものだ。だいいち、意味が分からない。いや、意味は分かるか。般若をステンドグラスにしたらかっこいいぞ! みたいな思いは伝わるものな。

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捨てるタイミングなど今後の人生にないだろう。これをわたしは一生所有し続けるのだと思うと人生が誇らしい。

夕方、早退して息子と家で待ち合わせた。今日も整形外科へ行く。

息子は一体なにをするのだろうと不安がっていた。昨日固定する際のけん引はかなり痛かったらしい。

先生は包帯をとって様子を見て「ああ、これは大丈夫ですね」といった。

それから、しびれたり異変があったらすぐ来てください、と、それだけだった。身構えて挑んだ息子は拍子抜けのようだったが、私は思い出していた。

骨は2秒プロに見せる、それがとても大切ということを。

娘が骨折したときもそうだった。かなり細かく何度も医師の診察を受けた。先生は見るとぱっと「良いですね」とおっしゃる。娘の骨折からはもう数年が経つが、今も半年にいちど成長に治した骨がついていけているかを2秒診てもらいに通っている。この、プロの2秒がめちゃめちゃ大事なんだろう。

考えてみれば、じわじわ大きくなる過程の骨を大きくなりながら治すのがすごい。壊れたまま走ってる車を走らせながら治すみたいなことだ。

帰ると娘も帰宅しており、最近クラスのみんなで踊っている「へんな踊り」を見せてくれた。娘の元気はもちろん、クラスのみんなも元気なのが伝わった。あと動きが単純にへんなので笑う。

娘は基本的に部屋でマンガや本を読んだりゲームをしたりしていてあまり居間にいない。私も一人ですごすのが好きなのでありがたいけどさみしくもあり、だからこうして登場して踊りを踊ってくれると嬉しくてきゃあきゃあする。

それから骨折の息子がシャワーを浴びるのに腕にビニール袋のカバーをしてやると、「なんびとたりともこのビニールのなかには入らせない」と意気込み風呂へ向かっていった。

夜は資産運用を考えて麻雀ゲームをやってからファーファのかわいい動画を何回か観て寝た。

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さまざまな感情を一度に持たすなよ

前日の鍋ののこりで昼はおじやにした。1杯分のごはんが3杯分に増え、全部食べようと思うも時間がなく2杯までしか食べられなくて、それで午後はずっとおなかがすいていた。

リモートで打合せをしている途中に電話がかかってきて、息子の通う中学の保健室の先生から。サッカー部の練習の最中にどうも手を変に地面についてひねってしまったようだと。念のために迎えに来られないかということで、ずいぶん大事をとるのだなと思いながら仕事を早上がりして出かけて行った。

息子は中学受験をして学区ではない学校に通っているのだけど、それほど遠くない場所にあるのでこういう時とても助かる。

到着するなり担任の先生が待ち構えていてくれて、息子から聞き取った状況をなんと図で用意していて説明してくれた。なんと丁寧な。 ボールに足を乗せて手をついた、その様子が棒人間で書いてある。人に理解を及ばせんとするときの勢いがさすが教職の方はちがう。

説明を聞きながらたどりついた保健室で息子は包帯を巻きその上に氷嚢を乗せさらに三角巾で腕を吊ってもらっており思っていた10倍けが人だった。

保険の先生から早めに整形外科にかかったほうが良いと思うと、それは電話で連絡をもらった時点でも言われていて「え~、そんなに?」と実は思っていたんだけど、様子を見たらそれくらいのインパクトぜんぜんある。

よくお礼を言って息子の荷物を背負って学校を出た。帰りながら、ハッとした。

そういえば息子の学校はことし文化祭がオンラインでの学級ごとの動画発表になったのだ。3日間の視聴期限を設けアクセス方法は直前に知らされると聞いていた。それ、昨日までの金~日じゃない!?

息子を問い詰めると、そうだったかな~、くらいの感じ。

絶対に観たい。

絶対に観たい。

「絶対に観たいんだけど」すると息子はお知らせの紙を渡し忘れた気がすると白状した。えー!

 無理無理、ぜんぜん無理。子どもの学校行事の、観られるはずのなんらかが観られないとかまじでちょっと本当に無理。

「いや、無理よ、それは無理、観ないとか有り得ないから、ねえ、ちょっと」圧をかけ自宅に着くなり荷物からその知らせの紙を出させた。

知らせは見つからない。けれど「あ、これこないだの全国テストのやつ」とついでに見つけたらしい結果データ的なものを渡された。それはいらん今は! しかし気にはなるのでチラと見ると、息子にしてはめちゃくちゃ点が良かった。

さまざまな感情を一度にいろいろ持たすなよ?

ちょっとどう思っていいかわからないまま状況としてはなにしろすぐに整形外科に行くのが第一でありワーワー言い合いながら病院に行った。

骨が折れていた。

スーッ。

抜けゆく魂。

診察室に入るとほとんどすぐレントゲン撮りましょうという話になって、それでこれは折れてますね、と、流れるような骨折だった。幸い手術のいるような骨折ではなく、引っ張って固定してギブスをはめましょうとすぐに処置してもらえた。

処置のあいだにもう習い事から帰宅しているはずの娘に電話でこういうわけだから帰るまでもう少しかかると伝える。娘は2回手術するタイプの骨折の経験がある。それと同じようなものと思ったらしく最初驚いていたが、手術がないというと、そんならまあ、と事態を大事から小事ととらえなおしたのが伝わった。

たくさんいた患者さんは徐々に帰っていき、私たちが最後まで残った。バックヤードから看護師さんたちが差し入れだろうか、楽しそうにケーキを分けている声が聞こえる。

いやはや、おかげさまでギブスがはまり、これから腫れるでしょうからとギブスの上から保冷剤を入れて固定してもらった息子と帰った。今日は寿司にしよう。もう時間もないし、スーパーで寿司を買おう。そんで食べたらおいしいよ。本当は今日はオムライスを作ろうと思って昼休みにレシピを調べておいたんだ、でももういい、寿司、寿司寿司。

息子はのんきなさまで、よかった探しをしていた。「おかあさんが家にいてよかったよ~」「利き手じゃなくてよかったよ~」「すぐに病院に行けてよかったよ~」だんだん良かったのかなという気持ちになった。「寿司も食べられてよかったよ~」

いろいろよかったが、でも文化祭の動画は絶対に観たいからなんとか先生に頼んでもらえないかと言っておいた。

寿司を食べ心が落ち着き、夜は娘が観る「プロフェッショナル 仕事の流儀」の庵野秀明回を片づけをしながらちらちら観る。息子は俺は先に作品をちゃんと観るとネットフリックスで「エヴァンゲリオン」のテレビシリーズのを観ていて律儀だ。

すっかり観終えて、私のなかにもプロフェッショナルの気持ちが仕上がるころ、息子がやってきてとけた保冷材を出して変えようとしていた。病院で入れてもらった保冷剤とほとんど同じサイズの保冷剤がうちにあって、コージーコーナーのやつだ。

病院の保冷剤は包帯が巻いてあった。もしやと包帯を解くとコージーコーナーのだった。

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娘がドラえもんを育てていたころ

強風で家がゆれるゆれる。誰も起きてこないのでひとりでご飯を食べ、そろそろどうですかと子らを起こすが誰も起きてこず、そのうちまた様子を見に行ったら二人とももう起きて布団で本を読んでいたようだ。

私などは朝はおなかがすいて起きるけど、そうじゃない人たちなんだな。

風で雨は上下ではなく左右に降り、窓にたたきつけるのをやと起きた娘はよく見ていた。

ちょっとどこかへ出かけられるような天気ではなく人々はみんなそれぞれ適当にすごす。うちのネットフリックスは一番安いプランで、ひとつのデバイスでしか再生できず、ゆずりあって観た。

昼は一応ごはんを炊いた。私は食べた。するとほとんど昼前に朝ご飯を食べた子どもたちも食べていた。

観ようとしていたものを観たり、読めていなかったもの聴けていなかったものを聞いたり、いろいろはかどった。

娘がアイスが食べたいというがなかなか雨が弱まらず、いま買いに行くのは無理そうだねと話す。ちょうど家にグラノーラがあって「バニラのアイスにグラノーラを混ぜたりしたら最高なのにな」というと「できないことを言わないで!」と怒られた。

娘はでも、そうかグラノーラがあるなと思ったようで食べていた。見た息子も食べた。

グラノーラはお椀で食べるのがこの家のやり方で、子らがひまつぶしにグラノーラを食べては後片付けをしないのであちこちにお椀が置きっぱなしになってなんとかしてくれと頼んだ。

集英社新書の「『利他』とは何か」を読んでいる。寄付金のコストパフォーマンスにこだわる「効果的利他主義」というのがあるんだそうですな、同じお金を寄付したときそれが何人を助けるか、共感抜きに数値を見極めるんだそうで、へ~、なるほどなあ~~~~と思いに思いまくった。とりあえず1章だけ読んだ。

あとはモーリス・ベジャール振付のベートーヴェンの『第九交響曲』が2014年に東京で再演された顛末のスペインのドキュメンタリー「ダンシング・ベートーヴェン」を観る。踊りが観られて単純にとてもうれしくて、不思議な振付の場所だけピックアップして子どもらにも見せて一緒に踊った。

出演もする監督が最初と最後にすごく抒情的に語る。私には抒情は腐される危険と隣り合わせの感覚があり、腐されない抒情を生み出すのが表現の工夫みたいに思っているところがある。そういう、腐される! 逃げろ! みたいな感覚からするとこの映画は劇中劇かと思うくらいたっぷりした抒情で、こういうのがありなのが本来の姿なのだろうと少し反省した。

それから私は息子に腕相撲で負けた。

最近、腕相撲の強いクラスメイトと席が近くなり戦いを重ねるうちに鍛わって、これまで倒せなかったほかのクラスメイトに勝てるようになったのだ、だからお母さん、やろうといわれた時にもうこれは絶対に勝てないとはわかっていたが、そうか~。

まったく運動をせずに暮らしているので仕方がない、少し運動せねばなるまい。ここで息子は中学生なのだから負けて当然だなどと思ってはよくない。

死んだ祖母は孫が縄跳びをするのを見て90歳手前でチャレンジし、1回も飛べないのにショックをうけてその日から練習を開始、10回飛べるようになっていた。

夜は鍋と決めていた。買い物にいつ出られるかと天気を待っていた。よし! と思い飛び出すと風はあったがもう雨はやんでいて拍子抜けする。

買った材料を煮込んで食べた。

食後、明日の朝はホットケーキはどうだろうと息子に言われ、平日の朝はちょっと焼いてられないなあというと、じゃあ今のうちにおれが焼いておこうかと、おお! それはぜひ、と思ったが粉類がホットケーキミックスほんの少ししかない。

息子は見て、これしかなくても卵を多めにすればいけないかというのだけど、どう見ても粉は少ないんだ。「卵足したとしても、だってそれ10gくらいしかなくない?」

息子は納得がいかないようで計りを取り出して計ったら袋込みで26gだった。

「26g! どう? いけないかな!」

念ずれば夢はかなうという気概は大切だし気持ちもわかるが、やっぱり明日はパンにしておこうとなだめた。

寝る前に古い写真を探していて、娘がドラえもんを育てていたころの動画が出てきた。

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観たときのショックをやわらげる作戦

娘が作文教室のみんなとプールに行くのを送り出して、休みの日の朝が早くはじまるのは起きるのは面倒だけど起きてしまえば朝の時間がたくさんあってありがたいばかり。

起きてきた息子が「水の作文を書かなくちゃいけないんだ」というので「水道局主催『水を大切にしよう中学生作文コンクール』?」聞くと「全部あってる!」笑っていた。

洗濯物を洗濯機からベランダまで運ぶときに使っている大きな袋の持ち手のひもが切れた。ここ、切れるのか! いや、形あるものはみないつか壊れるというの、わかっちゃいるけど実際起こると唐突なものだから「へえ!」みたいな新鮮な気持ちになる。

息子があいすまんじゅうを食べている。そうだ、昨日買ったんだった。洗濯を干し終えしめしめ冷凍庫を開けるが1本しかない。これは娘の分だ。

ああ……そうだ……箱入りのあいすまんじゅうはひと箱5本入りなんだった。5本入りだと3人家族のうちでは私が1本、子どもたちが2本取る流れになる。

かわいい、そして成長し行く子どもに多く食べさせるのは是非と思う嬉しい辞退なんだけど、シンプルな気持ちを言えばあいすまんじゅうは食べたい。がまんした。

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郵便受けにはがきが入っていた。くせがあるけど整った四角いかわいい文字の手書きでびっしり埋まっている。いわゆる達筆ではないが、漫画家さんが書くような上手な書き文字。読めば証券会社の営業さんからだ。

もう何年も使っていない、おそらく口座に500円くらいしか入っていない証券会社のはずで、そこからこんな丁寧なのがくるのか。

証券会社にそういったお手紙の文化があることは聞いていたけど、初めて見た。

ここの証券会社はたしか短大生のころに口座を作った。祖母がひいきにしていたので私もまねして開いた。祖母が定期で買い付けていたのと同じ投資信託を買って、値動きに一緒に一喜一憂してたころがあった。

いつだったか私は全部手放して、同じころ祖母も別の商品に乗り換えたはずで、最近どうなんだろうと運用成績を久しぶりに調べてみたらぜんぜん良くなかった。

そこへ息子が、中国の伝統音楽みたいなものを奏でて登場。どうしたどうした。

iPhoneアプリGarageBand二胡の音が出せることを知り、触ってみたらどう触っても中国の音楽風になることに気づいたらしい。

GarageBand一切触ったことなかったがそんな機能が……。

音色とハウツーを残し息子は出かけて行って、入れ替わりで娘が帰宅。昼ごはんにおにぎりをにぎって、それから娘はNetflixでファッションデザイナーがデザイン勝負をする「ネクストインファッション」を観ていた。このあいだ私はもう最終回まで観きったやつ。

おもしろかったよとすすめたところ観はじめて、しかし私は勝者を知っているのでネタバレをしてしまいそうでこわい。娘は出場者のことを早速名前で呼ぶなどしており、世界観と一体化することがコンテンツを楽しむコツだと分かっているところがあるのかもしれない。

夜は既成のピザに追加で上から家にあるトマトなど野菜とチーズを盛って焼くやつ。珍しくベーコンを買ったのでコンソメスープを作ったら美味しかった。

息子は最近「エヴァンゲリオン」のテレビシリーズを観ている。へえと思っていたら、4話目くらいを観ている段階で最終回の内容をネットで検索してあらかじめ読んでいた。

なぜかは聞かなかったけど、ある程度内容を知っておいて、観たときのショックをやわらげる作戦じゃないか。私がそういうことをたまにやる。

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