まばたきをする体

のび太っていつごろから0点を取るようになったんだろう

トースターはずいぶんまえに捨てた。

だから食パンは生で食べたり最近はおもにフライパンで焼いていた。しかしフライパンには3人分、トースト3枚は入りきらないのだ。なんなら2枚も入らない。

ちょっとフライ返しで押して焼き目をつけてなんとなく「焼いたな~」という気持ちになったところで食べていた。フライパンに斜めに2枚~3枚置くと、耳のはじのところだけ鉄板に当たってよくそこだけ焦げた。

ビルトインのレンジ付きのオーブンが壊れて最近買った安いオーブンレンジにトースト機能があり、しかし説明書を読むと焼くのに10分かかるとあった。

けっこう時間かかるなと思い使っていなかったが、ゆで卵を作るのに10分かかるので、じゃあまあそれにあわせて焼いてみるかと思って使ったら、普通にきれいにやけたのだった。

朝の時間は思った以上に早く過ぎ、10分はそこそこあっというまだった。

きれいに焼けたトーストを配ると、娘が「今日はよく焼けている」といった。

子どもらは学校へ行き、私は仕事。

午後から休みをもらって、与野の彩の国さいたま芸術劇場へ。

もう10年以上会っていない旧友と最近急につながり、久しぶりに会おうということになっている。

あれこれ演劇をみているその友人は劇団のマームとジプシーも以前からよく観ていて、それでその主宰の藤田貴大さんが作、演出する「CITY」という公演に行く約束をした。

これは自慢ですが、友人はモデルや俳優をしている女性でとても魅力的な人なのだ。久しぶりに会ってもひきつけられた。姿勢がよく立っても座ってもとても美しい。

会うなりぬるいジュースをくれた。あんまりぬるくて2人で笑った

「CITY」はとても興味深かった。大道具も小道具も衣装も照明も映像も手の入れられるところは演出せんという気概がすごいし、そのすべてを完璧にやりきるセンスがすごい。

ストーリーの構成もおもしろかった。よく点と点がつながって線になるというが「CITY」は前半が点で後半は線だ。あんなにも点でしかくれなかった情報を、後半急に線で、しかもかなり長い線でくれる。こういう手法があるんだな。

エンディングで流れた曲にぞっとした。むかし好きだった曲だ! しかしなんだっけ!

終わって友人に、この曲なんだっけと聞くと、「わたしもそう思った!」とのこと。なんだっけなんだっけと言いながら劇場をあとにし、友人のかっこいい車に乗せてもらって東京まで帰った。 運転するときにかける彼女のサングラスの似合うことといったらよう。

与野から東京に戻ってもなお曲は思い出せず、でも好きだった曲なのは確かなので聞いたままわすれず頭にはちゃんとメロディは残っていた。

家に帰ると息子がもう帰っていて、そのうち娘も帰ってきた。

娘はぐらぐらしていた乳歯がもはやぶらぶらして、あともうほんのちょっとで抜けるという状態になっているのを見せてくれた。口角に血がついていて「血も出たんだよ!」と言っていた。

息子は知り合いの老人についての作文を書く宿題が出たそうで、作文教室の先生について書いていた。「ぼくも先生みたいになりたいです。がんばるぞ!」と締めていた。がんばるぞ! いいな。

ご飯を食べながら娘が「のび太っていつごろから0点を取るようになったんだろう」と言い出した。足し算かな、引き算かな。掛け算はできるのかな。「割り算かな……」確かにどこかでついていけなくなったんだろうねえ、わいわい話し合った。

娘が寝て、息子も早めに寝てスマホをいじっていたら、娘とやりとりしているメッセンジャーに新規メッセージが届いているのに気づいた。通信教材ではじめて割り算をやったがとても難しかったとのことだった。

「CITY」のエンディング曲、はっとひらめいた。spotifyで確かめたら合っていた。

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デイリーポータルZの記事一
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