まばたきをする体

パンデミックの夏はラジオからセミの声がする

バナナをひと房買うと、その後数日間、家じゅうのゴミ箱というゴミ箱にバナナの皮が捨てられる。

ひとびとが食べて最寄りのゴミ箱に捨てるからだ。

今日ハッと、そうだ、私がバナナを買ってきて、それで子らがバナナを食べるからそこらじゅうに皮が捨てられているんだ! と、考えなくてもわかるはずの点と点が線でつながった。

単純であれば単純であるほど、ものごとは案外点と点のまま線でつながっていなかったりする。

子どもたちの寝室のゴミ箱のバナナの皮を見て、生ごみがあるなと思ったが見なかったことにした。

ラジオからセミの声がする。感染防止のため、出演者がスタジオではない場所にいるうえ換気のため窓をあけているため外のセミの声が入ってくるのだと説明があった。

パンデミックの夏はラジオからセミの声がする。本当に思いもしないことだ。

娘は作文教室へ、息子は学校へ行き、私も今日は会社へ。オフィスビルの地下にある銀行のATMにソーシャルディスタンスの長い列ができていた。

午前中のうちに事務所での作業を終えて午後はまた在宅で作業。帰るころ娘も帰って来たのでそうめんを茹でた。

ぐらぐら沸いたお湯にそうめんを入れて、するとタイマーが見当たらず大慌てする。私は麺類においては完全なマニュアル人間で、袋に書いてあるとおりの時間を茹でないと不安になる。隣の居間にあってつかんでセットした。

1束が多めのタイプのを2束ゆでて、娘とふたり「食べ切れるかね……」と心配したがまったく問題なく食べ切り、娘はうれしそうだ。

夕方仕事を終えて「5号玉」を買う。

息子に頼まれたサッカーボールで、「サッカーボール買って」「分かった、サイズとかあるの?」「5玉? 5号玉?」みたいなやりとりがあり、うちでは息子のサッカーボールを以後「5号玉」と呼ぶようになった。

「5号玉ネットで買ってくれた?」「あ、しまった、まだだ」

とか

「ちょっと5号玉買う時間なくて、自分で買ってきたら?」「いや、急がないから」

とか。

言うたびに(花火みた~い!)と思ってちょっと上がる。

5号玉は無事に買えた。

夜はリモートの撮影があり、その前に子どもたちに鶏肉のカレーを作った。味見をしようとお玉にすくうと鳥皮が入り、今やなぜだか覚えていないのだがその鳥皮をひゅるっと吸うように食べたところ口内をばっちりやけどした。

慌てて冷蔵庫の製氷皿から氷をつかんで口に入れたところ、息子に目撃されて「いま大急ぎで氷を食べたね…」と無類の氷好きみたいに言われる。「火傷をして」と言い訳するように言った。

子どもたちがそれぞれに机に向かって本を読んだり宿題をしているので外の廊下からそっとクーラーをつけてやった。ピッと音がして冷風が吹き出し、息子が「クーラーがついた……!」と驚いていた。

 

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純粋なから揚げの行列

今日からサッカー部の練習がある息子に、スパイクを入れる袋がなにかないか聞かれた。

シューズケースみたいな立派なものはなにもなく、納戸をあさっていると薄いおうどいろの袋が出てきた。これがどうにもこうにも、袋としかいいようのない袋だ。

「袋だね」「袋だ」「なに? これ」「いや、だから袋なんだと思うんだけど……」

あまりに袋すぎて笑ってしまった。西洋の昔話でこびとたちがかつぐやつだ。

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ちょうどよさそうなものが他にないので、息子は買ったばかりのかっこいいスパイクを袋に入れた。

それから、サッカーボールも必要で買わねばとのこと。サイズの規格とかあるの? サッカーボールならなんでもいいんだろうかと聞くと「ええと……5玉? 5号玉?」「なんか花火みたいだな」(調べると、“号”というのがサッカーボールのサイズの単位らしい)。

息子はでかけ、夏休みの娘は今日もひとりで朝寝を堪能している。私は朝起きて夜寝るのが好きで、昼夜が逆転したことがこれまで一度もないが、娘のような人はこうしてどんどん起床時間がずれていくのだろう。

起床時間がずれていって昼夜が逆転する、そういう人は信頼する友人知人にもとても多いし、悪いことではないのだろうな。

とはいえ、私や兄と行動時間がずれずれになると家庭運用がめんどうなのでまだ朝といえる時間には起こした。

私は仕事をし、娘はねそべって漫画や本を読みたまに宿題などをしている。せめてどこかへ連れていかねばと昼休みにコンビニに連れて行った。

おいしいものが売っているし、スーパーなどに比べれば単価も高いし、私はコンビニのことをちょっといい場所だと思っているところがある。

向かう途中、娘が何人か仲の良い友達のことを話しなかに「3人の仲良しグループで」という表現があった。小学生のころ、たくさんいる同級生からどうやって数人に限定して仲の良さを構築したのか私はすっかり忘れてしまっていて、娘に聞いてみた。

「はじめて会う子がたくさんいたら、ひとりひとり、少しずつ話していく」とう。そうするうちに、仲の良い子がだんだんわかっていって、でも特に「今日から友達ね!」みたいな約束はなくて、ただ、だんだんまとまっていく。ああそうだ、なんかそんな感じだったな。とても繊細なまとまりだ。

コンビニで私も娘も同じ、いろいろな具の挟まったサンドイッチを選んだ。普通のサンドイッチなのだけど「関東限定!」と書いてあり、その限定感の意外さに笑う。写真を撮りそびれてあとで後悔した。ポテトサラダとハムとたまごとコロッケサンドが入っていて、娘にどれが一番好き? と聞くとコロッケサンドとのことで、私もだよ~、わいわい。

午後も娘は家で適当に過ごしている。本があれこれあるのでとりあえず読んでしまおうということのようだ。私はリモートの会議に出るなどして、終わるころ息子も帰宅。

なんとなく思い立ち、夜は自転車で隣町のから揚げのテイクアウト専門店に行った。

から揚げの専門店というと近所にはこの店しかなく、夕方はいつも繁盛している。とくべつなにか味わいが素晴らしいとか変わっているとかいうことのない普通の店で、だから行列を見るといつも、きっと人はこの店に並んでいるというよりも、から揚げという食べ物そのものに並んでいるのだよなと思う。

大忙しの様相だが店員さんの愛想がよくて、たくさん買って、帰ってみんなでうまいうまいと食べた。

息子が勉強する寝室と居間にはクーラーがついているが、片方のクーラーのリモコンが故障してうちではリモコンが2部屋共用だ。

息子がミュージカル形式で明るく「母上~クーラーの~リモコンを~貸して、貸していただけませぬか~」と歌いあげたので、私は暗い感じのリズムに転調させて「息子よ、息子よ、ならぬ、ならぬ~」などと歌って遊んだ。リモコンは渡した。

息子の冷やした寝室で娘は毛布にくるまって漫画を読んでいた。「暑くてもクーラーですずしくて毛布にくるまるのが気持ちいい」といっていて、娘の人生は本当に祝福されているなと思った。

 

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ひとりにだけ夏が来てしまい

娘に夏休みが始まった。息子の中学はまだ登校日があって私も仕事で、ひとりにだけ夏が来てしまい、この一人の夏を、どうしていいかわからない。

娘は寝坊をして、さすがにそろそろという時間に起こすとゆっくり起きてきて朝ごはんを食べた。

仕事をしながら、夏の宿題したら? 図書館は? 児童館は? などとうながしてみるがとりあえずはだらだら過ごすようだ。

私も来週夏休みをもらうことにしているのだけど、夏の予定は何もない。これどうしたらいんだろう。今年はゴールデンウィークも外出自粛のどまんなかで、あのときは確かせっせと家中を片付けた。床に穴が開いているのをみつけてパテで埋めたのも5月の連休だ。

昼は餅を焼いて食べた。娘はさすがにだらだらするのに飽きて勉強をはじめるも集中できずに冷蔵庫を見ては閉め、また開けてばかうけを見つけて食べていた。

それから「自転車は買ってもらえないのかなあ」と言って、そろそろ誕生日の娘は祖父母のところへ行って自転車を買ってもらうことになっていた。これも行かれず中止になっていて、そうだなあ。

いま乗っているものはかなり小さいから、もういまお母さんと買っちゃうか、もう少し様子をみていつになるかわからないけど祖父母宅に行けるようになったら買ってもらうかのどちらかか。

どっちがいい? と聞くと、今欲しい……と小さい声で言うので、じゃあそうしよう、おじいちゃんおばあちゃんにはまたの機会になにかねだったら良いよ。

帰ってきた息子に「ヒッポカンプス・ジャパピグ」とあいさつをされ「お、おお、ヒッポカンプス・ジャパピグ」と返した。

「なにそれ?」「米粒大の新種のタツノオトシゴの学名だって」

そういって、トイレにかけてあるカレンダーを見せてくれた。確かにそう書いてある。トイレにはもう何年も公文式の教室でもらってくる豆知識のカレンダーをかけている。息子が5歳の頃にはじめて、それから娘が入って今も続けているので毎年もらえる。

私たちの雑学的な知識はすべて公文式のカレンダーによるものだ。

仕事を終えて夜は冷凍の小籠包をむりやり蒸して食べた。蒸し器がないが底の厚いフライパンがあるのでなんとかした。「むりやり蒸す」の語呂の良さにいい気になる。

それから、パソコンでメールを確認すると読み逃していた重要なメールがいくつか届いていて青くなった。

新着メールはスマホに通知が届くようにしているが、通知が止まっていたらしい。慌てて何通か返事をした。

メールの着信通知が来なかったりで要着手の作業をみすごすと、それに気づくまでの間が空白のぼんやり時間として浮き上がる。

のんきに過ごしていれば過ごしているほど、あの時間はなんだったのか!? みたいに思ったり、なにも知らなかったあのころ! と疎ましく感じたりする。

画像1

↑こんなかんじ……

夜は暑くてごろんごろんしたのでクーラーを入れたら寒くてくしゃみが出た。

 

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黒いLOVEか白いThinkか

目覚める瞬間みたいなものは何度か感じたことがある。

なんとも思っていなかったものの良さに気づくみたいな感じで、簡単に言うといわゆる「これは…恋!?」がその代名詞ではと思うが、私は今日、LINEの着せ替え機能に目覚めた。

なんだかそういうものがあるらしいということはかつてから知っており、友人が使っているのも見たことがあった。しかしスタンプのように人に送るわけでもなく、なにか意味があるのだろうか? よほどなにがしかのキャラクターが好きな人が設定するのだろうかな、などと思っていた。

そうして朝また普通にLINEで友人や家族からのメッセージに返事をするなかで、着せ替えのサンプル画像を偶然見たのだ。あれ……、これはもしかしてすごくかわいいのではないかな。

私はかわいいものが好きで、キャラクターグッズとかぬいぐるみとかにきゃっきゃするところがある。LINEのようにしょっちゅう使うアプリの様相がかわいいというのは、すごく良いことなのではないか?

消えせかえ機能の良さに目覚めるとともに、あ、わたしいま目覚めた! と、目覚めの瞬間を見た手ごたえも感じた。

いそいそ選んで購入してダウンロードして設定したら心が豊かになりました。

午前中はあれこれ同人誌の作業などをしてすごす。昼に子どもたちと3人競うように五島うどんをすすり合って、午後はもうすぐ誕生日が来る娘にプレゼントを買いに出た。

娘はすでに目星をつけていて、以前スーパーの子供服売り場でで見かけた、ウエストポーチを斜めがけして装着するみたいなバッグ、あれが欲しいそうだ。

晴れた日で自転車で行った。欲しいなと思っていたものが売れずに残っていて、娘は

「これがあればリュックを背負うほどじゃない荷物のときにちょうどいいよね!」
「自転車に乗ると両手が開いてなくちゃいけないから、手持ちのバッグじゃだめだし」

と言い訳するように言っていて、買い物をするときに自分自身に買う言い訳をする気持ちめちゃわかるな……と思った。

それからキャップも、これは先日でかけたときに買わないとねと言っていたもので、娘はたくさんある中から「LOVE」と書かれた黒いものと、「Think」と書かれた白いののふたつに絞った。

LOVEとThinkのどちらかを選ぶ、こんな選択の機会はなかなかない。

黒が良く似合って、LOVEに決まった。

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(ぬいぐるみにも似合った)

夕方、息子にサッカーのスパイクが必要だと言われ近隣のスポーツショップ2軒を回る。息子の身長はいまほぼ私と同じくらいだ。街で同じ身長の親子を見かけて「お、同じ背の高さ」とよく思っていた。あれが私に回ってきた。

スパイクはどこも扱いがなく、午前のうちから確実な店に行っておけばよかった。やむを得ずあれこれネットで情報を調べて一旦通販に賭けてみることにした。足に合うといいが不安だな……。

不安の気持ちをごまかすべく夜は焼肉にした。大きめにスライスしてある肉を買ってきて焼いて切らずにそのまま皿に分けていったら、当然食べるときかぶりついて噛みちぎることになった。子どもたちは文句も言わず普通に噛みちぎって食べていて、こんなに野性的に食事をさせて良いものだろうかと一瞬不安になったが、まあいいやと私も食べた。

寝る前に娘がY字バランスをして見せてくれた。「足がまっすぐでしょう~!」というので、よくほめた。

私が小6のときまで生きていたひいおばあちゃんが、会うと500円玉をくれて、それからかならず私の足をなぜて「まっすぐでいい足だ」と言うのを思い出した。

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子どもたちが寝てモロゾフのカフェを検索した

4時に目が覚めて、それでまた寝るのは2度寝に入るんだろうかな。だいたい早朝に目を覚ましてはまたぐっすり寝て早くも遅くもない普通の朝に起きる。

今朝は娘が近所の作文教室主催の「馬と上手にコミュニケーションを取る方法」講座に行くことになっている。起こして立たせて歩かせた。

よぼよぼ支度をして娘はでかけていった。息子も学校へ。あれこれ働くうちに馬の知識を蓄えた娘が帰ってきた。

昼の豚汁を食べながら「馬はお腹になにがしかを擦りつけられることを嫌うから気を付けたほうがいい」と教えてくれた。

午後、娘は図書館に出かけていき、私はリモートで息子の中学校の保護者会に出た。通常学校に集まって行うところ、感染対策のためオンラインで行われた。

校長先生のお話と一緒に、学校の窓の外から聞こえるセミの声が聞こえる。

生活指導の先生から、たとえバレンタインデーでも子どもにお菓子を持たせないでくださいとお話があり、中学生が学校にお菓子を持ち込まないことを保護者の力でなんとかできるかどうかは心もとないが、お菓子を学校で食べてぼろぼろこぼれたところに蟻が来てはいけないし、できるかぎり注意しようと思った。

終わる頃娘が帰ってきて、夏休みに読む本をあれこれ借りてきたようだ。あれやこれやと並べてみせてくれて「かわいいでしょう、私、本は表紙で選ぶから」と言ってフフフと自信ありげだ。

もうすぐに夕方になってしまう。娘をバレエの稽古に送った。少し早くついて、稽古場の前のベンチに腰かけていると、大きな水道管工事のトラックが道を曲がってこちらに入ってきた。

警備員さんがついていて「こちらまがります!」と道の人々に声をかけ、みんなはじっこに寄るなどして、私と娘もそうした。

道に対して大型のトラックで、ゆっくり曲がって入ってくる。角のポールにぶつかりそうで私は「えっ!? 大丈夫!? 大丈夫!?」とつい声が出た。

ギリギリ3センチくらいのところでトラックは曲がっていき「すごい! すごーい!」とまた声を上げる頃、娘がこちらを見て(お母さん、静かに、うるさいよ)とたしなめる顔をしているのに気づき二人で笑った。

私はもう人生を長く生き、街をゆく見知らぬ人は誰も私を気にしないことを知っているのでつい街中で歓声を上げ、同行の子らを恥ずかしがらせてしまう。

徐々に面白くなってしばらく二人で笑った。

娘がバレエ教室に入っていって、私はあちこちまわって用事をすませた。スーパーに向かう途中、前を歩く二人のうちの一人の若い女性が雑居ビルの入り口を見て「お、出前を取った家だ」と言って、見ると中華柄のラーメンとチャーハン用らしき皿がお盆の上に乗っている。

出前の食器が家の前に出てるの、良いよね。偶然耳に入った知らない人の話の気持ちが分かるととてもうれしい。

夜はエトガル・ケレットの「銀河の果ての落とし穴」を読んだ。好きな振付家インバル・ピントと共作の映像作品『OUTSIDE』を観てすばらしく、これは本も読まないとと思った。

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5秒くらいのできごとに全力を振るみたいな感じ、もっとスンとして愛想ない作風を予想してたら以外にちょっとケレン味があるというか、いい奴な感じの作品で、こういうのはありがたく読んでいこう。

最近夜になると、20年くらい前に死んだ父方の祖父と、高校生のころ一緒に「アルマゲドン」を渋谷の映画館に観に行ったのをなぜか最近ちょいちょい思い出す。

祖父は何かの後には締めとして喫茶店に行く人で、映画の後もモロゾフのカフェに行った。私はシャーベットを食べた。パフェグラスにシャーベットの玉が5つくらい盛られたやつでこれが最高だった。シャーベットの良さが映画に行ったのを今も覚えているフックになっている。祖父は「隊長がかっこよかったね」と言っていた。

子どもたちが寝て、モロゾフのカフェを検索したけど、同じメニューはもうないみたいだ。

 

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では何をせよというのか

ぺーろぺーろぺーろぺーろぺーろぺーろぺ~~~ぃや。というのがうちの炊飯器(日立)の炊きあがりを知らせるアラームで、のんきで間がぬけているので私たち家族は大好きだ。

聞こえるととっさに私は一緒に歌う。

普段の朝食は起きると無の境地で自動的に食パンを焼いてゆで卵を茹で食べていたが、昨晩息子から力強く「明日はご飯を食べよう」と提案があった。炊飯予約をしたので朝炊けた音がした。

息子は卵かけごはんに、私は明太子ご飯にして、まだ寝る娘に「今日はごはんなんだけど、おにぎりしようか?」と聞くとまどろむなかに薄目を開けて「お~にぎり~、お~にぎり~」というので私はおもしろくて真似して繰り返した。「お~にぎり~、お~にぎり~」

おにぎりを握った。ぎりぎりまで寝るだろう娘のために海苔は巻かずにおいた。

ご飯うまいな~、白いご飯はうまいよな~、感心しながら息子と食べ上げ、洗濯を干すうちに娘が起きてきておにぎりに海苔を巻いて食べて、すぐ学校に飛び出していった。

中学校が感染対策で始業時間を遅くしている関係で、日々息子のほうが娘よりもゆっくりでかける。息子は早起きなので結果、朝がひまそうだ。マンガを読んだり勉強をしたりするのを日々見かけていたが今日ついに「すごく暇なんだけど」と言っていた。

息子は十代で、こういう暇なときに何をするかが将来的に結構大きなインパクトになるんじゃないかと思って私はちょっと緊張した。「なんか……なんかしなよ!」と伝えたが、ではなにをせよというのは思い浮かばない。

息子も出かけていき、私も仕事。

昼休みにコンビニで荷物を出した。昼休み直後からリモートの打ち合わせがあり、うっかり時間的にぎりぎりで慌てる。慌てながら、そうだ今日おやつが何もない! と思い、うわ、でも急がなくちゃ! あわわあわわ、慌ててなんでもいいから買おう! とつかんだのが三色団子で、これは結構心の叫び、本心から私は何を常々食べたいと思っているかが見えた気がする。

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コンビニには荷物を出しに来たので手には荷物だけを持って来ていて、ここで、有料化してからはじめて、レジ袋を購入した。

なんとなく手ぶらで来たコンビニで買い物をするときに袋を買う、なるほどこれがレジ袋の有料化で起こる生活の変化かと実感した。

帰ってきた息子が早速団子を食べながら、リモートで打ち合わせをする私のカメラの向こうで(団子が、よく伸びる!)とアピールしてきた。仕事を終えて私も食べた。ほんとだ、よく伸びるな。

それから実家の母からLINEで「夏の山小屋は今年は中止します」と連絡が来た。

8月の上旬は毎年、実家の家族で集まって2泊~3泊くらいで高原の山小屋にこもって遊ぶ。例年それぞれに電車やレンタカー、自家用車など好きな交通手段で集まるが、今年は東京からレンタカーを借りて、食糧などの買い出しも全部東京で済ませて山小屋に直行するのがいいんじゃないか? などと話していたのだが、実家の人々が話し合い、年齢的に両親もそこそこ老人の域なので無理はすべきでないということになったらしい。

娘は毎年山小屋で誕生日を祝ってもらうのを誇りに思っているようで、ちょうど前夜、もしかしたら今年は行けないのかなとニュースを観て心配していた。バーンと機嫌よく帰ってきた娘に、やはり伝えそこねた。

娘は今日で1学期が終わり、学校では日々のがんばりをクラス間でたたえるべく折り紙で金メダルを作って贈り合ったそうだ。

もらったメダルをぬいぐるみにかけたあと、ほかのぬいぐるみにもメダルを作ってかけてあげていた。

夜は娘はアニメの「ハクメイとミコチ」を観て、息子は「ゼルダの伝説」をやって、私はロベルト・ボラーニョの「通話」を読みながらちらちら二人の画面をつまみ観た。

娘があるキャラクターについて「……恥ずかしがり屋だ」と言っていて、なるほどキャラクター設定というのは明文化されるものじゃなく、作品を見るうちに見る側で気づいていくものだよな、みたいなことを思った。

 

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朝ごはんがいま動き出す

朝はラジオのニュースに相槌を打っている。「そうなの?」「えー」「そんなあ」など。息子が一緒に朝ごはんを食べるので聞いているが何も言わない。

子どもたちは学校に行き私は在宅で仕事。昼過ぎには娘が帰ってきた。私は夕方まで仕事があるのでそのまま続けて、娘は居間でマンガを読んでいたと思ったが、仕事に集中するうちにどこかへ行っていて、探すと寝室に移動して読んでいた。

娘がこうだし、息子もよく、あっちこっち移動して本を読む。居間とか台所とか寝室とかぐるぐる回る。

夕方、見知らぬ番号から電話がかかってきて、取ると宅配便の者ですが、という。

「昼に宅配ロッカーからお荷物を出されたと思うんですが、そのうちの2つの伝票番号が同じなんです……あ…いや……! 違ってました! 大丈夫でした! めちゃめちゃ番号が似てて! パニックになっちゃってました! 電話をかけたら急に落ち着いて番号が良く見えました」

おおお、よ、よかった。「電話をかけたら急に落ち着いて」というの、なんだかすごく気持ちが分かる。

同人誌を手発送している関係で、春からずいぶん宅配ロッカーのお世話になった。配達員さんと全く接触のない発送方法だったけど、はじめて「いつも頼りにしています」と伝えられた。ラッキーだ。

娘が塾に行って、すると息子が帰ってきた。

委員総会という、各クラスの学級委員とか各委員会の委員長とか部活の部長が集まる会に出た……! とのこと。息子は何を思ったか今年急に学級委員に立候補した。今までずっとそういうのを避けてきたので意外だった。

息子は中学に入って学校のことをよくしゃべるようになった。小学校の頃は何も話さず、だから私は息子の小学校生活のことをまるで知らない。

おそらく、小学校は入学時にかなり幼く、小学校生活を「そういう当たり前のもの」として受け取りながら次第に成長したのではないか。

中学校に上がって急にあれこれが変わった。小学校の入学時よりも差異を感じ口頭で表現できるようになったのでは……と思うがどうだろう。

「来月は生徒総会ってやつがあるんだよ」と言っていて、単純に中学校の行事が大人風なので興奮しているのかもしれない。

ジャガイモをいただいたのと豚肉が安かったので間違いなく肉じゃがの日だ。作って食べながら、娘がセミの声をきいて「セミってなんでセミって言う名前なんだろう」といった。

それを言い出すとすべてが「なんでだろう」になるぞと息子がいなした。あとでネットで調べようと言ったが忘れて調べなかった。

食後、娘は息子に、今度は「自然で何が好き?」と質問していた。「自然でって、どういうこと?」「木とか虫とか川とか空とか星とか」「どういう質問なんだよ……じゃあ、空」「私は星!」

最近入浴時に小さなメラミンスポンジを持って入ってあちこち掃除するのが私のなかで大ヒットしている。あちこちきれいになるのでとても楽しい。

夜は短編集なのに甘んじて読みかけにしていたロベルト・ボラーニョの「通話」の続きを満を持して読んだ。

誰かの謎の人生が謎に始まり謎のまま終わるなか、たまに現実にもそういえばあるなぁみたいなことが書いてある。

元カノの大変な事実を公衆電話で知らされた直後、浮浪者が1メートルくらいの近さに立っていて自分を見ているのに気づく。おわっ!ってなってるつかの間、彼女のこと完全に忘れてた、とか。

寝る前に息子に明日の朝ごはんは何かと聞かれた。いつも通りパンだよというと、「明日はご飯にしよう」という。

「……ご飯に!?」「そう。おれは久しぶりの卵かけごはんにする」「じゃあ、私は明太子ご飯…!」息子が炊飯予約した。

日々の思考停止の朝ごはんを息子が動かした。

 

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