まばたきをする体

GU 渋谷 出口

来まいと思っていた時が来た。

数か月前の夏、洋服収納にぶあついセーターがしまわれているのに気づき「なにこれ」と思った。こんなん着る時期あるっけ? 秋がきても思った。冬は厚手のコート着るし、こんなセーター室内で来てたら暑いだろ。

にがにがしささえ感じていた。こんな幅とるもの、処分したほうがいいんじゃないの。

しかし時は来たのだった。いまや私は朝洋服収納の前に立つなりできるだけ厚手のセーターをがっとつかんですんっと着る。あったけ~~~! これこれ!

私は40歳だ。40回さむい冬を経験してきた。にもかかわらず、40歳の夏も秋も「こんなセーター着なくね?」と思った。着るのに。

しかし夏や秋に厚手のセーターを「処分したほうがいいんじゃないの」と思いながら、しかし持っておいたのは私にぎりぎりの人間としての知性があることの証明な気がする。

寒い日で、子どもたちもそれぞれに厚着だ。息子は作文教室の年末集会にでかけていき、私と娘は耳鼻科へ。処方箋が出たのでなじみの調剤薬局へ持って行く。

いつものおじさん薬剤師さんが対応してくれた。まいど笑顔でとても優しい人だ。少し前にこの薬局に来たとき、調剤の遅さにかなり怒りまくっているお客さんがいたのだった。そのとき、この薬剤師さんがきびしい顔つきで毅然とした態度で対応していて、それ以来、優しくしたいときに笑顔で優しくしてくれているんだなと感じる。

昼は焼きそばを作った。麺を事前にレンジであたためると麺がぷりぷりもちもちすると聞いてやってみた。いつもよりすこしべたつきが少ない気がする。

特に口に出していったことがなかったが、もしかして私は焼きそばがかなり好きなのでは……と思った。あと、紅ショウガはあんまり好きではないなとも思った。

好きなもの(好きな食べ物とか)のことは、作るときや食べるときに「これ好きかな?」「そうでもないかな?」と意識していなければあぶり出ないことだ。わたしはせっかちだからかそういうことをあまり普段考えなさすぎる。

午後は娘をバレエの稽古に送って、所用があり渋谷へ。

用事を済ませてから時間があるのでGUに行ってみた。厚手のセーターを見るためだ。

「GU 渋谷」でGoogleで検索すると、「GU 渋谷 出口」とサジェストされた。出口が見つかりにくい構造なんだろうか。

で、いってみたら確かに出口が分かりづらくて笑う。世の中の人の疑問や不安がサジェストで可視化されている。

セーターはいいのが見つからなかったが、出口が分かりにくいのがおもしろかったので満足した。帰りに駅に「お湯券」と書いた紙が落ちていた。

 

バレエの稽古を終えた娘と合流して帰宅。

息子も帰ってきて、晩ご飯を食べて、最近息子はこれまでよりもずっと丁寧に歯を磨くようになった。いわなくてもきちんとフロスも使う。「団地ともお」の虫歯の回を読んで虫歯のおそろしさを再確認したとのこと。

私も最近、風俗で働く方のブログを読んでいて「お客さんにはきちんと日頃から歯を磨いてもらいたい、デンタルフロスもしてほしい」というようなくだりを読んでから気を引き締めて歯を磨くようにしており、我が家の歯と口の健康習慣がはじまっている。

ネットであちこちのアパレルのサイトを渡りぶあついセーター見てから寝た。

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