まばたきをする体

前衛どんとこい

息子は早く起きて作文教室へ行った。

今日もおじいさん先生は生徒たちをプールに連れて行ってくれる。プールに入ってから作文を書くのでプール道具と辞書を持って息子はでかけた。

しばらくして娘が起きてきて、時計をみたら10時だ。12時間寝たよ! とうれしそう。

ふたりで食パンを食べた。たくさん食べられる気分になるのがよくて私はいつも8枚切りを買うのを、昨日6枚切りが安売りになっていたので今日は6枚切り。

いつもより少し分厚い。これしきのことでぜいたくを感じる。

それから娘と本屋に行ったが欲しい本は置いていなかった。久しぶりに注文するかと思いカウンターでお願いすると、支店にもないが出版社にはあるようなので取り寄せはできる、1週間から10日かかります、ということでとっさにひるんで「少し考えます」と言ってしまった。

Amazonで本を買うのに慣れすぎて1週間から10日かかることに新鮮にびっくりした。ショックでもあった。

帰ると息子が帰って来て12時だ。10時に朝ごはんを食べたのに娘は腹を減らしていて昼ご飯を食べる気満々で頼もしい。

昨日ののこりのカレーを食べた。

息子は塾へ、私と娘はバレエ教室へ行く。送り出してから私はそのまま池袋の東京芸術劇場へ向かった。

rosasの公演がある。

ストーリーがあまり得意でないので物語がなく意味も言外しないコンテンポラリーダンスがもうずっと好きだ。ベルギーのカンパニーのrosasはよく来日するので来るたびに観ている。

「A Love Supreme~至上の愛」、とてもよかった。変わっていて巧みで洗練された動きというのがこの世にはある。

男性4人の群舞で、rosasといえば私は女性の群舞のイメージがあるんだけど、男性が躍ると同じ振付家の作品でもとても奔放に朗らかで明るく感じた。

女性が躍るとキュートでセクシーさが後ろ暗い。

音楽に重きをおいたプログラムで、前半無音で踊る貯めがある。おかげで音に乗る体の軽やかさと音に乗るけれど重い体、ダンスと重力のことを久しぶりに考えた。

終わってから、 同じ公演を観にきたダンサーの友人とミスタードーナツでドーナツを食べながらお茶を飲んだ。

彼女とは2017年の来日も一緒に観た。そのときの作品「時の渦―Vortex Temporum」はかなりアバンギャルドだったのを一緒に思い出した。

今回はポップでよかったねと語り合ったが、我々はコンテンポラリーダンスが心底好きなので前衛どんとこいというところがある。友人と話していてそういうファンとしての一体感があった。

そのあとはお世話になっているライターさんが昼から夕方にかけて街の集会場でやっている飲み会に顔をださせてもらった。

20代前半のころ新宿歌舞伎町のゴールデン街ショットバーでアルバイトをしていたが、そのころお客さんとして来てくれていた人たちに久しぶりに会えた。

かつての知り合いに会えると、あのとき自分があそこで生きてたんだなという記憶に自信が持てて興奮してわくわくする。



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デイリーポータルZの記事一
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