まばたきをする体

汎用性のない紙がこんなに家に!

はっと買い物を思い出しメモをとる、左斜め後ろでテーブルについた息子が朝ごはんのパンを食べている。

メモをかばんに入れて振り返るとちょうどもぐもぐ咀嚼する息子の頬が見えた。ふくらんだ頬が上下していて、そういえば私はかつて息子の頬をよく観察していたのだ。

赤ん坊のころの息子はまるまるよく太っていて、ほっぺもぱんぱんだった。

膝に乗せていると、何かをはむそのぱんぱんの頬がふわふわ上下するのがいつもよく見えた。なるほど赤子というのはこれはかわいらしいものなのだなと納得したのだ。

息子も娘も学校へ。私も仕事。

夕方、刷り上がった同人誌が宅配便で来ることになっており急いで帰宅。無事にうけとった。

今年から同人誌を作るようになったが、自作の本を刷るというの、届くところから本当におもしろい体験をしているなと思う。

なにが面白いかというと「こんなにも紙を仕入れてしまった!」という、お家に紙がたくさんあるよー! という焦りの感情がぶるぶる湧き上がるのが笑える。

ある日狭い家に段ボールがドーンとやってきて、そしてその段ボールがみっしり重いのだ! 紙だから!

本の内容に自信があるとかないとか、売れなかったら在庫を抱えるがどうしようという以前の「(汎用性のない)紙が!」「こんなに!」「家に!」と、これはシンプルで純粋な驚きの感情だ。

深呼吸してとりあえずの落ち着きを取り戻し、家族の冬の体調管理対策として大根とすりおろしの生姜はちみつに漬けた。

それからスーパーに行へ行くともともと安いコロッケがさらに半額ですわと買う。

乳酸菌がめっちゃか詰め込まれてますというふれこみのラムネみたいなタブレットも買った。

冬が来てかるく風邪をひいたことがあって、急に健康に暮らしたいという気持ちの高揚がすごい。大根のはちみつ漬けといい「なんかよさそう」に圧倒されている。

帰ると子どもらも帰ってきた。夕飯にコロッケを出し、とても安かったと値段を明かすと息子が「商売!?」と驚いた。

あるものをとても安く手に入れたというときに最近息子がするこの「商売!?」というリアクションが私は好きで、待ってました! という気持ちだ。

------
11/24(日)文学フリマ東京に「まばたきをする体」で出展します(ト‐37)。日記の本を持っていきます。
------
古賀及子(こがちかこ)・まばたきをする体とは
お仕事のご連絡
Twitter @eatmorecakes
Instagram @eatmorecakes