まばたきをする体

今日もかわいいですね

洗濯機を回して、朝食の準備をして、ゴミをまとめて、息子と朝食を食べて、着替えてお化粧をして、ゴミを息子に出させ、洗濯を干して、朝は祭りのようにわっしょいわっしょい活動している。

洗濯機から物干しまで洗濯物を運んでいると遅く起きてきた娘に肩を叩かれ、しかし「ちょっといまお祭りで忙しいんだ!」と言って、それから洗濯物を干しにかかりながら「何?」と聞いた。

一旦「忙しいから!」などと言ってしまって、しまったと思いながら「(こほん)で、何?」みたいに話題を取り戻すことが多い。

娘は台所のテーぶりにつきながら(あ、質問しても大丈夫ですか?)という風な様子をして「おかあさんの好きな食べ物、1位から3位ってなに?」と聞いてきた。

いまその話題なのすごいな。「きみはなに?」「私は、1位 たらこスパゲティ、2位 チンジャオロース、3位 ピザ」

そうか……お母さんは1位 餃子、2位 エビチリ、3位 担々麺 かなあ。「中華だね」「お母さんは中華料理が好きなんだよな」

へ~、みたいな感じで娘は朝食をすすめ、私は「今日もかわいいですね~」と言った。

子どもたちはまだ若く生命が輝いており日々はつらつとしている。かわいいなと思って、息子は口に出すと照れるが、娘は「(フン)そぉ? まぁね」みたいな感じなので日々臆せず言っていく。

古いマンガ表現で軽い男性の文句として「今日もかわいいね」というのがあるが、あれもきっとただ純粋に心の声が漏れているのだろうなと思う。気持ちがすごく分かる。

わっしょい祭りの朝を終えて子どもたちは学校へ、私も自宅で作業の日。

もりもり仕事を終えて、そうか、今日は七夕か。

夕飯はそうめんにしようかなあと思うが、帰ってきた娘に言うと給食がそうめんだったということで却下して普通にご飯を(息子が)炊いて、鶏肉を焼いた。

昨日足が熱くて寝つきが悪く、ネットで検索して対処のマッサージやストレッチなどをかたっぱしからやる。横になって足を動かしていると娘に「スラムダンクのオープニングの歌、歌って」と言われてちょっと照れて「え~?」などとはぐらかしたが娘はどうしても「歌ってよぉ」とせがむので大黒摩季の「あなただけ見つめてる」を歌った。

歌うならば本気でと思い熱唱した。人は寝たままでもそこそこ本気で歌えるものなのだと知った。

それから今日も息子の「ゼルダの伝説」を応援する。「おもに崖をのぼるゲームだということがわかってきた」と息子。「雨が降るとつるつるして崖がのぼりにくい、晴れの日はのぼりやすい。高いところから落ちると死ぬ」

そうしてずっと崖をのぼっていた。1時間ほど見守ったが崖ばかりのぼりどうも進捗はなさそうな感じだった。

チェーホフの「かもめ」を久しぶりに読んでいる。高校生のころ確かに読んだはずだが何ひとつおぼえておらず、私がかつて読んだ「かもめ」は本当に「かもめ」だったのか。

あれこれやったおかげか足の熱さも取れてずいぶんよく寝られた。

 

 この日記を本にして売っております(刷り増して販売期間を延長しました……!)。完売していたエッセイ本も増刷して在庫反映しました! なにとぞよろしくおねがいいたします。

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セーラー服の襟の裏でバレる

在宅勤務の作業場にしている台所のテーブルの脇を通るとひらひら紙が落ちて拾った。「シャツの襟や袖口の汚れは食器洗い洗剤を使って歯ブラシでこする」と書いてあり、そうだ、朝リモートで上司と面談したときに教えてもらって書いたんだった。冷蔵庫に貼った。

子どもたちは今日も学校に行ってひとりで家で仕事の日。

昼に、これくらは食べるだろうと3個入りのテーブルパンとチーズケーキを買ったら思った以上の量で、全部食べたら罪悪感というよりも満腹感で気力が低下してしまった。

元気をだすぞ! と思い水筒に入れた水出しの緑茶をガッとあおったところ、口からあふれてこぼした。こうして私はよく飲み物を口から漏らし、せっかちというのもあると思うが、口のゆるさについてほかのどの体のパーツよりもいちはやく先駆けて老いが進行している気がする。

子どもらが帰宅し仕事を終えて夕飯の支度をするころ、息子がやってきて「いま聞いている曲のアルバムジャケットの撮影場所が新宿だよと見せてくれた。

ん? どこだろう。「交差点の表示に『新宿区役所通り』って書いてあると思うんだけど」本当だ。そうかここ風林会館の前か。「行ってみたいな」と息子がいうので、子どもにはあまり用がなさそうかもなあと答えた。

それで思い出したが、死んだ父方の祖母が14歳とか15歳くらいの女学生だったころ歌舞伎町にあった学校に通っていたと聞いたことがある。

帰りに寄り道をしているのが巡回の先生に見つかると、セーラー服の背中のひらひらをめくられて、そこに名前が書いてあるから誰だかばれるのだと言っていた。

あとで調べたら東京府立第五高等女学校というのがそうっぽい。まだ歌舞伎町という町名ではなかった頃のことでいまの東宝のあたりにあったようだ。忘れていたことを偶然思い出せてこれはラッキーだ。

晩ご飯は急に手巻寿司にした。お刺身が安かったし酢飯が食べたかった。見た娘が「明日は七夕だけど大丈夫?」と聞いてきた。「七夕のごちそうもお寿司なのに今日もお寿司で大丈夫……?」え、七夕のごちそうとしてお寿司を用意するつもりはなかったな……。よくよく話合ったところ、娘はひなまつりにちらし寿司を食べるのと混同していたようだった。

七夕はそうめんを食べるイメージがあるが、明日はそうめんでいいものだろうか。

それから、ああ、だれか200円くれないかなあ。

もうしばらく、ずっと200円だれかくんないかなーとそればかり考えている。

娘の塾のお月謝の支払いは引き落としを依頼しているが今月分まで現金の手渡しということになっているが、端数の200円が用意できていない。

現金をほとんど使わないので小銭を得る機会にまるでとぼしく、大人の私が工面しないことには200円が自宅に現れることはない。腹をくくって現金で買い物をしてお釣りでなんとか作らねば。

しかしたった200円くらいなんだ。誰かぱっとくれやしないかなあとぶつぶついいながら台所の吊戸棚を開けたらポテトチップが入っていた。ぅお!?

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そうか、このあいだ山から子らの父が降りてきたときに買ったのか。子らの父は自分の菓子をいつも吊戸棚に隠す。そうして隠したまま山へ帰ってしまうことがある。

やったー! ポテチがあるぞーい! 子どもたちに報告した。いまはおないっぱいだから、明日食べよう~~。一気に会場は盛り上がった。

夜は息子の「ゼルダの伝説」を応援した。いかだの帆を葉っぱであおいでこいでいた。

足が熱くて寝られない日がたまにあり今日がそうだ。アイスノンで冷やせばすぐに解消するが、アイスノンを取りに行くのが面倒でがんばって寝付こうとするもだめで結局取りに行く。

冷やしておお、冷えた冷えたと思う頃、頭の周りを蚊が飛び回ってうるさくて、アースノーマット的なものを持ってくるのはもういよいよめんどくさくて刺されても我慢することにした。

夜なのになんでこんなに忙しいんだ!? と思った。

 

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私の体にはいまナイキっぽい部分があります

22時とか23時くらいに寝る。すると夜中に目が覚める。だいたい2時から5時くらいが多い。

目が覚めてスマホを見ると4時半だった。暑くて窓を開けていて、さわさわ外から話し声がするのが聞こえた。

うちの近くには早朝に道で体操をするひとたちがいて、よく小さな声でおしゃべりをしている。つい耳をすますが話の内容は聞こえなかった。

聞き耳をたてながらまた寝た。

起きて選挙に行った。娘がついてきたが歩くのがいつもよりゆっくりで、ぼんやりしていると歩くのが早い私は5メートルくらい先行してしまう。少し待って歩いて、また少し待ってを繰り返した。

きのうの夕方、期日前投票所である公民館の前をとおりがかると人があふれて外まで並んでいた。いつもより間隔を開けて並ぶから行列が長くなっているのだろうとは思うが、それでも期日前投票がこんなに盛り上がっているのははじめて見て、ということは当日はさぞと思ったが早い時間だったからかそれほどでもない。

娘は外で待っているというので「風船いる?」と聞いたが「いい」と言う。私はちょっと欲しかったけどまあいいかと思った。

投票はいつも、名前を書く横に「がんばってください☺」みたいに書き添えたくなる気持ちを押さえている。知り合いでない人の、しかも名前だけを書くことはあまりないから、なんとなくワンクッションいれておきたいみたいな気持ちで。

「がんばってください☺」など書きそえられて無効になる票が、何票くらいかはあったりするんだろうか。

投票所の出口にいつもは膨らませたいろんな色の風船がたくさん置いてある。投票をよびかける文言や投票日がプリントしてあって、同行の小さな子どもが何色にするか選んで持って帰る。

今日はふくらまさずにならべて置いてあった。普段から口で息を吹き込んでふくらませているわけではないと思うのだが(そんなことしてたら大変な労力だ)、それでもこうして風船を膨らませずに配っているというのもできるだけ人の手に触れないまま配るための対策なんだろうかな。

午後に仕事の撮影があるので準備をして、娘を見てもらうべく妹と姪っ子のいる実家に送った。

妹が洗濯を干していて、高須クリニックのCMの英語の曲を口ずさんでいるので「え、高須クリニックの歌じゃん」というとハッとして「本当だ! なんで……」と自分でもびっくりしていた。

そばにいた父も「俺もなんで高須クリニックの歌うたえるんだと思ったけど思っただけで言えなかった」と言っていた。妹、英語ができるわけでもないのに歌詞までけっこう歌えていた。

娘をあずけて撮影に出向き、うまく行ったしとても楽しかったし感激してまた実家へ戻る。

父が添付ファイルがうまくメールで送れないというので代行した。父のWindowsは10のはずだがインターフェイスがなぜか8みたいなことになっており、聞くと謎のタイミングでそうなってしまったのだという。

検索したところ「タブレットモード」というのに切り替わっていたようで、解除したら普通のWindows10になった。

父は、使いづらくて困っているがだんだん慣れてきて、でももとに戻ってたすかったと言った。困りながらもどうしようもないまま慣れちゃう感じ、よくあるな……と思った。

帰って昼寝をするもぬいぐるみを乗せられて息苦しさに起きたあと娘と図書館へ。

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きのう本屋で閻連科(中国の作家)の「丁庄の夢 中国エイズ村奇談」が新装版になっているのを目撃し(新装版のタイトルは「丁庄の夢」だった)しかし買わなかったのだ。なんとなく悔やんで中国文学の棚でまだ読んでいなかった「年月日」を借りた。

帰っていきなり読んで、そのまま夕食の海南チキンライスを挟んで一気に読み終えた。日照りで誰もいなくなった村に残ったおじいさんと犬の話だが、とにかくギリギリのもう後がないどうしようもない状態を書くのに作家の腕がバチバチになりまくっていて笑った。ラストがまた良かった。

息子も手にとるが、なんでだろう、すぐにリタイヤしてしまいどうなったか教えてくれとねだられたので惜しげもなく最後までネタばれした。

娘がピッとまっすぐに立ち、両腕を肩の高さに上げてゆっくり回転しはじめた。「私の体にはいまナイキっぽい部分があります。どこでしょう」

どこだろう。探すが見つからず、すねから足の甲のライン? などとあてずっぽうに答えてみるが当たらず、降参すると、右足の親指の爪の形だと教えてくれて、なるほどちょっとカーブがナイキっぽい。

 

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金を出し自信を買う

体育の授業で柔軟体操をやったがぜんぜん体がかたくて驚いたと息子が言って、そういえばわたしも開脚とか前屈とかしばらくやっていないなと思ってやってみるが体が痛くて動かない。おお……。こんななのか今の私は……。

息子が「衰えの気づき」と言った。人が普通に生きているところにキャプションをつけないでもらいたいものだな。

土曜だが子どもたちは午前中学校がありそれぞれにでかけていく。誰もおらず仕事もない、ぬいぐるみを抱いて横になったら寝ていた。

ふぁと起きだして洗濯や掃除をして、昼はホットケーキを焼きたいが卵がないのでついでにあれこれと買いに出た。

スーパーのレジは少し並んでいて、列につくとすでに会計が終わったらしいおばあさんがレジの店員さんに「ねえ、すみません」と声をかけている。「はい、どうされましたか」「忘れ物があるよ」

買い物をエコバッグにつめかえる台を指さすが、そこには何もない。店員さんは慣れたように優しく「大丈夫ですよ、なにもありませんよ」と答えている。「そうかな、忘れ物がありますよ」「ないから、大丈夫ですよ」

列のみんなで少し見守る感じがあった。おばあさんは帰って行った。

子どもたちが買えり、ホットケーキだ。

昨日新しいフライパンが届いた私の家はいまやホットケーキに対し大変な自信がある。きれいにきれいにきれいに焼けた。道具の重要さは分かっているつもりだったが惰性で忘れがちなもので、こうして新しいのを買うと簡単に自信がついて本当に笑っちゃうな。はっはっは。

お金を出してでも欲しいものそれが自信、などとはいうが金を出したら本当に買えるパターンもあるのだな、自信。

今日はバターも早いうちに冷蔵庫から出して柔らかくしておいた。トッピング用のバニラアイスも買ってある。

娘が「バターを塗っちゃったからアイスを乗せるところがなくなっちゃったな」というので「どっちも乗せたら?」というと「そんなことしていいの!」と驚いていた。

私が贅沢に対してきびしい目を持っているので娘も許可なしに贅沢ができない体になってしまっているのかもしれない……。

午後は娘のバレエの稽古を送り、ついでに本屋とカルディとあと同人誌の発送で宅配ボックスを回った。本屋には欲しい本がなく、ロシアの最近の作家の短編集というのに興味を持ったがちょっとまてだったら戯曲を、チェーホフとかゴーゴリみたいなやつを再読せねばと思って買えなかった。

ネットとリアルで、買い物の仕方がぜんぜん違って、これは本当に、本当にどういうことなんだろう。

カルディは入店制限がされていて、店の前にしばらく並んでから入った。中はかつてなく空いていており大変に快適だ。カルディはいつも混んでいるから、こんなカルディが体験できるなんてうれしい。

並んだからにはなにか買わないとと思っていたけど、それに加えて空いていたからあれこれ見やすくて初めてのタレとか素とかを買った。

バレエを終えた娘に傘とイボコロリをねだられ傘屋と薬局に寄る。買ってやった。

夜、娘はトゥシューズを1分以内に両足履く練習をしている。先日、山から降りてきて数日東京で過ごした父親に買ってもらっていた。サテンの布がきつく張ってあって、片足にもう片足がきれいにコンパクトにおさまる。これがすごい、本当に宝物みたいなのだ。クラシックバレエを長く人がもてはやす理由が本当によくわかる。

そんな宝物のような神々しさのトゥシューズの内底に娘はマジックで「右」「左」と書いた。見間違わずに素早く履くためだそうだ。娘は稽古事としてバレエに取り組んでいる当事者なのだなと思った。部外者の私にとっては神々しい宝物に見えるが、娘にとっては道具なのだ。

それから晩は餃子を焼いた。なぜならうちのフライパンはつるつるだから。当然うまく焼けた。

テレビに石原さとみさんが映り「なんと美しい」とつい声が出て、餃子を食べる子どもたちがその声につらられてテレビの画面を見たところで画面は山中伸弥教授が映った。中年の男性ををかわいいという文化あるよな……と思って照れて釈明した。

 

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なみへい、ふな

給付金に関連するだましが起きています、という文言をどこかで聞くか読むかして「だましが起きている」というフックのある表現、どこかで聞いたことがあるような気がすると思って印象に残っていた。

娘が宿題で分からないところがあると聞くときに「困りがある」ということがあり、ああ、それだ! とけさ卵を茹でながら気づいてすっきりした。

その娘が「なみへい、ふな」と言いながら起きて台所にやってきた。「『ふね』だよ、おはよう」と迎え入れる。「ふねか」「ふねだよ」

しかし、ふなは鮒だとおもえばサザエさん一家にいてもおかしくないか、淡水魚だからだめかな。そうだ、舟は「ふなつきば」のように「ふな」と発音することもある。黙ってぼんやり ふね について考えて黙ってしまったので食卓が静かだった。

子どもらは学校にでかけ、私もコワーキングスペースや撮影に行くなどする。

帰ると門前に置き配で荷物があり、あたらしいフライパンだ。ケーキを焼く仕事があり、いま使っているものがぼろぼろでこびりつきもひどいので新しく評判の良いものを少しふんぱつして買った。

開けてみれば表面がつるんつるんで、これでしばらくはホットケーキも餃子もハンバーグもきれいに焼けるぞと、料理を上手に焼くことに限定した未来の明るさを感じる。買い物とは未来の明るさを得ることだな。

夜は賞味期限が切れそうになっていたもらいもののスパゲティナポリタンのソフト麺を実施した。新しいフライパンの働きもありうまくいった。

肉こそベーコンやソーセージではなく豚バラを使ったがせめて野菜は儀礼的にしようとピーマン、玉ねぎ、マッシュルームをそろえたし、仕上がりに目玉焼きも乗せた。

粉チーズも買って、ナポリタンのような正解のイメージがちゃんとあるご飯はイメージどおりに作ることが大事だと、むかしバイト先の先輩に教えてもらった。

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それからテレビでやっていた映画「レディ・プレイヤー1」を観た。開始前のコマーシャルで「勝者が56兆もらえるゲームの世界」みたいな触れ込みがあり、それで頭がいっぱいになってしまう。息子に「56兆いらなくない?」というと「1兆でいいよね」と返ってきた。そうそう。というか、1兆もいらないよね?

「そうだね…1億で十分だよね」
「そうだよ、1億でいい。56兆あるってことは56万人に1億配れるってことでしょう?」
「おれは5000万でもぜんぜんいい」
「お母さんは1000万でもいい」
「なんなら100万でもいい」
「そういうことなら10万円でいい」
「1万でもいい」
「というか、くれるというなら本気で500円ください」

この手の、巨額を畏れて金額を刻んで最終的に500円になる遊びはいつもやる。

レディ・プレイヤー1」おもしろかった。作品の性格が良いと思った。気難しい人が嫌がらせをしない感じ。

娘が戦闘シーンを見て「でも撮影中はみんな仲良くやってるんでしょう?」と聞かれ「そうだね、みんな大人だから仲良しだろうね」と答えた。

途中でポップコーンを作ったのでみんなご機嫌だった。

来週放送される「オーシャンズ8」のコマーシャルがしきりにながれ、娘は8人い並ぶ出演者たちがどれだけ大物なのかをずっと気にしていた。

終えて寝ようかねというところで、ドキュメンタリーの予告編かなにかで海外の若者がリモートでインタビューに答えているらしき様子が流れた。顔から肩までが映っていたが服を着ていないように見えたので「なんで半裸なんだろう」と言ったら息子が「全裸かもしれない」と言い、確かにそうで、これは重要な視点だ。

 

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子どもが子どもの世界の情報を交換している

明太子をもらったので朝はパンではなくご飯をと思っていて、そのことを忘れていたわけでもないのに体が勝手に今日もパンを焼いてしまった。

どうしても頭を使いたくない、いつもの通りにやりたいと手足が動いたようだ。ルーチンワーク強い。

パンに明太子を塗る方向性もあろうが、こうなってしまうと本当にぜんぶいつもの通りにしたくなってハムとチーズと茹で卵と完璧に日々と同じようにセットした。

早起きの息子とふたり食べながら途中で娘を起こすも起きてこず、二人食べ終わってからまた起こしてやっと起きてきて時差朝食もまたいつもの通りだった。

食べながら妹が兄に「嫌いな音ってどんな音?」と聞いている。「発泡スチロールをひっかいたときみたいな音のこと?」「そうそう」「それなら黒板のキー!とかかな」

そういうキー! のやつのなかで一番嫌なのを見つけたんだと娘は言う。道に消火器が入ってる赤い箱が立ってるじゃん? あれに手をついてそのままキュッと手をすべらせたときすごく嫌な音がする。

兄は「そうなんだ~」と言っていた。

子どもが子どもの世界の情報を交換している。

私は大人なので横から「消火器の箱を不必要にさわっちゃだめでしょうがよ」ととがめると「だって友達がさわっちゃったんだもん!」と言っていた。

わいわい子らはそれぞれ学校に行って私は仕事。打ち合わせがあって出かけたら靴が壊れていた。歩いているうちに気づいた。

同じ靴を2足もっていて、一方は壊れていて、もう一方は壊れていない。一足壊れたので新たに全く同じものを買ったが古い方を捨てなかったのだ。

なるほど……もったいながって処分の作業をおこたるとこういうことがあるのだなと壊れた靴で歩きながら思った。

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新宿に行く用事があり地下街のサブナードを抜けた。新宿駅から入って西武新宿まで行けることを久しぶりに思い出した。20年以上前ここにロビンというスパゲティの店があってに当時好きだった人に連れてきてもらったのを思い出した。

大盛りを難なく食べたところ驚かれ、後日ほかの友人に「古賀さんロビンの大盛り楽勝だったよ」と嬉しそうに伝えていて、それでこいつは見込みがあると思ってもらえたのかそれからしばらく付き合った。

そうだ、そのあとに好きになった人も麺類の好きな人で、当時東池袋にあった大勝軒に連れて行ってもらい、表に並んでいるお客に注文をとる店員さんに「この体のどこに大盛り入るの」と言われたことが(当時私は痩せていた)彼を喜ばせてそのあと付き合ったのだった。

よく食べることにより相手を喜ばせそして付き合う流れ、健啖家の方には多いのではないか。私はいまではすっかり胃が小さくなり外食はなにもかも量を多く感じるようになってしまいました。そんなことをサブナードで考えた。

打合せを終え、帰りの電車で金銭トラブルを弁護士を入れずに解決した話をしている人がいて聞こえてしまった。「結局1本払ったって言ってました。1本て100万か1000万かわかんないんすけど」

現金の単位を1本とあらわすのは90年代に放送されていた「マジカル頭脳パワー」というクイズ番組の推理ドラマ形式のクイズ「マジカルミステリー劇場」で聞いた以来だ。そこでは1本は1000万と言っていたが、100万を指す場合もあるのだな。

駅からの帰り道、おじいさんがこいでいる自転車のうしろのかごにパブロンの箱がなににもつつまれず入っていて風情を感じる。

外に出るといろいろ思い出すし家では見られないものが見られる。

帰ると子どもたちはもう帰っていた。指令のとおり息子はご飯を炊いておいてくれた。

ゼルダの伝説」をやろうと誘ったが、帰宅後すぐに遊んだから今日はあとはもう宿題をやらねばならないのだと断られてしまい、宿題を先にやっといてくれればよかったのに! とキーキーした。

 

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「新幹線の靴下」を越え「靴下の新幹線」に逆転

起きだして、グーグルホームにラジオを鳴らすように頼んで、洗濯機を回し、冷蔵庫から冷凍させてある食パンを録りだしてオーブンレンジの鉄板に並べてスタートボタンを押して、こうしてまるで同じような日を繰り返しているのにオーブンレンジで焼けるパンの焼きあがりの焼け具合が微妙に違うのはどういうことなんだろうな。

その日の気温や湿気で製造物の状態が変わるというのは様々な職人の方々がなんらかの取材を受けたときの様子を何がしかでたびたび読んで聞いたことがあるがうちのパンもそういうことなんだろうか。

今日のパンはあまり焼きが進まなかった。

でもだからといって特別追い焼きすることもなくそれぞれの皿に置いていく。オーブンがピピピと鳴る、それが重要だ。「焼けました」とオーブンが言っている、それこそが焼けたことそのものだ。

むぐむぐ無心で食べて子どもらは学校へ行った。私も仕事。

頭を使うのではなく手を動かす作業をするいちにちで集中した。打ち合わせなどもほぼなく手を動かして指と手と手首が疲れるころ概ね終わって退勤ボタンを押した。

子どもたちもそれぞれに帰ってきて夜はカレーの缶詰を開ける約束をしている。いなばのタイカレーの缶詰をまとめ買いして休校中の昼食に数回出したところ息子が魅入られた。

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給食がはじまり昼に食べられなくなったのでぜひ晩にという強いリクエストで3人好きなカレーを選ぶ夜ご飯になった。ご飯の支度が楽で泣ける。

食べながらニュース番組を観た。N700Sという新型の新幹線が運行を開始した報道で、ずいぶん長い時間をかけて特集している。

東京駅での出発の様子が写され、見ていた娘がN700Sの奥に止まっている新幹線を「あ、靴下の新幹線だ」と指さした。エメラルドグリーンの車体のはやぶさだった。

ああ……ああ、本当だ。鉄道ファンの小さな子がはやぶさの柄のくつしたを履いているのを本当によく見る。それでもはや娘の感覚は「新幹線の靴下」を越えて「靴下の新幹線」に逆転したようだ。その感覚、すごくわかる。「本当だ、靴下の新幹線だ……」と娘の気づきに感激して復唱した。

食後、子どもたちは大箱で買ったアイスバーを食べていた。「今日はまだアイスを食べてない」と息子がいい「私も」と娘も言って、この家ではアイスは1日1本までということになっている。

私は子どもたちが学校に行っている昼に食べた。すこし考えてから「お母さんはもう昼に食べたから食べられないな」と言った。

嘘をつこうかなと思ったのだ。「実は嘘をつこうかと思ったけどやめた」と白状した。「嘘は絶対にだめだ」と息子に言われ「まったくだ」と誓った。

嘘をつかないとは、こういうことなんだな。

娘が息子の検尿の知らせを読んでいる。添付の容器を見て「量が多いな……」とひとりごとを言っていた。「私のときはもっと入れ物が小さかった。中学生だからかな」

年長者への経緯がちゃんとこもっているように感じた。

 

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