まばたきをする体

女の名前だぞ

12/5

実家の母が毎年子どもたちにひとつずつ、チョコレートがはいったアドベントカレンダーをくれる。
 
12月1日からクリスマスまで、毎日とびらを開けていくあれだ。とびらのなかにはチョコレートが入っている。
 
息子はチョコレートが苦手なので娘と私でまいにち楽しみにクリスマスまでひとつずつ食べるのだが、昨日まちがえて娘の分のアドベントカレンダーからチョコレートを取り出してしまった。
 
娘は泣いた。
 
わんわん泣くのではなくじわじわ泣いて、ああ自分のアドベントカレンダーのチョコレートをぜんぶ自分で食べるのを楽しみにしていたのだろうなと思った。
 
子どものころはそういうコンプリート欲みたいなものが私も強かった。
 
自宅で開封する牛乳の一口目はかならず私が飲むという謎のルールにつきうごかされていたのはちょうど娘とおなじ小2くらいのころではなかったか。
 
重々謝って、代わりに私の分のアドベントカレンダーのチョコレートをあげたが、大切なのはそういうことではないということはよく理解できる。
 
しばらくたったら忘れて笑っていたが、もしかしたらおいおいも覚えているかもしれない。
 
子どもと暮らしていると、どうやら今は忘れたようだがこれは大人になってももしかしたら覚えているのだろうなというシーンがたまにある。
 
夜のイベントの台本の読みを練習したかったので会社にはいかずに自宅で仕事。
 
昼ご飯をローソンに買いに行った。私はPONTAカードユーザなのでPONTAを使う。そしてPONTAを使うときにたまに、持っていないセブンイレブンnanacoカードのことを思い出す。
 
nanacoは広く浸透させたいであろう電子マネーを女の名前にしているのがすごい勇気だと常々思う。
 
女の名前だぞ。
 
夜は仕事で東京カルチャーカルチャーへ。大ファンである三省堂の「今年の新語」の発表会でなんと今年、司会をさせてもらえることになったのだ。
 
レギュラーで司会をしている「国語辞典ナイト」が今回「今年の新語」発表会とコラボレーションするということでお声がかかった。
 
漢字も九九も覚えられず、音符も読めず泳げず走るのも遅い、お笑いや歌謡等の芸能など文化的な知識にも乏しく、長く付き合う友達はおらず、アトピー性皮膚炎でアレルギー性鼻炎で結膜炎で蟯虫検査にひっかかり頭じらみもある子どもだった。
 
洗わず汚いままでぼさぼさでからまって櫛も通らない髪の毛で、清潔観念にとぼしく靴下ははかず下着もつけず正しい衣服の身につけ方を知らずに大人になった。
 
そんな私が髪をあらって素敵な服を着てあんな晴れ舞台に立てるとは。しかしじつをいうと、むかしから私にはちょっとなら可能性があるんじゃないかと思っているところはあった。

 

 

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