まばたきをする体

こんなにもくよくよする

居間のソファにすわって本を読んでいると、玄関の前に誰かが立つ音がした。

この家は狭く、ひとり静かにしてラジオもテレビもつけないでいると、住宅の深部にいても玄関の気配がわかる。

来るか!? と思った。鳴るか……鳴るか……? チャイムが鳴るか……!? 鳴らない場合もあって、置き配のドライバーさんの場合がそう。

わたしはこの日、人を待っていた。町会費の回収に工務店の女将さんが来ることになっている。こちらから届けに行った方が早いんじゃないかといつも思うのだけど、徴収もれがないようにと毎年役員さんがわざわざ各戸をまわって取りにきてくれることになっていて、その日時が事前に回覧板で知らされていた。

そういう予定があったものだから、来るか!? という思いはいつもより強く、しばらくしてチャイムがならないので、あれ? ちょっとだけ、何かの間違いで帰ってしまったかなと思うが、いやいやそんな訳はと一度浮いた腰をまた落とした。

それからすぐまた気配がして、気配の直後今度は鍵穴ががちゃがちゃまわる音がするので息子か娘かどちらかが帰ってきたのだとすぐに分かった。

息子だ。なんか、これ郵便受けに、とA5くらいのサイズの紙を渡された。ボールペンで丁寧にこう書いてあった。

「町会費の回収にお伺いいたしました。いらっしゃいませんでしたので、また来週伺います」

えっ!

えーっ。

そのまま突っかけを履いて飛び出した。もしかしたら女将さん、まだどこか近くにいるかもしれない。

実はわたしは今日のこの日をちゃんと、そう、「ちゃんと」待っていたのだ。回覧板で徴収日が知らされたのは先週の金曜日、確認してすぐに現金を封筒に入れて用意した。玄関に置いて、それから日めくりカレンダーの今日のページに「町会費の回収、午後」とボールペンで書いた。

日めくりカレンダーは1枚1枚がトレーシングペーパーくらい薄い。だから翌日と翌々日と、そのまた次の日までボールペンの筆圧が跡になった。ちゃんと書いておいた。楽しみにしていたといっても良い。

探した近所に女将さんはいなかった。

かつて同じようなことが一度だけあった。息子の誕生日祝に親戚が自転車を贈ってくれて、大物の宅配ということもあり業者さんと宅配の日をきちんと握り合った。それで待っていたが来ず、すると電話が来た。

インターホンを数回鳴らしたし、ドアもノックのだけど誰も出ていただけなくてと困った様子のドライバーさんだった。

います! いるんです!

ドアを開けると玄関のすぐ前に自転車を台車に乗せたドライバーさんがいた。

インターホンの不調だろうか、ドライバーさんの勘違いか、なんだか分からないまま、でもそのときは電話があったからよかった。今日は違う。女将さんはもう帰ってしまった。

私は、いま思えばなぜそこまでと思うほどにくよくよした。

玄関で気配を感じたのになんで飛び出さなかったのか、それに、来客があっても気づかない家というのは、家として根本的におかしいではないか。不遇で怪我をしたような気持ちになった。飛び出した突っかけの足でこんどはとぼとぼ家に戻った。工務店に電話をするが土曜日で休業のようだった。

かつての自転車配達のこともある、壊れかけのチャイムがいよいよ不調なのだろう。玄関に立つとインターホンのボタンを強く押す。すると「はい」とスピーカーは応じた。室内の息子だ。作動している。

なぜ、女将さんのときに鳴らなかったのか。悔しみは増し、今度は私が部屋にいて息子を外に出してボタンを押させるとほがらかにチャイムは鳴った。帰ってきた娘にも押させて鳴った。

その日はたっぷりうなされて寝た。またくよくよした。

脂汗をかいて寝て起きた翌日の朝。宅配便が帰った。

在宅勤務をしていて、そういえば新聞がまだ郵便受けだなと取りに行ったところ不在票が入っていたのだ。私はずっと家にいた。

嫌だ! 一瞬ですねたが、一方で解決を! との気持ちがすぐに立ち上がった。ドライバーさんに電話をして、すみません居たのに気づかなかったのです。言うと優しくすぐにまた伺いますから大丈夫ですよと言ってくれる。申し訳ない。

この優しさに甘え「あの、インターホンって鳴らしてくださいましたか?」と聞いてみた。

「はい、3回くらい鳴らしたんですが……」ということだった。

ああ……。インターホンが、壊れているのだ。昨日のくよくよが一層深まりながら、しかし物事は動き解決に向かっていく可能性も感じた。光が見えるような救いがあった。

家族が押していくら鳴るとはいえ、女将さんとドライバーさんが押して鳴らないインターホンは、間違いなく壊れている。

電話を切って、スマホのカメラを動画モードにしてスタートを押しテーブルに置いた。ゆっくり静かに玄関の外に出て、インターホンのボタンを押す。

戻って動画の録画を停止させ、記録を確認した。あれだけ静かに玄関を出てもそれなりに足音と、それからドアの閉まる音が収録されていた。それから

ピンポーン

元気なチャイムの音がした。

私は、インターホンの修理窓口になんて言えば良いんだろう。

メーカーの修理案内をサイトを開き、申し込みフォームに住所や型番を書いていく。故障状況の欄のさまざまな選択肢をながめて、あっ! となった。

>作動するときと、しないときがある

さては……よくあることなのだな……。納得がいった気持ちで修理を申し込みフォームにぽちぽち入力していると、玄関先に気配がしてハッとして帰らないで! と飛び出した。作業服の方が「水道の検針しました……検針票はポストに……」と急に飛び出した私に驚いたように言ったので頭を下げて検針票を郵便受けから取って引っ込んだ。

うちのインターホンはおそらく私達家族の前に住んでいた方々の頃から使っているものだろう。28年経っている。

すぐにメーカーから返事があった。インターホンは10年でのお取替えをおすすめしておりますとの一文があった。

町内会費は翌週払った。

-----

古賀及子(こがちかこ)・まばたきをする体とは
お仕事のご連絡
Twitter @eatmorecakes
Instagram @eatmorecakes
Podcast「生活の素直な感想」 

この日記を本にして売っておりまして、販売所はこちらでーす。

大阪のシカクさん、下北沢の日記屋 月日さん、赤坂の双子のライオン堂さん、天王寺のスタンダードブックストアさんでも取り扱っていただいております~(在庫状況はお店さんへお問い合わせいただけるとうれしいです)。

日記「まばたきをする体」まいにち更新終了のごあんない

2018年10月から日々欠かさず謎の意欲で休まず更新してきた古賀及子の日記「まばたきをする体」ですが、2021年4月9日をもってまいにち更新を終了することにしました。

日記の更新をやめるのにおおげさにエントリ上げる必要あるかな!? と照れるところもありますが、更新のお知らせツイートにかかさずRT、Favをくださる方、はてなスターやnoteのスキを、私の全力更新にふり落されることなく毎日押し続けてくださる方がたくさんいらっしゃりはげまされていたためこのようにご挨拶さしあげることにしました。

みなさまのアイコンは全部けっして忘れません! もちろんたまに読んで応援してくださったみなさまのアイコンも忘れません、アイコンの記憶力には自信があります!

イベントに出ると読んでますとお声がけやお手紙をいただき、時には街で声をかけてはげましてくださる方があらわれ、podcastのおたよりでも暮らしに心を寄せてもらうなど本当に頼もしい日々でした。

終了の理由はとくになく、続けようと思えば死ぬまで続けられるなという手ごたえはありまして、ほんとうになんとなくであります(敬礼のポーズ)。

なお、バックナンバーは公開し続けておりますのでよろしければぜひぜひご覧ください~! 

はてなブログバックナンバー
https://mabatakiwosurukarada.hatenablog.com/archive

noteのバックナンバー
https://note.com/eatmorecakes/m/m9a0a659f0c67

※なんと同じものを二つのサービスに載せてます。内容はまさかの同じです!

今後は未定ですが、ぼちぼちなにかあったら更新していくスタイルに戻るかな~と思います。これまでのような日記を不定期で更新するかもしれないです。

なんらか更新した際はツイッターでお知らせいたします。よろしければフォローをぜひぜひお待ちしています

日記の同人誌もご支援ありがとうございます。ネットで読めるものをわざわざ紙で買ってくださる方の多さにも本当に感激しました。まだ書籍化できていない2020年8月~2021年4月分についてはぜひ続刊したいと思っておりまして、こちらも追ってお知らせいたします。

既刊はこちらで扱っておりますのでまだの方がもしいらしたらぜひぜひ! 自宅から心をこめてうざったくなりすぎないように気を付けて送っておりますので!

というわけで、あらためてわたしの日々を見守ってくださりありがとうございました。

そして人が日記を毎日ネットにのせるのをやめるという謎の知らせを最後までご覧いただきありがとうございます!

f:id:mabatakixxx:20210410105945j:plain

-----

古賀及子(こがちかこ)・まばたきをする体とは
お仕事のご連絡
Twitter @eatmorecakes
Instagram @eatmorecakes
Podcast「生活の素直な感想」 

この日記を本にして売っておりまして、販売所はこちらでーす。

大阪のシカクさん、下北沢の日記屋 月日さん、赤坂の双子のライオン堂さん、天王寺のスタンダードブックストアさんでも取り扱っていただいております~(在庫状況はお店さんへお問い合わせいただけるとうれしいです)。

ぷ。 ←ボウリングで球を転がす人

朝は満を持してのカステラ。

山に暮らす子らの父からの仕送り荷物に入っていた。そもそも切れ端の詰め合わせのうえ、ほかの荷物に押されてつぶれているのがいよいよおいしそう。

子どもたちから食べていいかどうかこの数日ずっと聞かれ続けていたが、こういう重ためのお菓子を2切れ、3切れと多めに朝ご飯として食べるのが私の流儀であり、機が熟すのを待った。

食べてうまいうまい。子どもたちもそれぞれに手ごたえを得ていたようだった。

人々が学校へ散り、私も在宅勤務。

適当に昼をすませて午後は事務所へ行き、久しぶりに午後いっぱい会社で働いた。退勤処理をして会社を出ると、おお! 仕事が終わって帰るな! という久しぶりの感じ。

感染対策で在宅勤務が続き退勤というのは頭でする(よし、仕事は終わりと頭で思うのみ)ものになっていたが、久しぶりに体で退勤した。

帰りにスーパーに寄って足りないものを買いだす。小学生くらいの女の子たちがスナック菓子を選んでおり、グラムあたりの値段をめちゃくちゃ厳しく計算し比較ていて頼もしかった。

雨が降ってきた。急いで帰り洗濯を入れた。

この家には「オタタ」といいう作業がある。学生のころ服屋でバイトしていて、その店が採用していた、お客を待つ基本動作が「オタタミ」だった。服を広げてはたたむ。きれいにたたんであっても、ひろげてたたむ。自然に働いている感じを出し、やってきて品定めをするお客さんにそれとなく近づきトークで購入をおすすめする戦術だ。

家族のそれぞれが自分の洗濯物を自分でたたむことにして、最初のころ服屋の言葉を思い出し「オタタミしてね」と子どもたちに声をかけていたが、それがそのうち「オタタ」になった。

子らにオタタの声がけを今日もした。

服屋で働いていていちばん驚いたのは、正月の福袋の紙袋を、前年は本部の渋い婦人服ブランドのものだったのをちゃんとその店の横文字のロゴ入り袋にしたところ3倍売れたことか。さもありなんとは思うが、中は同じなのだ。

「さもありなん」に「でも中は同じ」の衝撃が勝ったのを覚えている。

3倍売れた年、入ってた服がちいさすぎて着られないとクレームが入り、むかついたらしき店長が実際着て「はいりますけど」と応戦していたのを今もたまに思い出す。そりゃ同じサイズ表記であれ はいる人とはいらん人がいるわな。

結局返品に応じて、ただ福袋は返品不可商品だったのでレジが打てず、店長が自腹で買い取るかたちで返金をして、すぐに店頭に出して売ってお金を回収していた。

音楽に興味のないメンバーが働いていたのでユーロビートみたいな1枚のCDをめちゃくちゃにローテーションしまくっていて、そのなかの1曲に女のあえぎ声みたいなのがちょっと入ってる曲があって接客時にかかると照れた。

急に思い出して調べたが、当時数店あったはずのその名前の店はもうどこにもなくて、本部の渋い婦人服ブランドもなく、ただおおもとの会社は存在して今は別の3つブランドを運営していた。

よく見たらそのうちの一つのブランドの服を持っている。あの服そうだったのか。

晩は適当に食べて、夜息子がボウリングで球を投げる格好を急にして、レシートの裏に「ぷ。」と書いた。

いつだったか、息子がどこかで見たのか「ぷ。」がボウリングの投球の様子のようだと教えてもらって味わったことがあったが(※追記「トリビアの泉」で取り上げられたものと教えてもらいました!)、それを久しぶりにまた二人で見た。

「投げてるな」「投げてるよね」

レシートの写真をスマホで撮ると、息子も撮っていた。

f:id:mabatakixxx:20210409141037j:plain

-----

古賀及子(こがちかこ)・まばたきをする体とは
お仕事のご連絡
Twitter @eatmorecakes
Instagram @eatmorecakes
Podcast「生活の素直な感想」 

この日記を本にして売っておりまして、販売所はこちらでーす。

大阪のシカクさん、下北沢の日記屋 月日さん、赤坂の双子のライオン堂さん、天王寺のスタンダードブックストアさんでも取り扱っていただいております~(在庫状況はお店さんへお問い合わせいただけるとうれしいです)。

慣用句としての「漁業が盛ん」

母がやってきて乾麺をくれてうれしかったが、私の頭を見て毛が薄いねといって帰っていったのでプラマイがゼロだった。

「むかし金髪にしたのがよほどいけなかったんだろうね」と母は笑い、あっ! 嫌味だ! と思った。母は私が20歳のころに頭髪を脱色し金髪にしたのを当時から気に入らずことあるごとに咎めたが、それを薄毛の理由としてとりざたするのは嫌味だ。

最近嫌味について偶然急にあちこちで読んで学んだ。それが身に付き即座に発せられた言葉を嫌味と理解できたことに感動する。かつてだったら「ああ、むかし金髪にしたのがいけなかったのか」とうっかり自省していただろう。

まだまだ修練は必要だろうが、なるほど、これは嫌味だなと分かってとらえるとずいぶん楽なものだ。

ただし髪の毛が薄いのは事実なのでそこで悲しくなった。なぜ悲しい。

見た目のことをあれこれ言うのは良くない。それは他人にはもちろん自分にもだろう。毛の薄さをコンプレックスととらえる私は毛の薄さをよしとしていないわけで、偏見だ。

髪が薄くても私は楽しく生きていると思えればそれでいいんだろうな。

自分がよければまあいいんだけど、続いてこんな私を誰か愛してくれるだろうかと不安になる。薄毛だから愛せないという相手など相手にしなければいいわけだけど、めちゃくちゃ好きになった人が薄毛に否定的な価値観だったらどうしよう。

それはもうやむをえまい、私がその人にとってタイプじゃなかったということだ、ふられるということそのものの意味だとあきらめて帰ってきた娘とカレーを食べた。息子は今日から午後まで学校がある。

午後は仕事を休んでたまった雑務を一斉に片付けた。せっせと作業していると買ってあったスマホ用のガラスフィルムが届きすぐに貼る。

安いやつをなんのこだわりもなく買ったが、本のようなケースに入っていてうやうやしい。本の表紙には「Focus more, Enjoy moer」などと書いてあり、iPhoneでも買ったのかと思うくらいにエモーショナルだ。

f:id:mabatakixxx:20210408123157j:plain

貼る前に表面の汚れを取るためのウェットティッシュとクロスとシールが入っていて、貼り方は動画を見るようにとQRコードがついていた。

そんなに丁寧にやるかな!? あてずっぽうで適当に貼った。

フィルムは2枚セットになっていて、帰ってきた息子にも貼るよう言うと、息子はちゃんと動画を観ていて素直だったが、それでも空気が入っちゃったとあとで嘆いていた。

「おれには才能がない」

気にすんな。

夜は鍋。すっかり春がやってきてもう鍋はできないかと思ったがここ数日また寒さが戻っての実施。

食べながらテレビのニュースで漁業のことが報じられたのを見て、娘がねえねえ、と人々の注目を集めてから(いいですか?)という顔をして、しっかりためて、

「漁業が盛ん」

と言った。

笑う。なんだろう、社会科の教科書で「漁業が」と書かれたら続くのは確かに「盛ん」だ。あるある表現としての慣用句的な「漁業が盛ん」。それが伝わった。

息子は、でも「盛ん」の意味は「盛ん」という言葉でしかあらわせないしやむを得ないじゃないかと「漁業が盛ん」を擁護していた。

食後は子どもたちはテレビを観て笑っていて、私は隣室で本を読んだ。一緒に笑ったほうがいいのかなとちょっと思ったけど、まあそこはいいかと思い直した。

眠くなったので早々に寝る。最近子どもたちよりも早く寝ることがたまにある。こうやって私が育てている感じが徐々に薄まっていくのかな。

-----

古賀及子(こがちかこ)・まばたきをする体とは
お仕事のご連絡
Twitter @eatmorecakes
Instagram @eatmorecakes
Podcast「生活の素直な感想」 

この日記を本にして売っておりまして、販売所はこちらでーす。

大阪のシカクさん、下北沢の日記屋 月日さん、赤坂の双子のライオン堂さん、天王寺のスタンダードブックストアさんでも取り扱っていただいております~(在庫状況はお店さんへお問い合わせいただけるとうれしいです)。

遊んで暮らさず商売を

春休み明け、まずは娘が学校へ行き、そろそろ私も在宅勤務を始めねばと用意しているともう帰ってきた。

今日は校庭で新しいクラスと先生の発表のあと始業式をしたらもう帰宅というスケジュールなんだそうだ。

私はまだこれから始業だし、時差通学の息子も家にいて、娘がひとしごと終えて帰ってきたのにまだ私にも息子にも朝がはじまっていないのが新鮮。

息子が出かけていき私も仕事をはじめて、すると今度は息子がものの数時間でもう帰ってきた。

二人からクラスと先生の一覧表をもらう。娘は小5に、息子は中2になった。

年齢からくる多感そうさがすごい。小5といえばのび太だ。そして中2といえばエヴァンゲリオンに乗るひとの年齢と聞く。世界の主人公たちがこの家にぱんぱんになっている。

実際多感かどうかは、そりゃあ多感なんだろうけども私の知りえるところではなく、これだけいわゆる多感な年齢の人がそばにいてなお自分にとって多感なのはいつも自分だなあと実感する。うれしいことも悲しいこともある。

昼前に山で暮らす子らの父からダンボールいっぱいの仕送りが届いた。野菜、常温のパック総菜、菓子、お茶、乾麺、レトルト食品などなど。ここのところレターパックにあれこれ詰めて送ってくれてとても助かっていたので、思いついて、お金を払うので定期的に段ボールに食料を適当に詰めて送ってくれないかと頼んだのだった。

父は買い物が得意で安くてよいものを上手に探す。いっぽう私は買い物でよくしくじる。

生協やネットスーパーもうまくローテーションさせられず、すぐに食べ物を切らして結局毎日買い物にでかけてはメニューに頭を悩ませ続けている。ダンボールには良さそうなものがたくさん入っていて気持ちが豊かになった。こうしてなんでもあるものを食べるかっこうで炊事ができるのは本当に助かる。

昼はそのダンボールからおのおの食べたいものを抜いて調理して食べた。

午後は娘が塾へ行くので月謝を渡すが当然のように机の上に出しっぱなしにしている。OK、わかってるぞ。私は立ち上がった。そして月謝を、娘に手渡し、カバンに入れるまで見届けた。

これまでだったら「忘れているよ」となんどか声をかけるだけだった。しかし声をかけるだけでは100%忘れることを私は学んだ。カバンに確実に入れる、そこまで見るのが月謝を持たせるコツだ。

娘は月謝袋を持って出かけた。よし! よーし! 手ごたえ。

夜は仕送りの野菜を使いつつ適当にごはんにして、ニュースを見ながら食べた。詐欺の事件が報道されている。個人で5億円規模だそうだ。

こんな大金手にしたところでどうするんだろうとつい言うと、息子が、5億あったら土地を買って店を出すといった。

えっ。

商売をやるのか。驚いた。5億あったら遊んで暮らせるだろうに、商売を。

店よりも不動産を買って大家になるほうがいいかなともいうが、不労所得でも所得を得ようという発想に関心した。私はすぐ、なんとか預貯金で暮らそうと思案する。

夜は娘と二人それぞれにぬいぐるみを持ちボクシングで戦わせた。私たちのすきな遊び。

-----

古賀及子(こがちかこ)・まばたきをする体とは
お仕事のご連絡
Twitter @eatmorecakes
Instagram @eatmorecakes
Podcast「生活の素直な感想」 

この日記を本にして売っておりまして、販売所はこちらでーす。

大阪のシカクさん、下北沢の日記屋 月日さん、赤坂の双子のライオン堂さん、天王寺のスタンダードブックストアさんでも取り扱っていただいております~(在庫状況はお店さんへお問い合わせいただけるとうれしいです)。

衝動的なもので意図がない、芸術性もなくまったくの無意味

安いソーセージを買ったら朝ご飯が絵になった。

見てよ、絵。おお、絵だ。絵だ絵だと盛り上がって息子と食べた。娘は春休みの最終日で寝ている。

f:id:mabatakixxx:20210406125054j:plain

息子が部活へ行き私は在宅勤務。はっとして昼前に娘を起こした。

娘が朝ご飯を終え少し経つ頃昼になり息子が帰ってきたので昼ご飯のスパゲティをゆでた。娘はさすがに満量は無理だそうで、でも少し食べた。この家の朝昼晩のごはんは定期であり、どこかで乗り遅れた者は満腹にかかわらずペースに合わせる形で飛び乗ってもらうしかない。

注文していた日用品や本が大きめのダンボールで届き、中をあらためていると空いたダンボールを担いで息子が躍りだしたので娘と見守る。

家というのは自由な場所で、何をしてもおおむね恥ずかしくないので人が突飛なことをしがちになる。息子のダンボール踊りは衝動的なもので意図がない。動きはありきたりで芸術面でも評価はむつかしい。全くの無意味といっていいいと思う。こういうのは家でしかなかなか見られない表現で本当にありがたい。笑った。

娘がアニメの「のんのんびよりのんすとっぷ」を見はじめたので、日常系アニメ大好きという設定にしてあるぬいぐるみを歩いていかせて娘に抱っこさせた。これも家の自由さ。

娘は観ながら、腹をすかせて冷凍にしてある食パンをレンジでやわらかくしてはちみつをかけて食べながら観ていた。

寒い。昨日まであんなに暖かくて半袖でいたのに。娘は夕方塾があるが一度でかけて寒さに帰ってきた。冬の厚手のパーカーを着てまた出かけていった。

いっぽう息子は室内で半袖でいて、確かに部屋はそんなに寒くない。昨日の暖かさが部屋にはまだ残っているような感じがある。

仕事を終えて買い物に行って、バウムクーヘンとバナナとヨーグルトを買ってきた。子どもたちは常になにか食べるものを探していて、プレッシャーに負けた。

夜はさばのみりん干しを焼いて、食べながらみんなで今日もニュースを見る。昨日水泳の池江璃花子選手のことをやっていて、街頭インタビューで、熱心に応援している人たちが3人もコメントしていて、何人に声をかけたら撮れるんだろうと感心した。

今日も橋田壽賀子さんの訃報を受けて話すまちの人たちが老若男女みな自分事のように語るものだから、社会情勢ではない、ある固有の誰かの話題でこんなに熱いリアクションを引き出すのは相当むつかしいはずなのにすごいことだ話しあった(やらせは無いものとして)。

それからパンとごはんと麺、一生どれか食べられないとしたらどれ? という話でもりあがった。私は絶対にごはんは一生食べたい。

食後、買ったバウムクーヘンは「1日ひとり1個までとする」と定める。すると娘が「おにいちゃん今日から食べる? 明日から?」と、スタート日がずれると不公平が生じるというので、「1日ひとり1個までかつ(全部で9個あるので)ひとり3個」と決めなおした。

早々に眠くなってしまったので子どもたちよりも先に寝ることにする。居間の電気を消し忘れないようにと伝え横になり、心配なので起きだしてもう一度、居間の電気を消し忘れないようにと言った。横になりながら「お願いね」とでかめの声で言った。

-----

古賀及子(こがちかこ)・まばたきをする体とは
お仕事のご連絡
Twitter @eatmorecakes
Instagram @eatmorecakes
Podcast「生活の素直な感想」 

この日記を本にして売っておりまして、販売所はこちらでーす。

大阪のシカクさん、下北沢の日記屋 月日さん、赤坂の双子のライオン堂さん、天王寺のスタンダードブックストアさんでも取り扱っていただいております~(在庫状況はお店さんへお問い合わせいただけるとうれしいです)。

負けても死なないし後がある

娘を寝かせておいて息子とふたりで朝ご飯を食べた。

娘は遅寝が好きで、日曜は朝たっぷり寝るのを楽しみにしている。

ただねぼすけなだけかなと思っていたのだけど、先日、朝寝が好きで楽しみにしているんだというのを聞いて積極的なものと分かると見方が変わった。

掃除と片づけをしていると十分寝たらしい娘は起きてきた。いっぱい寝られてよかったですな。

娘の通う作文教室の先生からメールが来て、子どもたちに伝えたいので中学時代の部活動でなにをして何を学んだかと、アドバイスを教えてほしいと父母向けのアンケートが届く。

私は中学の部活といえば今思い出しても叫びながら転がりたいくらいみじめで嫌な思いをしたのでどう答えたらいいかむつかしい。

暗い話なので子どもたちに聞かせるには向きではないかもしれませんと前置いたうえで、演劇部で人として軽んじられることのつらさを学んだと答えた。アドバイスは、そういった目にあったら自分に自信を持って軽んじる相手に対応することが大事だということ。

送ってから、やはりあまりにもネガティブな内容だったろうかと心配しているとすぐに返信があり、演劇部だとは驚きです、ぜひ今度子どもたちに発声練習を教えてやってくださいとのことで、先生は明るい人なのだった。

娘がぼろぼろのTシャツを着て登場した。出かけるのだからもう少し着古していないものを着てよと頼んだ。私もおろしたての春もののワンピースを着た。

電車に乗って映画館に行く。

子らが春休みだというのにどこへも行かれず、もう来週には学校がはじまる。せめてどこかへと思っていたら娘と私の大好きなアニメ「ガールズアンドパンツァー」の最終章第3話の劇場公開が始まった。

行くしかない。

二人手をとりいそいそ出かけた。楽しみだね、楽しみだねえ。

迷ったが昼も外で食べることにした。感染対策として事前に広くてすいているハンバーガー屋を探しておいて、もくろみどおり席間が広く人もまばらでほっとした。

私がコーラを頼もうとすると「ガルパン観ながらコーラ飲まなくていいの!?」と娘に指摘され、おお、そうだな、そうだよな。

娘は私よりもよく映画館に行っているのでそのあたりのエンジョイ力が高い。昼は二人ともウーロン茶を飲んだ。

映画、観る前から私はうれしかった。ドラマティックなものが苦手なのと、あとそもそも上映時間の長い映画にプレッシャーを感じるほうで、そこへくるとアニメのテーマは事前にわかっているし、上映時間も48分とあってなんの気負いもなく観られる、こんな体験があるのかという。楽しみな気持ちしかない。

そのうえで内容が想像を完全に上回ってきたからびっくりした。アクションの量と圧よ。ドガーンつってギギギギギーてなってバッギャーンってって最後ヅーン! みたいな、状況説明が言葉でなく擬音語でしか出ない。こんな高濃度のエンタメ。そのうえコーラもある。

私は悲壮感がないバトルが好きなんだなと思った。ガルパンもそうだし「ワールド・トリガー」の実戦以外のバトル部分(団体の中で強さを競うバトルみたいなのがある)とか、猛者たちが負けても死なない戦い、負けても後がある戦いをするのをずっとていたい。

ガルパンについては娘と常々、兵器としての戦車とどう折り合いをつけるかねみたいな話をしていたけど、観ると楽しくて、第4話どうなっちゃうんだろうねと興奮そのまま帰宅した。

f:id:mabatakixxx:20210405140502j:plain

たぎる気持ちで夜はたこ焼きに。

たこ焼き機を買って4度目、徐々に祝祭性がなくなり、週末のごはんのひとつになってきた。祭りでなくてもおいしいし楽しいから好きだ。

-----

古賀及子(こがちかこ)・まばたきをする体とは
お仕事のご連絡
Twitter @eatmorecakes
Instagram @eatmorecakes
Podcast「生活の素直な感想」 

この日記を本にして売っておりまして、販売所はこちらでーす。

大阪のシカクさん、下北沢の日記屋 月日さん、赤坂の双子のライオン堂さん、天王寺のスタンダードブックストアさんでも取り扱っていただいております~(在庫状況はお店さんへお問い合わせいただけるとうれしいです)。