まばたきをする体

ドンピシャで正答

死んだ祖父はもともと佐賀県の出で、佐賀の北島というお菓子屋の丸ぼうろをひいきにしていた。

贈答品としてよくあちこちに送っていて、お中元やお歳暮の時期に遊びに行くとついでに自分のところにも買ったらしい丸ぼうろがよくあって食べさせてもらった。ざくざくした食感で卵の味が強くそしてとてもとても甘い。祖父は甘いものがとても好きだった。ビールが苦手でよくサイダーを飲んでいた。

祖父が死んだあとも祖母がこの店の品を贈答に使う習慣を引き継ぎ、そして祖母が死んだあとは母が引き継いだ。

のだが、母は今年別のメーカーのに変更してみようと考えているそうだ。なんか甘いじゃない? というのが言い分で、それでネットで評判の良いメーカーの丸ぼうろを取り寄せてみたと、しかしあまりおいしくなかったという。

うちにもひと箱もらったのでここ数日毎朝食べている。確かに北島の丸ぼうろような強烈なアイデンティティにとぼしく、丸い焼き菓子、くらいのぼんやりした印象ではある。

とはいえ「家にある」というのはお菓子を食べる動機として非常に大きく、特に文句もなく私も子どもたちも食べていた。

今朝、息子が食べていて「この丸ぼうろ袋に『包装の内側に製品が付着することがあります』って書いてある」という。

そうなのだ。この新しくやってきた丸ぼうろはとにかく個包装の袋にくっついてうまくはがれないのだ。見ると確かに包装紙にそう書いてあった。「くっつきやすいってこと、自分でも気づいてたんだな」と息子は言った。

くっつきやすい丸ぼうろを食べた子どもたちは学校へ行き、私も仕事。

午後の会議の前に上司が「タピオカミルクティーを買いに行こうかな」というと同僚たちが、おれも私もと会議室の狭い出口を先を争うように出て行った。

タピオカミルクティーを吸って会議も滞りなく終わって帰宅。子どもたちも帰ってきた。

娘は英語学童で「What is expensive?」という質問に答える学習をしたんだそうだ。「みんな着物とかジュエリーって答えてたんだけど、私がシャインマスカットって言ったら先生たちにウケたんだよ」といっていた。

ふふふ。だってそれドンピシャで正答だもの。

そのあと、娘は息子に「BOOM」って曲を学童で聴いたけどかっこよかった、と教えていた。息子がGoogle Home に「BOOM流して」というとTHE BOOMの「島唄」が流れてしばらく全員で聴いた。

とてもいい曲だったが娘がかっこいいといったのは、Tiestoの「BOOM」だということが後で分かった。

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11/24(日)文学フリマ東京に「まばたきをする体」で出展します。日記の本を持っていきます。
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古賀及子(こがちかこ)・まばたきをする体とは
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