まばたきをする体

私は反省しているのかそれとも拗ねているのか

息子の水泳大会で少し遠方まで行くので早起きした。

ご飯を食べて、あとは顔を洗って歯を磨いて着替えるくらいでさっさと出かける。

水泳大会は息子の通う近所の作文教室のおじいさん先生が是非出るようにとみんなにすすめて、教室の生徒が数名グループになって毎年出場している。

泳げない子も、出る心構えがあれば先生が市民プールに連れて行って事前に泳ぎを教えて出場する。

息子は嫌だなあ、緊張すんなあと言いながらも淡々と会場へ向かっており、嫌なら行かせることもないのではという気持ちと、でも泣いて布団をかぶって出てこないほど嫌なわけでもないようなので行ったら行ったで楽しさもあるんだろうみたいな気持ちで、娘も一緒にただついていった。

目的地の最寄り駅からまた少し歩く。作文教室のほかの参加者の子らが合流して一気ににぎやかになった。にぎやかなまま道中娘は死んだセミを帽子にたくさん集めていた。

私が虫に興味がないので娘は私とは虫の話をしないが、実は興味があるのかもしれないという気が、最近少ししている。

暑いなかたくさん人がプールに集まっていた。息子は教室の子らと楽しそうにしていてる。虫とりあみを持ってきている子がいてみんなでバッタを捕まえていた。

娘もバッタをとった。帽子をかぶるために死んだセミは草むらに葬っていた。

大会で息子は思った以上によい成績をとった。スイミングスクールなどは通ったことがなかったが未就学児のうちに父親に泳ぎを教わり、作文教室の先生にも見ていただいてずいぶんうまく泳げるようになっていたようだ。

がんばった、がんばった、というあふれる思いをしずめるように公民館に流れ反省会をかね教室のみんなで昼ご飯を食べて解散。

近所の子らと一緒に電車で帰る。混んだ電車で応援に来ていた教室の子の妹の小さな子がぐずってしまいみんなで慌てた。抱いていたお父さんが気をそらすべく上手にあやしていて感心しながら、私も「大丈夫だよ」「もう少しだね」などと声をかけていたら、息子が「お母さんうるさい」と言った。

息子によると、お父さんのあやす声は適当な大きさだが、私の声は大きくて逆にうるさい、ということだった。

私は声を落としていたつもりだったのだが、デフォルトでかなり声がおおきいたちなのでそれでも声のおとしが足りなかったらしい。

電車という一番静かにしなければならないところで指摘をうけて反省しうなだれた。

しばらく静かにすべく黙り、しかし黙ってばかりいると、このうなだれは反省のようで拗ねでもあるのではないかという気もして、いや、拗ねるのではなくちゃんと反省しようと思った。

本当に声が大きい。自分にも聞こえない小さな声でしゃべっても、人にはちゃんと聞こえて返事がもらえるのには驚く。

つまり私の声は、私に聞こえている時点でかなりでかいのだ。

静かにしなければならない場所では自分には聞こえない大きさの声でしゃべる、それを肝に銘じよう。

帰って昼寝をして、娘と買い物に行って、息子を労い全員の疲れをいやすためかっぱえびせんを買った。

食べたら元気が出た。

しかし暑い日は外にいるととても疲れる。みんなで早寝した。

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家をおおうツタのフェーズ1

土曜だが早く起きた。息子の作文教室の集まりで新聞を切り抜く会がある。

軽めに朝ごはんを食べると、息子がお母さん見てといって、見ると食べ終わりの皿がピカピカだった。パンでドレッシングなどをぬぐいとってきれいに食べたようだ。

こういったささいなことこそ「見て」といわれたとき信頼されているなと充実する。

顔を洗って、洗いながら視界の右側に違和感がありはっとした。洗面所にある窓の上のほうに緑の影がある。

この窓は普段ほとんど開けない窓だ。なにが緑色なのかと開けてみると、ツタだった。

植木鉢になにか雑草が生え、そのツタが壁をつたい窓の枠をぐるっと回って上まで覆っていた。

これか……これが家をおおうツタのフェーズ1か……。放って育てながめるのもいいかと思ったが、壁が劣化したり虫が来る可能性もあるかもしれないと思い切ってひっぺがした。

簡単にとれた。それでもぐっと壁にはりつく根のようなものにツタ側のそうはさせんとする手ごたえも感じた。

新聞の会では、作文教室を主宰するおじいさん先生だけではなく新聞を切り抜く専門の先生がいらしており、どうすると上手に新聞が切り抜けるか、新聞を切り抜く心構えなどを教わった。

どんな行為にもノウハウがあるのだ。

他の子たちが地球温暖化や高齢者の免許返納、働き方改革などしっかりとしたテーマに興味を示し切り抜くなか、息子はまったくぼんやりしてテーマがまとまらないようだったので、そのぼんやり具合をみんなで見守った。

帰り際、スーパーで「ざるラーメン」というパッケージの麺とスープのセットを買った。どんなものだろうと買った。昼に食べたら、まるっきりざるそばのそばをラーメンに変えたものだった。

午後は娘をバレエの稽古に連れて行き、私はまつ毛エクステへ。

まつ毛を植えてもらいながら、なんだか今日はいつもより時間がかかっているようだな、と思ったらスタッフの方が小声でなにか打合せをしているようだ。

どうしたんだろう、なにかミスったのか? わからないままに終わって、仕上がりは全くいつもと同じだ。ただ、いつもより少し時間が多めにかかっていた。

特に気にはしなかったが娘のバレエの迎えがギリギリになったので、なんとなく娘に「いつもよりまつ毛の時間がかかったんだ」というと、「新人さんだったの?」という。おお! そうそう、そうなのかもって私も思った。

というような会話をしていると、娘から電話がかかってきた。

……? 娘はここにいるのに……?

そうだ、出際に充電の関係で、息子の電話を娘が、娘の電話を息子が持って行ったのだ。

それでもちゃんときっちり一瞬ぞっとした。

帰って晩ご飯を食べてさっさっと寝る。明日は今日よりもっと早起きだ。

作文教室の水泳大会がある。作文教室といいながら作文を書かなさすぎるのがこの教室なのだ。

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普通の少女でもできること

すすぎ1回でもよしとする洗剤の残りが少ない。これを使い終わると、すすぎ1回ではだめな洗剤のストック(新聞やさんがくれた)が待っている。すすぎ1回だとずいぶん時間が短縮になるので助かっていたのだけどな……。

こういうときに貴族はすすぎ1回でもいい洗剤を買い足すのだろう。でもあるんだ、あるんだよ、うちにはすすぎ1回ではだめな方の洗剤のストックが。

あるものは使って生きていきたい。そういうことに喜びを感じて生きてきたはずなのだが、今回ばかりは時間が短くて済むすすぎ1回の洗剤への未練が強い。

子どもたちも私も、人々は起きて静かにご飯を食べ、そしてそれぞれの現場へとでかけた。私も仕事。

仕事を終え、暑いので梨味のアイスを買って帰ってきた。

子どもの人たちも家へと戻ってきた。わたしたちは日が明けると方々へ散り、日が暮れるとまた集まる。

出て行った人が毎度毎度同じ所へ帰ってくるのだ。それを許しあう関係というのはやっぱりかなりすごい。間違って1軒隣にずれただけで状態として「あり得ない」ことになる。

娘はヨーヨーをしていた。ツーっと玉の部分を落とすと玉が光る。

「ヨーヨーを光らせるのは普通の少女でもできることなの」

と言っていた。このヨーヨーは光るそして自分は普通の少女である。どちらもわりと普通のことなのだが合わせて言うとかっこいいな。

世の中のお盆休みというのがだいたい終わるようなので、記念に晩はめずらしく外にご飯を食べに行くことにした。

子どもらの希望をとり、和食のファミレスに向かう。入口でいま出て行こうとする人たちが「ここは『華屋与兵衛』よね」といいながら出て行った。「藍屋」と書いてあるんだけど…中で、さてはここは「藍屋」ではなく「華屋与兵衛」だな? と思わせるなにかあったんだろうか。

ふつうに中は藍屋だった。

順番を待っているあいだ、娘はレジ横のおもちゃの棚を見ていた。「お、おかあさん…!」と目を丸くして呼ぶので何事かと思って指さす方をみると、金色のキーホルダーにコインのような丸いものがぶら下がっており、コインの中心に「令和」と書いてあったのだった。確かにこれは大変だ。

ふかふかの席に通されうれしい。娘は最初お子様ランチ的なものを選ぼうとしたのだが、おもちゃがついてくるという表記をみつけてやめていた。小学生なのにおもちゃをもらうのははずかしいとのことだ。

平和にご飯を食べた。

そういえば昼に買った梨のアイスがあるなと思いながら帰宅すると、ちょうど宅配便で親戚から梨が届いた。

本物の梨を前にして梨フレーバーのアイスの価値が私のなかで下がっていくような、いや、アイスなのだから価値は保たれている大丈夫だとはげますような気持が起こり、価値観が混乱した。

さらに自分で作った自費出版の本も段ボールで2箱届いた。先日届いた別の本の表紙がまぬけでひどかったので今度こそと思ったが今度のはもっとまぬけでしみじみがっかりした。

がんばろう! と思って元気を出した。3冊目の表紙はプロに頼む。やっとわかった。それしかない。

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全力で走りそして二人は出会った

寝坊してしまった。あばばあばばと思いながら大急ぎでお弁当を作り、お化粧をして洗濯を干して、ウォー間に合ったと思ったが、子どもたちはそれからゆっくり起きてきてももろもろ十分間に合っていた。

大人はやることが多いな。 私はもしや子どもたちに家事をまかせなさすぎだろうか。

ぼやぼや朝ごはん。息子はAmazonプライムアメリカの映画をよく観ているが、最近は英語だけ聞いて字幕を見ないようにしているのだそうだ。英語を学んでいるわけでもないはずなのだがなぜ。

アメリカの人はオーバーアクションだから身振りでなんとなくわかるような気がするし、でもぜんぜんわかんなくてウケるから」だそうだ。風情あるなあ。

しばらくして、あっ、しまった、ゴミを出しそびれていた! と気づいた。回収の時間を30分は過ぎている。

ダメ元でゴミ置き場へかけていくと、いままさに回収車が来ているところだった。見えるが少し距離があるので、わー、残念と引き返そうとすると、係のおじさんがこちらへ走ってくる。

一瞬「?」という気持ちで、そのあとすぐ、あ! 私のゴミを持って行ってくれようとしているのだ! と気づいた。

あわてておじさんのほうに私も全力で走って、そして二人は出会った。

おじさんは笑って「おはようございます!」 と言ってゴミを受け取ってくれてすぐにまた収集車の方へかけていった。

ありがたみが染み渡りきり、帰って子どもたちの頭をなでまくった。

全員解散してそれぞれの持ち場へ散り、私も会社へ。ヤーヤー仕事をして帰った。

息子と娘も帰ってきて、私は肉を焼いてご飯の支度をした。みんなで静かに食べて、そのあとそれぞれ宿題をしたり本を読んだりYouTubeを見たりして、そろそろ風呂にでも入ろうかと娘をさそうと、娘が急にしょんぼりしている。そして

「ぷちぽが貯まらないんだよう」

といった。

ぷちぽ。

なんだろうなそれは。

抱きしめ頭をなでてやりながら「ぷちぽってなに?」と聞くと、彼女がやっているタブレットの通信教育で学習を終えるともらえるポイントのことらしい。

わたしはがんばって勉強してるのにタブレットでうまく入力できないことがあってそのせいでもらえる「ぷちぽ」が減ってしまうことが多い、のだそうだ。

そんな悩みがあったとは。彼女にとって「ぷちぽ」というものがとても大切だと分かったが、私にとっては「ぷちぽ」はだいじな人がだいじにしているものなのでだいじ、という、価値がまだ間接的だ。

「ぷちぽ」という名前の独自さと、その独自なネーミングのものに夢中な娘がかわいらしいというのも手伝ってとにかく懸命になぐさめたが少し面白いなと思ってしまっていた。

しばらくなぐさめたら気をとりなおしていてよかった。風呂からあがって「ぷちぽ」についてよく教えてもらった。

もらえなかったぷちぽの代わりに、「おかぽ」 (おかあさんポイントの略だ) をいくらでも上げようといったが「いらん」とのことだ。

子どもたちは寝て、私は台風で風が強いので落ち着かずビールをたくさん飲んだ。

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思いもよらないほど迷いなく開放的に煽動する

起きて息子と娘を迎えに行った。

昨日、妹の家に泊まった彼らと乗り換え駅のホームで待ち合わせることになっている。駅で炭酸水を買って飲みながら待つと好きな人たちがそろってにこにこ電車から出てきた。おまえたち、無事じゃったか、無事じゃったか。

駅には知らない人ばかりがいるので、そこへ好きな人が現れるだけで感動だ。平静をよそおっているが踊りだしたいくらいうれしくなっていた。

家に帰って、娘も息子も用事があるのだった。さっさと支度を整えてすぐにそれぞれ散っていった。

私は会社に休みをもらって映画の「天気の子」を観に行くことにしている。ずいぶん人気の映画のようなので、いちおう観ておこうと思ったら同じ気持ちでお盆休み中の友人がつかまった。

友人が事前に席をとっておいてくれて、大きなスクリーンでよく観た。

人気の映画らしいという情報しか持たずに行ったが、すごいな。これがこの夏一番の話題作なのだ。

小学校中学校のころ田舎でアニメ好きの私をからかった人たちの一人でも観に行っただろうか。

思いもよらないほど迷いなく開放的に煽動する部分があってびっくりしてつい笑う。後半、これは広義のラッセンと言ってもいいのではと思いついた。

終わってそのあたりを友人と回転寿司をつまんでしゃべってから帰宅。

息子が帰ってきて勉強をはじめ、少し暗くなったので電気をつけたらしばらくして「……あれ? なんか明るくなった!」と喜んだので、電気をつけただけで人を喜ばせられてラッキーだった。

夜はスパゲティにしようと思っていたが、帰ってきた娘が子どもの集まりで昼にスパゲティを作って食べたというのでよして急遽シュウマイにした。食べながら、もしかしたら私はシュウマイがものすごく好きなのでは……という気がしてきた……。どきどき。

疲れたなあと思っていたが、シャワーをあびたら元気になった。なんか交感神経とかそういうやつだろうか。わからないが得した気分だ。

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肯定的な瞬間への信仰にも近い思い

そうだ、会社に行くんだ。山ですごした休暇が終わり、私たちは今日からまた現世をやる。

子どもらのお弁当を作った。水筒も用意した。早起きの私と息子が先に食事をして、娘はゆっくり起きてきたが一番に出発するのは娘だ。

無駄なくさっさと準備してすっと出かけていった。娘は頭になにか考えていただろうか。無のような出かけ方でクールだった。息子と私もそれぞれに散った。

昼やすみに同僚とご飯。外に昼を食べに出るのが久しぶりだったのではりきってワーワーたくさんしゃべった。終えて帰ったころにワーワーしたな! という充実感があるほどだった。信頼する人と頭を使わずに適当におしゃべりするのが楽しい。

午後は会議に出て帰る。暑い。

今年はコガネムシが道でよく死んでいる。手に小さな扇風機を持っている人がとても多い。

家で子どもたちと集合、今日はこれから私がでかけるので夜は妹の家で過ごしてもらうことになっている。妹の家に行く道中、娘が額に汗をたくさんかいていて心配になりポカリスエットを買って渡した。

心配なときに放っておかずに「なんかやる」ということが、ずいぶんできるようになった。「大丈夫かな…」と思うだけとか「大丈夫だろ」と思い込んで何もしないで内心不安で落ち着かない、ということがこれまでよくあった。

おもんばかってポカリスエットを買って渡すだけのことも、できるようにならないとできないのだと思う。

子どもたちを送り、代官山の蔦屋へ。岸政彦さんと町屋良平さんのトークイベントを観に来た。

楽しみすぎて興奮して始まる前にファミリーマートで焼き鳥を食べた。

司会も不在のなかお二人が90分次から次へとお互いの作品や創作について超重要なことをずっとしゃべり続ける会だった。作家さんのトークイベントというのはあちこちで行われているもののようだが、こんなことになっているのか。

町屋さんの作品は身体性をテクニカルに表現しているところがいいという話になり、小説のような媒体において表現がロジカルであるということはすごく良心的で真摯なことなんじゃないかと感じた。

テクニカルに身体について明文化することは、伝わりやすく分かりやすく説明することとは違う、善良な(善良とは違うか、優しさ?)態度そのもののように思う。

岸さんの作品については、ただ肯定すること、肯定的な瞬間への信仰にも近い思いがある、という話が出て、それはいわゆる赦しとはそもそもの視点が別なんだなと思った。

救いがある(ない)、という言葉がある。岸さんの「図書室」を読んでいるとちょいちょい「救いがある」。けれどそれは、いわゆるよくある「救いがある」様子とは違うようだぞと読みながら感じていて、たぶん、かわいそうだから、とか、これじゃあんまりだから救っておこうというのではなく、状態を肯定しようという意図だからなのかなと思った。

町屋さんの、ふわっとしたものごとの言語化を自らに課しているようなお話ぶりがかっこよかった。岸さんは、最後会場からの質問で「岸さんが大好きなんです」と言った方にかなりでかい声で「ありがとう!」とお礼を言ったのが最高で私はつい吹きだしてしまった。

鼻息も荒く帰宅、家には誰もいない。

クーラーの風が直撃する場所にある息子のベッドにヤー! と横になってクーラーのスイッチを入れたらいきなり寒かった。

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朝ドラが不思議と怖い

気づいたのだが、休暇で実家の家族たちと山に来てから、トイレ以外の時間ひとりきりになることが1秒もない。

さてはこれ……いつも誰かがいるな? とはっとした。

早起きの息子と姪っ子が勉強を終え、時間差で遅起きの娘がだらだらと算数ドリルを始めた。うまく集中できないようで、ペンケースに書いてある英単語を祖母(私にとっては母)に読んでとせがんでいる。

「Friendship」と母が読み上げた。娘は「発音よく言わないで!」とすぐに制した。

それでも母はもう一度 「Friendship」と英語風に読んで、娘に「日本語っぽく読んで!」といわれてしぶしぶ「フレンドシップ」と言っていた。

朝ごはんを食べながらみんなでNHKの朝ドラの「なつぞら」を観た。姪っ子と父は毎朝熱心に観ているのだそうだ。

私はテレビドラマを日頃観つけないのでどうしてもドキドキしてしまう。登場人物が急にキスしたりなにか恥ずかしい事態になったり何事かをさも面白げに言い出したりしないか心配なのだ。特に朝ドラは不思議と怖い。

気を紛らわせるため姪っ子にしつこく「これは誰なの?」「この人とこの人はどういう関係なの?」と聞いた。姪っ子は丁寧に教えてくれた。

ずっと左上の時間表示を観ていた。8:15には終わると知っていたので、早く終われと思った。

もちろんドラマが悪いのではなく(オープニングのアニメーションはすてきだし、セットや人たちの服装はとてもかわいらしかったし、俳優さんはみんな魅力的だった)、そういう性分なのだ。

支度をしてみんなで山の散策路まで車で行った。父は途中火の元が心配だと引き返して、残りのメンバーで散歩してさんざんすがすがしがった。

帰りにそばを15人前買って小屋に戻り次から次へと全部茹でてみんなで食べた。人が多いので食料のなくなり方がとても派手だ。買っても買っても食べてなくなる。大袋のポテトチップスも食後に開けたらすぐになくなった。

午後、山小屋を出た。父母は残るそうなので妹や姪っ子甥っ子と帰る。

帰りの特急は満席で、よぼよぼ荷物を網棚に上げていたら見知らぬ方が親切にひょいと手伝って上げてくれた。染み入るありがたさ。 こういうとき、腕力をつけねばと思う。

宅配便が来る予定があったのでそれに合わせて子どもたちと走って帰った。ぎりぎり間に合った。

ジュースとビールで乾杯した。

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