まばたきをする体

隙間という道具

先日久しぶりにメルカリのアプリをたちあげて靴を買った。買ったからには売らねばなと思い、いらないからもらってと引き受けたがいい加減使っていなかった雑貨を出品したのだった。

値付けの低さが幸いしてか数日してさっと売れ、梱包して昼休みに郵便局に持っていった。

持っていくなり、窓口でこれ3cmぎりぎり超えてますねと言われる。A4厚さ3cm以内の配送コースがあり、自宅で雑に測ってなんとかいけるだろうと思っていたのだが、だめか。

窓口の担当はとても気さくでざっくばらんに明るい感じの女性で(郵便局の局員さんはいつも制服を着ている覚えがあるが、なぜだろう彼女はポロシャツだ)、厚みを測る専用の隙間のある板を取り出し「ほら、通らないんですよ」といった。

うわ~困った! という前に、はっと板を見る。「隙間」だ。隙間、という道具だこれは。以前にも見たことはあったが目の当たりにするのは初めてだ。

一度開封して中を調整されますか? と言ってもらい、よかったら、と隙間も貸してくれた。やった! 隙間にさわれる! 手にしてまたうなる。これは純粋なる隙間だ。

荷物は結局調整しても厚さ3cmにおさまらなかった。ゆうパック扱いになって一気に送料が倍以上になった。

隙間に触れたのはうれしかったが、送料が高くついたのは普通にショックだ。売り上げが減った。

この感じ……なんか覚えあるなと思ったが、手触りとしてだいぶ株で損したときに似ているなと思った。感じる自責の種類が同じなのかもしれない。

フリマアプリがこれだけ流行している現在、多くの人が私のように隙間に翻弄されているのだろうか。想像すると気分が高まる。

午後も仕事を終えた。会議で食べた鈴カステラがとてもおいしかった。

帰り際娘を英語学童に迎えに行ってスーパーに寄ったところ、千歳飴をねだられ買う。千歳飴を買ってまでして食べたがるとは意外だなあと思ったが、私も千歳飴がおいしいということはもちろん知っているのだ。

思えば子どものころ「あれはおいしいもんじゃない」と大人たちが言っているのをもれ聞いてから「あれはおいしいもんじゃない」んだからと軽んじ続けていたところがあった。

帰ってご飯を食べて、娘は千歳飴を食べた。小袋にくじが付いていて「大吉」だそうだ。それはよかったなあ。

それからお風呂に入りながら、そういえば娘がまだ宿題をしていないことに気づき、お風呂から「宿題やった~?」と聞き「まだ」というので「やんなよー」と声をかける。

風呂から上がると娘は言われた通り宿題をしていた。脇に描きかけのハロウィンの絵があって、あ、これを描いてたのか! と知る。おばけやこうもりや魔女がにこにこしている絵で良いものだった。事情を知らずにやいやい言うのは良くない。

息子も塾から帰ってきて、ご飯を食べて千歳飴を見つけてなめていた。千歳飴、人気じゃないか。

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11/24(日)文学フリマ東京に「まばたきをする体」で出展します。日記の本を持っていきます。
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