まばたきをする体

占い師さんにもう会えないが寂しくない

近所の古い商業施設に狭い占いブースがある。

60歳くらいの美人のお姉さんがやっていて、ごくごくまれに先客がいることがあるもののおおむねいつも空いていて予約とは無縁なのがいい。

20分3500円。日ごろ占いをしない人にとっては高いかもしれないが、占いというと人気のあるところはおどろくほど高額なのでまあだいたいこんなもん、むしろ安いという値段である。

ここの占いはたいして当たらない。

四柱推命という、生年月日を使って占う部分はいいと思うのだ。数冊の使い込まれた本を横断しながら自信たっぷりにスラスラと性格や資質や性質を言っていくさまはなるほどと思わせ気持ちがいい。こちらからの質問にもよどみない答えがあるし、〇月と〇月は運気が弱いから注意するようになどと言われると素直に従おうという気持ちになる。

ひと通り四柱推命での占いが出尽くすとサイコロとタロットで占いはじめる。

問題はここだ。これが妙にうすぼんやりした結果なのだ。なにを相談しても「まあ、環境が整えばうまくいくよね」くらいのふんわりした感じである。

私のなかで「四柱推命だから統計的で本格的」「サイコロとかタロットとかは信用ならん」みたいな意識があるのがまずいけないのだろうとも思うが、そういうまあまあの占い師さんだ。

まあまあなどと失礼な評価をしながらも、年に一度、節分を過ぎたあたりにちょっくら今年はどうかいつもの人に聞きにいくかのうみたいにひげをなぜなぜ行くにはちょうどよかった。

 

先日もまた1年ぶりに顔を見せに行くと入るなり「ちょっとこういうことになっちゃって」と張り紙を指さされた。

張り紙には来週にもこの店舗は締め、福岡へ移転するとある。

…おお。すごく頼りにしているわけではないのでもう会えないのがたいして寂しくもない。なかなかに珍しい微妙な心持だ。しかし、1年ぶりに来て来週には閉店というのはちょっと運命的にも感じられるではないか。福岡に行ったときに寄るのもいいかもしれない。

説明が前後するが、この店にはスタンプカードがある。この日、私はスタンプがたまって1000円分の割引を受けられることになっていた。

「ちょうどよかったね」「そうですね」えへへ、えへへという感じで毎年と同じように占ってもらった。

今年は「何事も慎重にやれ」ということであった。

話をしていてなんとなく20分を少し超過しているなあという意識はあった。ではこのくらいで、と終わったときに早口で「今日は30分みたから5000円ね、でも4500円でいいよ、割引入れて3500円ね」ということだった。

ちょっと笑ってあとくされなく帰った。

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