まばたきをする体

0.5人の自分を想像する

娘は日々私に経験を聞く。

「今までに〇〇したことある?」「何回したことある?」といった具合。答えられるものは答えて、でもなかなか難しい質問もあって(たとえば“いくら”って今までに何回言ったことある? のような、考えもしなかった質問が多いのだ)そういうときは素直に、ちょっと分からないやと言っている。

しかし今朝娘は急に「今日はお母さんに何も質問しないことにしたよ~!」と言うのだ。なにか思うところがあったのだろうか。

それから「お母さんって今までにタイツ何回履いたことあ……聞いちゃった!」といきなり質問して「答えないで!」となかったことにしていた。

子どもらは学校へ。私も仕事。終えて、前日に皮膚科で処方箋をもらいながら取りに行きそびれていた薬をもらいに薬局へ行く。

薬剤師さんが薬を出しながら、先週耳鼻科からも薬が出てますがいかがですか? と聞いてくれた。鼻風邪が長引いていて受診したときの薬だ。もうすっかりよくなった。

完璧です。ものすごい鼻通りの良さです! と元気に伝える。「こんなことなら最初から病院に行っておけばよかったなと思いました、風邪の引き終わりになってようやく受診することが多いんです」ついでに言ったが、ほとんど自分の間の悪さへの愚痴だ。

体調をくずしても発熱しない限りはぼんやり自力で治るのを待ってしまう。徐々に治ってくるころ、まだ治りきらないことに不安になって半分元気な体で病院へ行くすることが大人になってから何度かあった。

すると薬剤師さんは「間違っていませんよ」というのだ。風邪が治るころに新たな別の風邪にかかる人は多いんです。だから最初の風邪が治って、でもなんだか体調が悪くて受診するというのは間違いではないんですよ。

………スーっ。

おお……おお!

なんかいま成仏したな!

承認があった。しかもプロフェッショナルによる承認が。「あなたは間違ってはいない」というワードの強さよ。

「そうなんですか、すごく救われました……!」そういって薬局を出た。あれだけ風邪の話をしたが手に持っているのは皮膚の薬だ。

足取り軽く娘を迎えに学童へ。娘は出てくるなり「今日はお母さんに質問しない分、友達に質問しまくったよ」といっていた。

帰ると息子も帰ってきた。なにかの流れで娘が、私の何人分くらいでお相撲さん1人分の体重になるかな? という(そうして、これは質問ではないから! と念をおしていた)。

息子が、お相撲さんって200kgある人もいるよね? おまえ30kgくらいだからだいたい6.5人分くらいじゃない? というと、娘がキっとして

「どういうこと? 半分に切るってこと?」

というので笑ってしまった。0.5人の自分を想像したらしい。

娘は私が笑ってうれしそうだった。

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