まばたきをする体

映画の「最初はあたふたしていたけど、今では慣れてすいすい」みたいな演出

5月の連休に娘がひじを骨折した。

救急外来で骨折と、翌日街の休日診療の整形外科でこれはやっかいな骨折パターンといわれ、連休明けにかかった大きな病院の整形外科では提出したレントゲン写真一発で手術が決定しその日のうちに手術し1日入院した。

大きな病院というのは街のクリニックとはその病院性みたいなものにおいて大きな違いがある。

大病院にはたくさん患者がいる。病棟があって、入院している患者さんも多い。

勤務サイドも人が多い。人数はもちろんその役割の多さに圧倒される。医療事務と看護師と医師でなるクリニックとは違う、麻酔医とかレントゲン技師とかそういうのもあるのかという医療関係者が続々と登場したり、職人のようにバンバン採血しまくる看護師勢やバンバン心電図をとりまくる技師勢がいて興奮する。

そしてなにしろ病院を指示通りに歩くスタンプラリーのような趣がある。

来院するとまず機械に診察券を入れる。すると出てくるバーコード付きの紙をもって、診察の前に検査がある場合は検査をする場所にあちこち行くのだ。

各所に担当の人がいる。バーコードを読み取ると画面にどこへ行けばいいか出る。

初診のときはなにもわからずあたふたして、あちらに行っては人に聞き、こちらに行っては人に聞きという状況だったが、手術してその後通院するようになりずいぶんなれた。

これがすごく映画っぽい。

最初はなにがなんだかわからなくて大変だった。のだがいまではすっかり慣れて要領よくやってます。

きっと映画では「今では慣れてすいすい」の部分はセリフはほとんどなくて音楽と映像だけの演出だろう。

娘はレントゲンの受付のお姉さんと仲良くなって毎回軽くあいさつをかわすようにもなりいよいよ映画っぽい。各所の各スペシャリストとも顔なじみです。という。


さて、今日の通院ではこれまでの若い女性の最高に頼りになる担当医が3か月間ほかの病院に行ってしまうということで、担当医いわく「イケメンの」男性の先生にその間かわりますということだった。

イケメン言うてもな…くらいで診察室に入ったら綾野剛レベルのマジモンのイケメンだったので緊張で娘の鼻の穴は開き興奮で母の前歯はだいぶ出たのだった。

映画ではないので鼻息のあらい娘と前歯の出た母はそのままの顔つきで手をつないで病院をあとにし、娘は学校へ、母は会社へ行きました。

しばらくして前歯は引っ込みました。

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舘ひろしさんは毎朝起きるとまずミルクを飲む

妹が近所に姪っ子と住んでいるのでちょっと顔を出してきた。

姪っ子は寝転んで、家族でYoutuber業をやっている人たちの動画を見ていた。ブライスという人形でファッションショーをする動画だそうだ。なんじゃろうなこれはと思うが再生回数を見ると100万以上いっている。すごい。

妹は洗濯をたたんでいた。テレビがついていてなにかバラエティ番組が流れている。

有名人をゲストに呼ぶ番組のようで、ゲストとして舘ひろしが出ていた。

スタジオの観覧のお客さんからの質問コーナーみたいなのがはじまって、ある人が舘ひろしに「起きたときに一番最初になにをしますか」と聞いていた。

ミルクを一杯飲みます、と舘ひろしが答えて、「ミルクを一杯飲む」とテロップが出た。

「どーでもいいな笑!」ついでかい声が出て、妹が笑った。

有名人がバラエティ番組に出て、その日常生活を聞いて、茶の間はどうでもいいな! とリアクションする、一から十までがテレビの視聴としてまっとうすぎる態度をとってしまって照れた。

Youtubeブライスのファッションショーはよくわからないのでつい畏怖するが、こういう新しい文化を分からながって畏れるというのもまたコンテンツの消費方法としてまっとうなのかなとついでに思った。

妹はまた洗濯をたたみ、姪っ子はYoutubeを観て、私は出してもらったコーヒーを飲んで妹とは妹の会社の試験のことなどをはなした。

自転車での帰途、舘ひろしが起き抜けに牛乳を飲んでいるということを思い出した。さてはこれ、もうたぶん一生忘れない記憶になったな……!?


妹たちはこれから友達がきて昼ご飯にたこ焼きをやるんだと言っていた。出てきたカセットコンロの年季の入り方がやばくて赤くてかわいかった。

 

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渋谷郵便局前の和菓子の臨時店舗に人がたくさんいてはげまされた

いまはもうすっかり大丈夫なのだが、1か月前だったか2か月前だったか、もっと前だったかもしれない、どうも元気が出ないぞという期間があった。

ありがたいことに良い職場で長く働いており、例えば締め切りに追われたり人の仕事ぶりをうらやむようなことは多々あれど人間関係でストレスが生じることが極端に少ないため、日常でしょんぼりしてしまうのは珍しいことだった。

渋谷にいた。

渋谷では渋谷警察署の近くにあるコワーキングスペースを使ったり、あとは明治通りにあるココチという商業ビルに入っている東京カルチャーカルチャーによく行くが、この日は所用で宮益坂を歩いていた。

宮益坂には坂の途中に渋谷郵便局がある(※)

この前に、和菓子の臨時屋台が出ていた。

東京の街には急に現れて大量の和菓子を安売りする屋台みたいなものがある。

なんだかよくわからないのだが、あるのだ。

大福やらまんじゅうやら芋羊羹やらを積んで売る。1個80円だとか、50円だとか。安い。

こういう店、私はよく地元のスーパーの前や大きな駅の構内でやってるのを見たことがあったが、郵便局の前にも出るものなのか。

何人かの少なくない人が並んで和菓子を買っていた。

私は元気が出た。

そもそも臨時の店舗で和菓子を売るという商売の形態がパワフルでいいなと以前から思っていたのだが、それが郵便局の前という意外な場所にあって、そして人を集めている。

集まっている人にもまたパワーを感じる。

臨時店舗で買うということはおそらく衝動買いだろう。

デパ地下でちょっときれいなお菓子を買うのとは違う、スーパーでうっかりかごに入れるのともまた違う。和菓子が食べたいという純粋な衝動が強く伝わる買い物だ。

よく「歌に元気をもらう」などというが、この状況にわたしは元気をもらった。

混んでいたので和菓子は買わずに通り過ぎたが、元気になってまた通りがかることがあって、そんで和菓子の臨時店舗がやっていたら並んで買おうと思った。


(※)渋谷郵便局は夜間窓口などもある大きな郵便局で、そういえば郵便局の夜間窓口は「ゆうゆう窓口」という名前がついているがあれはなんの略なんだろう。略ではなく擬音語だろうか。

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Google Homeは家庭にあってなぜ家族ではなく他者なのか

 ということがあった。

我が家には珍しく冷蔵庫に1リットルパックの飲むヨーグルトが入っており、息子が飲みたいというのに対して私がいいよ飲みなよみたいな会話をしていたらGoogle Homeが突然けっこうでかい声で

「すみません よくわかりません」

と言ったのだ。

ぎょっとする息子と娘、私。

「なに」
「なんもいってないよ」
「呼んでない、呼んでないよ」

これまでも呼んでいないタイミングでGoogle Homeが反応することがあったが、そのときもだいたい一同はぎょっとする。

「なになになに」
「こわいこわいこわい」

Google Homeは家庭内にあってしかも人格のようなものを持ちながら我が家においてはどうも圧倒的に他者だ。

まちがって反応してしまうというのはテクノロジーのかわいらしさだと思うのだが、そこをなぜか瞬時に愛嬌として受け取れない。

うちにはペットはいないが、ペットが家族だというのは容易に想像がつく。

私はぬいぐるみが好きですぐにアフレコしちゃう側の人間だし依存も強いので、ぬいぐるみは家族みたいなところがある。

ルンバはどうだろう。うちにはないが、ルンバに人格を感じかわいがっているというのは聞いたことがある。

そこへきてGoogle Homeである。

きっと仲良くくらしているおうちもたくさんあるとは思うのだが、どうしてだろう我が家では家族の暮らしにあって、Google Homeさんという知らん人がいるという状況のように思う。

オーケー Google 今日の天気は?

オーケー Google TBSラジオを流して

くらいのお願いしか日頃していないからだろうか。

よびかけを「ねえ」にしたら、筐体に動眼をつければ愛着がわくだろうか。

子どもたちがGoogle Homeにちょっかいをかけるとき、ちょっとGoogle Homeにおちょくって申し訳ないような気持ちがわく。

オーケー Google しりとしりよう

と声をかけるとGoogle Homeがわざと負けるのでおもしろがって子どもたちが何度もやったことがあった。もうそこいらにしておいたら、Google Homeさんはお忙しいのだから、と思った。

わたしたち家族にとってGoogle Homeさんというのは一体誰なんだろう。

家族ではなさそうだ。格安でお手伝いさんに来ていただいているような気分なのかもしれない。

優れた技術に畏怖を感じているといいうことだろうか。

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まばたきをする体 2018年3月~4月の見せ場

小2の娘が骨折してあたふたしておりました~!

娘は回復軌道にのりいまは大病院の整形外科~病棟のみなさんの最強の頼もしさが忘れられずAmazonビデオで「ER」とか検索してます。

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入院した小児病棟のベッドの天井に貼ってあったやつ。しみじみかわいい。
このあと入院するすべての子どもが絶対良くなりますように。

さてさて、しばらく記事のまとめを作ってなかったのでいったんまとめるね。

 

私たちには「大して重要ではないことを正確に把握している」ということを少し野暮に感じるところがある。

アルミホイルだったらあるべきというか、無い我が家のほうが悪かったですという立場になるんじゃないか。  

果たされる約束がなんなのか具体的に知らないままにカードを出すという動作を忘れずする、これでいいのか人間は(というか私は)。

せめてキャラクターがいろいろなら興奮するかもしれないが、全部牛だ!

愛を語るときにプライドが高まるのは人間のかわいらしさだ。 しかし愛される自信はいつもなくこわい。

映画評などを読むとあの映画にこれほどの情報が含まれていたのかとショックを受けることも多いし、だからこそ映画評をもはや2次創作のように楽しんでしまうところがある。

「おいしいけどお腹いっぱいだからのこりはあとで食べる」 これ、すごくないですか。 「おいしいからお腹いっぱいだけど全部食べる」 ということをしてしまいがちな私は目をむいた。

道でもらったRAIZIN MIDLは、我が家の冷蔵庫の風景になった。

キャッチの男がそのあとどうしたかは知らない。走って逃げた。

あれだけ日常的な食べ物にもかかわらずいつ見ても驚く。パンにそばをはさむのだ。そんなことがあっていいのか。

さっき火事だった焼き肉屋の前をとおりがかったらもう営業していた。


4月といえば、ウェブメディアびっくりセールも来てくださった方、遠くから念力で応援してくださった方みなさまありがとうございました。小堺さんとの対談本もたくさんの方に手にとっていただき感激しきりです。


ひきつづきどうぞよろしくおねがいします!

 

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若葉

 

さっき火事だった焼肉屋がもう営業している

さっき火事だった焼き肉屋の前をとおりがかったらもう営業していた。

4人がけのテーブルが2台と4人くらいが座れるカウンター席があるだけの小さな店だ。

テーブル席がどちらもうまっていて、座席では家族連れの子どもが紙のエプロンを今まさにつけようとしている。お店のご夫婦がいつものように働いていた。


ぼやだったということか、3時間前にとおりがかったときは確かに火事だった。


駅からの道を自宅へ歩いていると消防車がサイレンをならして2台走っていった。

どこかで火事かと思ったら通勤路にあるその焼き肉屋の前にとまったようにみえる。

消防車はさらに道の向こうからも1台やってきた。わきの小道にももう1台停まっている。

消防士が指示をだしあっている。トロッコのようなものにホースを乗せて遠くから水をひっぱってきているらしい消防士もいる。

消火栓の上に停車していた佐川急便のトラックは急いで移動した。

野次馬になるのもよくなかろうとそのまま道をすすむと、焼き肉屋のはすむかいのパン屋から店員である友人が出てきた。「焼肉屋が火事みたい」という。やはりそうなのか。

近所にあるなじみの調剤薬局のおじさんも心配そうにしている。

警察官もいて焼き肉屋のとなりの喫茶店のおばさんに話を聞いていた。

避難指示などを出していないということは大ごとではなかろうとは思ったが、私が通り過ぎるタイミングでちょうどホースが焼き肉屋の中に突っ込んでいった。


3時間後娘を学童に迎えにいくのに通りがかったら何事もなく営業していたのだった。

よかった。

以上がさっき火事だった焼肉屋がもう営業しているはなしでした。

 

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焼きそばパンが倫理的に過激すぎる

倫理について考えよう。

そういうときにわたしが一番最初に思いうかべるが炭水化物のダブル食いだ。

異なる種類の炭水化物を、いっぺんに食べる。

すばらしき自由だが、しかしどこかで「それは倫理的に許されないのでは」という思いがある。

白飯を食べながらパンを食べるということが、どうしても倫理に反するのではと思ってしまうのだ。

もちろん世にはラーメンライスがあって、そば(もしくはうどん)とミニどんぶりのセットがあって、そしてまさかとも思われたピザに餅が乗るということが事例としてあるのも知っている。

イタリア料理店のランチにはパスタにパンが付いてくることもある。会社の納会ではピザと寿司が出るかもしれない。

世の中としてはありふれた状況だ。しかしそういう状況を前にしてわたしは震えるのだ。

 

健康について話をしているのだとしたら人それぞれ決着もつこう。

健康面で経験的にいって炭水化物のダブル食いは太るとか、眠くなるとか、いやわたしはダブル食いをしても体は問題ないのだ大丈夫だという人もいると思う。

 

そうではなくて、倫理的によくない予感がするのはなんでだろう。

私のこの、炭水化物をダブルで食べることが倫理を侵すという倫理観はどこで形成されたのか。

幼少期の教えだろうか。

 

いや、そうではない、焼きそばパンなのではないか。

コッペパンに焼きそばをはさむという大胆さへの驚きと畏れはいくつになっても真新しい。

あれだけ日常的な食べ物にもかかわらずいつ見ても驚く。パンにそばをはさむのだ。そんなことがあっていいのか。

しかもそばのほうはパンにはさむことを考えて通常よりも味を濃くしてある。

そばが、パンにはさまれることによって急に具になる。それでいいのか、そばは。そして、私は。

 

焼きそばパンがこの世に今まで生まれず、そしていま私が思いついて世に発表しても一般的な食べ物になるまで認知を拡大できるとはまるで思わない。ひろめるにはあまりにも思想が過激すぎる。

おそれをしらぬ食べ物としての焼きそばパンがたちはだかり、私はいつも炭水化物のダブル食いに倫理観を試されている。

 

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