まばたきをする体

本来の状態に戻ったわけだがもの足りない

実は資源ごみの日にゴミ捨て場を片づけるのが好きだ。

このあたりのゴミ捨て場では資源ごみの日は缶のコンテナと瓶のコンテナとペットボトルのコンテナが出る。おのおの、そこに入れる。

コンテナはいつもだいたいすぐにあふれてしまい、あふれたらビニール袋に入れてコンテナの前に置けばOK、ということになっている。

それで…私は、コンテナのなかにビニール袋に入った状態の缶や瓶があったとき、袋から出してコンテナにがらがら流し入れる作業が大好きなのだった……。ものすごく手軽に、片付いた! という気持ちになる。

この日も目ざとく袋の缶を拾い上げてコンテナに移していると、ちょうどやってきた近くの方が「わあ、ありがとうございます!」と言ってくれた。

善い行い風の趣味にお礼を言ってもらえうれしい。

子どもらもペットボトルをゴミに出して学校へいった。

私は仕事。終えて、鼻水がやたらに出るので耳鼻科で吸ってもらって吸入(ネブライザーというの)もしてきた。すっきりした。

耳鼻科の吸入には口から吸いこむタイプ(吸入する霧が出るマスクで口をおおう)と鼻から吸い込むタイプ(鼻の両方の穴に霧が出る管を突っ込む)がある。私は子どものころからアレルギー性鼻炎ネブライザーはずっと鼻からタイプだ。

同じ吸入でも口からか鼻からでずいぶん印象が違うが、本当にこればかりはまるでどうしようもない。

仕方がない、という言葉で純度100%で表される仕方なさだなと思う。

さらに息子をピックアップし歯医者へも。永久歯が生え切っているにもかかわらず不自然に抜けない乳歯があり学校の歯科検診でひっかかった。

かかりつけ医に行くと皮膚に塗るタイプの麻酔だけ使って5分で抜いてくれた。

息子は、本来ないべきものがあった状態が、本来の状態にもどったわけだが何か物足りない、と言っていた。

帰ると娘も帰ってきた。帰るなり、気分が悪いという。胃が気持ち悪いらしい。

すわ!

私が最も恐れている病気、それは胃腸炎だ。あれは本当につらい。もしやと思い全員マスク、悩んだが食欲はあるというので娘にも軽めの夕飯を食べさせた。

夕飯を食べて、しばらくして、娘が元気になってきた! という。それから「ああ……そうだ、わかった」と。

学童で、ぐるぐる回ってたんだ。みんなと、どれくらいぐるぐる回れるか試してたんだ。

それで気分が悪くなったんだと思う、ということだった。

おお……おお! よかったよ! 病気じゃないならよかったよ! ぐるぐる回りすぎると気持ち悪くなるから気を付けよう、と約束した。しかしよかった。

それから娘は食べ足りない分を食べなおしていた。

毎晩早く寝ている。寒くなってきたからだろう。

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11/24(日)文学フリマ東京に「まばたきをする体」で出展します(ト‐37)。日記の本を持っていきます。文フリ後にBOOTHでも通販します
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目を強く閉じて手のひらも強く合わす

勢いよく起きて、息子に「服についた血の謎が解けた、あれは歯が抜けたときの血だ!」と言った。

前日息子が会社に電話するくらいの重要度で「服に血がついている」と伝えてきて、その晩今度は日中歯が抜けたのだと歯を渡された。

二つのできごとがつながらないまま息子は寝て、私は夜寝る前になって「服の血は歯の血だ!」と気づいたのだ。

そうだ、謎は解けた、息子よ安心しなされ、服の血は怖いことなかったんだょ……むにゃむにゃり~と眠りについたのだった。

前日の謎の答をもって今朝に登場した私だ。

しかし息子は「あ、やっぱり? そう思ってたんだ」というではないか。え? 検討ついてたの? なんで言ってくれなかったのよ。

バーンと登場して損したなと思ったが、「バーンと登場して損」ってなんだろうな。

子どもたちは学校へ。私は仕事。

朝の打ち合わせがあり喫茶店に行って、よし! という思いでホットココアを頼んだ。冬だから、よし!

ホットココアと言うのが少し照れくさくて「あったかいココアをください」と、それからサイズ表記が難しかったので「いちばんちいさいやつ」と頼むと、レジの店員さんが「いちばん小さな、あったかいココアですね」といって、カウンターからサーブしてくれる店員さんも同じように「いちばん小さな、あったかいココアのお客様」と呼んでくれて恐縮した。

ずっと昔、テレビで「高級ホテルのスタッフはお客の言葉を言い直さない」というのを見たことがある。

店員「パンとライス、どちらになさいますか?」
客「ごはんをお願いします」
店員「ごはんでございますね」

というシーンを再現していて「へー」と思った。小学生くらいのころだ。

完全にそれを思い出した。

ココアはとても甘かった。こんなに甘いものだったか。

それから移動したり会議をしたりして帰宅。帰りの電車でなんとなくメルカリを開いたら出した雑貨が前日に売れていた。通知を見逃していたようだ。慌てて帰ってコンビニで発送した。

フリマアプリはネット文化のなかでもがっつり生活の行動に食い込んでくるのが興味深い。かつてない数の人々が3cmの幅でものが送れるか気にしているし、梱包材を手配している。

娘を英語学童に迎えに行き帰宅。神社の前を通るとき、娘は一礼したが私はし忘れた(近所の神社が娘と私は大好きでとくに意味もなく信仰している)。

すると娘に「目を強く閉じて手のひらも強く合わすと、神社から離れても祈りが届くよ」といわれた。

祈りのパワーが強まるのだそうだ。

誰に聞いたの? と聞くと、自分で考えたとのこと。

帰ってご飯を食べて、娘が寝るころ息子が塾から帰って来て、パントマイムを見せてくれた。

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同じ家に同じ気持ちの人がいる

玄関に置いてあるサンダルの上に錠剤くらいの大きさの緑の球が落ちていた。拾い上げると何かの実だ。

なんだろうこれ。学校に行くべく子どもたちはおのおのランドセルを背負わんとしている。

「みどりの実を拾った人!」というと、娘が「はい!」と手を挙げた。きみか。

塗ったような緑がきれいで、靴箱の上に置いてかざった。捨てるのがしのびないときに私はよくかざる。

息子がまだ1歳か2歳くらいの頃の動画に、寝る前に本を読んで読み終わったあと「かざっとく」といって枕元に本を雑に置く様子が映ったものが残っている。

私たちはかざるという行為になんらかの免罪を感じているところがあるのではないか。

子どもらは学校へ行き、私も仕事。

打ち合わせがあり渋谷の歩道橋を歩いていると向こうから小さな子連れの親子が走ってきて「あった! あったよ! 落ちてる!」といった。

振り返ると道にひょろっと袋が落ちていた。同時に歩道橋の下をわんわん消防車が数台走って行った。

とどこおりなく仕事を終え帰宅するころ、息子から電話がかかってきた。塾に行こうとして気づいたんだけど、服に血が付いてるんだという。怪我はしていないし、学校で怪我人が出るようなこともなかったし、なのになんで血が付いているのか不安だと。

脱いだものをあとで見ておくから、よく体を調べて大丈夫だったら着替えて行きな、と伝えた。

帰ると、息子の長袖が居間に広げて置いてあった。「←ここに血がついてます」と書いたふせんがついていた。

血は鼻血のついたティッシュでこすったくらいのかすかなものでとりあえずは安心。しかしなんだろう。ささくれからの出血に気づかなかったとか、そういうことだろうか。

そのうち娘が帰ってきて、手羽元を煮て食べた。

食後娘は「ずっと気になっていた」といって、納戸のにめちゃくちゃに納めていた公文のプリントを空き箱に片づけて自分のロッカーに入れていた。ああ!そうそう、納戸のプリント、私も気になっていたんだ。

片付かない状態を見て片づけなくちゃと思う人が同じ家で私のほかにもう一人いるということがとても心強い。

娘が寝るころ、息子が塾から帰ってきた。

いい知らせがありますよ、と言って学校で抜けた歯を見せてくれた。大きな奥歯で、そうか、こんな歯らしい歯が抜けるころなんだな。

担任の先生が「良い歯が生えますように」と書いた紙につつんでくださってうれしくて紙はかざった。

息子が寝るころ私も早々に寝る。夜の気温が日々低くなっていくのを、布団に入ると感じる。

毛布がなかなか温まらない。もぞもぞしながら息子の寝息が聞こえだすのを聞いたころ、はっとした。

服に着いた血、歯が抜けたときに出た血じゃん?

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はじめてシャカシャカするポテトの現物を見た

朝早くに起きだしてわさわさしていると玄関の呼び鈴が鳴って、母だ。紙袋にいっぱいのリンゴを持って母がやってきた。

母はきのう長野にリンゴ狩りに行った。おすそ分けを持ってきつつ、朝早くにでかける私と息子を見送り家に残る娘を見守りにきてくれたのだった。

お茶を出すと「パンくれない?」というの焼く。朝早いのでご飯も食べずに来てくれたそうだ。パンが焼け、母は食べた。そうだ、見せようと思っていた息子のクラスの作文集があるのだ。テーマは敬老で、息子は祖父母ではなく作文教室の先生について書いたのだが見せた。

私が洗濯を干していると母はパンを食べながら読んで、しばらくして「あらっ」という。

ちょっと、これ、タイトルは「大好きなおばあちゃん」なのに内容はおじいちゃんのことしか書いてないわよ! いつおばあちゃん出てくるのかなと思って読み進めてたけど、おじいちゃんしか出ないまま終わったよ。

なんだろうねそれは。

誤植だろうとは思うがじわっとおもしろかった。

支度のできた息子とでかけた。出際にまだ寝ている娘に声をかけると寝たまま体を左右にゆらして動かして挨拶してくれた。

日曜の朝、ホームにはなんらかのユニフォームを着ている人が多い。車内もそうだった。日曜日にはさまざまな試合があちこちであるんだな。

息子を塾のテストに送り(そういえば土日の電車には塾のテストに行くらしい子どももたくさんいる)、私は本を読んだりぼんやりした。

終えて息子と帰る。途中でファーストキッチンに寄って、ハンバーガーとポテトを食べて息子はレモネードを、私はアイスコーヒーを飲んだ。

レモネードはアメリカの小説に出てくる飲み物だとばかり思っていたが最近は現実にもよく出現するなと思う。

レモネードを飲んで「レモネードを飲んだ」と書くと、それは事実だが小説のようだ。

コーラでもジンジャエールでもなくおそらくそれほどなじみのないだろうレモネードを、息子はなぜ選んだんだろう。聞き忘れた。

ポテトは紙袋に入っていてしゃかしゃかして粉をまぶすやつだった。私がシャカシャカしていると、息子は見て「ポテトをシャカシャカしている……? つまり……これが『シャカシャカポテト』⁉」と言った。

私は静かにうなずく。「本物の⁉」と息子。私はもう一度うなずいた。

正確には「しゃかしゃかポテト」はマクドナルドの商品名でファーストキッチンは別名称らしいが、息子がはじめてシャカシャカするポテトの現物を見た日だった。

母は娘を実家に連れて行ったそうなので迎えに行く。妹や姪っ子もいてみんなでドラマを観ていた。この家はよく録画したドラマを観ている。

どういう話なの? と聞くと、働かずに親のお金で暮らしている青年の態度がでかいドラマだよ、と姪っ子が言う。そんなドラマがあるのか。その人怒られないのかな。心配でほんのちょっと横から見たが見た限りでは特に怒られていなかった。

娘を連れ帰り、夜は文学フリマで売るステッカーの袋詰めで単純作業を堪能してから寝た。

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眠れる数十億の乳酸菌が解き放たれる瞬間

トイレを出ると娘が並んでいた。ほこほこ顔を赤くしていま起きたんだろう。「トイレに起きただけだから、もういちど寝るから」と言った。娘は寝るのが好きなのだ。

息子は起きてきて、一緒に朝ごはんを食べた。数十億単位の乳酸菌が含まれていて体にいいという触れ込みにしびれ昨日買ったタブレット(ラムネみたいなやつ)も、1人1個食べようとテーブルに配った。

口に入れるとシャワー! はじける感覚がある。眠れる数十億の乳酸菌が解き放たれる瞬間これか。

洗濯を干したり掃除をしたりしているうちに朝寝を堪能した娘も起きてきて、まっさきにそのタブレットを食べていた。

おいしいからこれもう1個食べたいというが、そんなに食べるもんじゃないんだぞ、億なんだから。

3人連れ立って、息子にどうかと思っている私立の中学校の説明会にでかけた。校長先生のふくふくしたお顔立ちに縁起のよさを感じ、そして英語を勉強させるぞという意気込みが伝わった説明会だった。

がんばって聞いていたが途中でお腹が減ってつい膝に出していたメモにおにぎりやドーナツの絵を描いた。娘に見つかった。娘は隣にプリンの絵を描いた。

終わって息子はまた別の用事にひとりでかけていき、私は娘をバレエの稽古に送る。

稽古の前に、私たちはお腹がすいているんだ。よぼよぼコンビニにたどり着きサンドイッチを買って広場に行った。広場には座る場所が豊かにあり、あたたかいベンチを選んで座ってサンドイッチを食べた。

ベンチの隣に立つ街灯の胴まわりに「水……」と落書きされていた。「水って書いてあるね」「水って書いてあるねえ」と娘とふたり見た。

稽古を終えてスーパーに寄る。おやつに芋けんぴやガムを買った。芋けんぴのことはつい忘れがちだが、美味しい物なんだよな。たまにはっと忘れてた! と買う。

帰って娘は宿題をして、私は刷り上がった同人誌と同封するお手紙を袋詰めして、通販の発送を代行してくれる倉庫に送るべく荷造りした。みっしり本が詰まっているので仕上がった段ボールが重い。

こういうときは集荷を頼むべきだと思うのだが、私はせっかちなので集荷依頼の電話をして→待つという動作がもどかしい。バーン! と肩に担いで家を飛び出してしまうのだった。

肩にはかつぐのはイメージで、実際は重いのでカートに乗せて運んだ。宅配を扱う最寄りのコンビニはきっぷのいいハスキーボイスのおねえさんが数名働いていることで私のなかで有名だ。今日もそのひとりがいた。

「なにこれ! 重いのねー! わたし持てないわ!」といいながらお姉さんは持てている。キュートだなあ。どっしゃーんと落とすように量りに乗せて目方を見て「これは重いわよ!」とまた重さを伝えてくれた。

「重いですか」「重いね、重い重い」「預かってもらえますかね」「大丈夫! でも大きさってよりも重さで料金がかかってくるパターンね」

そういうパターンがあるらしい。パターン規定の料金を払って発送してもらった。

なにか晩の献立について軽い予感がして、しかしピンとはこないまま、手探りの予感を信じかつおの刺身としらすを買って帰宅。

帰ってから、そうだ! すし飯だ! すし飯が食べたいんだ私は! というのが見えた。

息子も帰ってきて、ご飯をいつもより多めに炊いてすし飯にして刺身としらすを乗せて、みんなで食べた。

すし飯が好きだ。

一方、娘は刺身のツマが好きで、刺身のトレイの下のツマを今日もよく食べていた。

あとで芋けんぴも食べた。

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汎用性のない紙がこんなに家に!

はっと買い物を思い出しメモをとる、左斜め後ろでテーブルについた息子が朝ごはんのパンを食べている。

メモをかばんに入れて振り返るとちょうどもぐもぐ咀嚼する息子の頬が見えた。ふくらんだ頬が上下していて、そういえば私はかつて息子の頬をよく観察していたのだ。

赤ん坊のころの息子はまるまるよく太っていて、ほっぺもぱんぱんだった。

膝に乗せていると、何かをはむそのぱんぱんの頬がふわふわ上下するのがいつもよく見えた。なるほど赤子というのはこれはかわいらしいものなのだなと納得したのだ。

息子も娘も学校へ。私も仕事。

夕方、刷り上がった同人誌が宅配便で来ることになっており急いで帰宅。無事にうけとった。

今年から同人誌を作るようになったが、自作の本を刷るというの、届くところから本当におもしろい体験をしているなと思う。

なにが面白いかというと「こんなにも紙を仕入れてしまった!」という、お家に紙がたくさんあるよー! という焦りの感情がぶるぶる湧き上がるのが笑える。

ある日狭い家に段ボールがドーンとやってきて、そしてその段ボールがみっしり重いのだ! 紙だから!

本の内容に自信があるとかないとか、売れなかったら在庫を抱えるがどうしようという以前の「(汎用性のない)紙が!」「こんなに!」「家に!」と、これはシンプルで純粋な驚きの感情だ。

深呼吸してとりあえずの落ち着きを取り戻し、家族の冬の体調管理対策として大根とすりおろしの生姜はちみつに漬けた。

それからスーパーに行へ行くともともと安いコロッケがさらに半額ですわと買う。

乳酸菌がめっちゃか詰め込まれてますというふれこみのラムネみたいなタブレットも買った。

冬が来てかるく風邪をひいたことがあって、急に健康に暮らしたいという気持ちの高揚がすごい。大根のはちみつ漬けといい「なんかよさそう」に圧倒されている。

帰ると子どもらも帰ってきた。夕飯にコロッケを出し、とても安かったと値段を明かすと息子が「商売!?」と驚いた。

あるものをとても安く手に入れたというときに最近息子がするこの「商売!?」というリアクションが私は好きで、待ってました! という気持ちだ。

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人はアンコールをするときに「アンコール! アンコール!」とは言わない

 最近娘は「〇〇ってやったことある?」「〇〇って言ったことある?」と私に人生の経験をよく問う。

今朝は「アンコール! アンコール! って、言ったことある?」と聞いてきた。

あるよ、と言いそうになったが、いや、ないな。

アンコールをするときに「アンコール! アンコール!」と人は言わないものだ。たいていは盛大に長めに拍手をするのだ。

「あるょ……いやないな!」と後半大き目の声になった。

その後娘は「わたしはおなら見つけ職人、おならをした人を見つけると1回に1万円もらえる」「そして10回みつけると2万円もらえる」といい、兄に計算どうなんてんだ? とつっこまれてムキ―! となっていた。

兄も妹も学校へ行き、私も仕事。会社から打ち合わせで渋谷に向かう途中、駅で大量のオレンジ色のピンポン玉を大き目のポリ袋に入れて運ぶ人とすれ違った。

すじこみたいだなと思った。

電車に乗ると咳をしている人とマスクをしている人が急に増えたような気がする。世界が風邪をひきはじめている。

仕事を終えて帰り、駅の構内を若い女性たちがきゃあきゃあかけていった。男性アイドルグループのポスターが張り出されているらしい。

「ぎーちゃん!!」とひとりの女性が歓声をあげた。メンバーにそういう名前の人がいるんだろうか。

ぎーちゃんといえば、母方の祖父母が営んでいた魚屋にむかしいた店員さんがぎーちゃんといった。

ぎーちゃんはよくくわえたばこで水槽を掃除していた。売れた魚を入れてお客に渡すときに使う、底マチのついた「油袋」とよばれるロウのついた茶色い袋、あれを雨の日によく頭にかぶっていた(マクドナルドの店員さんの紙帽子みたいに)。

アイドルのポスターを見たらみんなめちゃめちゃに美しく魚屋のぎーちゃんとのギャップが激しくてつい笑った。

帰ると娘が帰ってきて、息子も帰ってきて、余り野菜を煮込んで食べた。

金は額面そのものでしかない、みたいな、行動経済学の本を読んでいる。あぶく銭をぱーっと使うことが全否定されておりふるえる。

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