まばたきをする体

記憶の雑さでマウントを取る

副都心線に「明治神宮前〈原宿〉駅」という駅がある。

車内のアナウンスでは「めいじじんぐうまえはらじゅく」と呼ばれる。

友人と軽く話していて、あるイベントに行った話になった。

「駅的には、明治神宮前原宿駅が最寄なんだけど」

パリっと正確に「明治神宮前原宿」というフルネームが出てしまって聞いた友人が「がっつりフルネーム笑」と笑った。2人でちょっと「プッ」という空気になった。

ファンかよ、明治神宮前原宿駅の、という。

 

私たちには「大して重要ではないことを正確に把握している」ということを少し野暮に感じるところがある。

記憶は雑な方がかっこいいという価値観である。

その価値観でもって、記憶の雑さでマウントを取ることすらある。

「おまえなど詳細に把握する必要はないのだ」という態度だ。

対象を上からの視点で示すときに使う「ナントカ」というのがそれだろう。「ナントカ屋とかいう店があって」みたいな具合だ。

関西の言葉の「知らんけど」という結びは愛嬌をもってこの辺を内包してる言葉ということでいいんだろうか。


私は副都心線を愛しているし、明治神宮前〈原宿〉駅にはとてもお世話になっている。マウントを取ってやろうというつもりはないが、正確に読んでしまったのはちょっと恥ずかしくて、その恥ずかしい感じがおもしろかった。

 

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