まばたきをする体

祖母は死ぬのではないか

11/23
 
もうすぐ祖母は死ぬのではないかという噂がある。
 
もう98歳で本人の希望もあり無理な延命処置はしないようにしている。認知症も進んでおりグループホームでおせわになっている。
 
噂を流しているのは母だ。母はホームの近くに住んでいて日々様子を見に行っているので、どこかのタイミングでこれはと思うところがあったようだ。
 
噂をききつけて各地から親族がぼちぼちとやってきている。先週は妹と子どもたちが、昨日は従妹と叔母がたずねたそうだ。
 
私は18歳から27歳まで、あいだ2年くらいのブランクをとりつつ祖母と住んでいた。祖母はスパイ小説とNHKが好きで貧しいことと猫を嫌う、大変な働き者だがさぼることも許容する心の広いひとである。
 
祖母は生活においてほとんどそそうをしない反面わたしは所作のすべてが雑なのであれこれやらかすことがこのころから多かった。とくに祖母に迷惑をかけたと思うのが「3大手をすべらせてぶちまけ事件」である。
 
祖母はものをそれは大事にする人なので相当に失望したはずだ。ぶちまけてもまるで取り乱さず全くの平常なようすで大丈夫大丈夫と一緒に片づけてくれたのは今おもえばあれはすごい精神の強さだと思う。
 
ちなみにぶちまけたのは以下だ。
 
・インスタントコーヒー
・祖母が牛乳のリットルパックで培養していたカスピ海ヨーグルト
・灯油
 
祖母は体がやたらに丈夫で同居していたころで病気をしたことは一度もなかった。私はなんどか胃腸炎やインフルエンザの看病してもらった。
 
グループホームに行くと祖母がいて、髪はぼさぼさで全身がしょぼしょぼになって、手は骨と皮で青い血管がよく見えた。起きれないようで横になっていたが私は「元気そうではないか」と思った。
 
職員の方が寝がえりを打たせて、身体をこちらに向けてくれた。自分で体をうごかすと全身が痛いのだそうだ。
 
祖母に痛いところない? ご飯たべられないの? と聞くと、大丈夫よという。テレビを見て「あの掃除機はあんなに小さく折りたためるの」とか「カップが舞ってるね(コーヒーカップが宙に浮く演出のCMだった)」などの感想を言っていた。
 
要素を抜き出して考えると昔とくらべてなにひとつ元気ではないのだが、私には元気に見えた。帰り際、職員の方に「元気ですねー!」と伝えたら「お元気ですよ」と笑ってくれた。
 
そのまま実家へ行き母に、会ってきたが元気だったと伝えると、そうなのよ元気なのよ、でももう3週間はまともに食べられていないのよ、だから危ないのよ。ということだった。
 
実家には父母や妹、姪っ子もおり、なにかのきっかけで「セブンイレブンの店舗数当てゲーム」がはじまりめちゃくちゃに盛り上がった。正月っぽい。
 
学芸大学の古着屋に行ったり(高架下のキロショップが11/25で閉店そうだ。39%オフセールやってました)、碑文谷のイオンに行って帰宅。
 
娘が「イス」のつく言葉を探しているというので協力する。「ライス」「スイス」「アイス」などいろいろ出しているうちに娘は「『おじいさん』がもし『おじいすん』だったら『いす』が入るね」と言い出した。
 

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